TOP
I miss you.(2)
シーツの間に入り込み、ベッドサイドのランプの下。
折角読もうと思ってきた本なんか、やっぱり頭に入りゃあしない。
枕元にティファニーの小瓶。
モロお揃なんてダッセー、って声が聞こえてきそうだけど。
いないときくらいいいよね、って。
念のため持ってきた、わたしの精神安定剤。
枕に一滴、ふわりと広がるあの人の香り。
包まれてなら、眠れるはず、平気。
りかさん、どうしてる?
だめ、眠れやしない。
家ならたちまちなのに。
りかさんのキスが耳に残る。
甘い声が耳を擽る。
想いはどうしても堂堂巡り。
あの人はわたしを、そうっと後ろから抱きしめる。
反応を楽しむように、耳に舌を這わせる。
思い出すだけで、あの掠れた吐息が浮かんでくるようで。
首筋に細い指が回ってくる。
鎖骨の窪みを玩ぶようにしながら、いつのまにか胸を包み込まれる。
あの人の指が、わたしの指に重なるように。
頭のどこかが徹底的に痺れてる。
ゆるやかな円を描くように頂点へと。
そして弾くように、摘むように、わたしはもう昂まるのを抑えきれない。
声が出そうになるその刹那、すっ、と指が鳩尾へ。
そして、下がってゆくのを止められる術などありはしなくて。
唇が開いてゆくのを感じる。
眉間の皺は、辛いからじゃなくて、あまりにも気持ちいいから。
りかさんに教えてもらった。
皮膚と皮膚とが触れ合う事が、どれほどに気持ちが良い事か。
窪みを埋める為に、それはあるのだと。
自分の皮膚のその下が、どれほどに柔らかく切なく涙を流すのかを。
その涙の甘さまで。
わたしはあの人と重なり溶けあって、
いつしか吐息が混ざり始め。
身体中に、あの掌の感触が息衝き始める。
恋しさが涙に代わる。
わたしはわたしでないようで。
りかさんが乗り移ってしまったように、身体は言う事をきいてくれない。
一番柔らかい処、一番敏感な処、一番切ない処。
全部全部あの人が教えてくれた。
乗り移った指が、一つ一つ辿ってゆく。
固く瞑った瞼の裏には、あの人のとろけそうな瞳。
わたしはもう定かではないほどに、切れ切れの吐息を洩らし、
唇をかみ締めて、あの人だけを思う。
不器用そうに見えて勘がいいのよね、って言われた事がある。
あの人の動き、考えるより先に全部身体が覚えてる。
ティファニーに包まれて、
わたしはあの人との境目も定かではなく。
柔らかなわたしのなかにはいってゆく。
敏感に切なく、そしてすこし乱暴に。
潤うわたしのなかにはいってゆく。
「りか・・・・さ・・ん・・」
小さくそういって、はじけるような波に吸い込まれた。
あの人に包まれて、身体中が収縮した。
穏やかな弛緩の海にたゆたいながら、
キスを抱きしめてわたしは眠る。
とりとめのない夢の中の、とりとめのない問いかけ。
ねえ、りかさん、どうしてる?
← Back Next→