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 Dead End 3










じいっと見つめる大きな瞳を意識なんかしないように、
何度も見られてるんだから、わたしは平気って顔をして
勢いよくシャワーをひねる。
座ってるりかさんに頭からかかってる、後が怖いかも。



軽く流して、向き直って。
「ねえ、もう上がりますよ。」
「だめ。」


頭なんかびしょびしょになりながら、顎を両手にのせて、
唇を尖らせた。
バスタブで小さく丸まってぽたぽたと雫を垂らすりかさん。
ぴかぴかした丸い虹彩が、上目でこっちをみてる。
長い睫に雫を溜めて、胸元まで泡に浸かって、
まるで泣きそうな人魚姫みたい。



「なまいき。」
「そんなこと・・・ないもん。」
「・・・・・・・・蒙古斑、まだあるくせに。」
「もう消えましたっ!」


泡の下に虹色のひれでも揺らしてんじゃないかしら、ってくらい、
こういうりかさんは、人間離れしてて可愛らしい。


「そうお ?」


すんなり伸びた脚、細い腰のライン。
浴びた水飛沫のおかげで、滑らかにきらきら光る。


「動いちゃ、いやよ。」


両手で小さな膝頭を掴んで、優しく柔らかくマッサージするように。
ほっそりとしてきた腿に沿って、掌で徐々に撫で上げる。
抗うように一瞬強張って、潜めた吐息と共に力が抜けてゆくのがわかる。
こういう素直な処が、可愛くてたまらないのね、あたし。



あたしは出口を求めるように、随分と細くなった腿に掌を合わせる。
高い膝に乗り出すように、唇を触れる。
頬を寄せながら、口元を上げていく。
なんか言おうとしているのは、靄に溶けてあたしの耳には届かない。
お湯ですっかり柔らかくなった肌に、舌で言葉をなぞる。


ねえ、逃げないで。



拒まれたら、あたしの気持ちなんて泡に溶けて消えちゃうかもしれないわ。
そのくらい自分勝手なのよ、きっと。







りかさんの滑らかな頬が、いきなりわたしの脚を這い登る。
感触が震えるくらい気持ちがよくて、わたしの反応をからかってる?
だけど、なんだか言っちゃいけない気がした。
薄くてしなやかな背中を見つめたまま、わたしは懸命に脚をこらえる。



泡よりも、湯気よりも、優しく細やかに舌が這う。
わたしの下肢は、もう感覚が尖りすぎて消えてしまいそう。
容赦なく舌は柔らかな肌を求めて、進んでゆく。





バスジェルとは違う、仄かな薫りをあたしの鼻は嗅ぎ分ける。
あたしだけのあなたの薫りを、あたしは感じとる。
痛々しいほどに張り詰めた膝を、掌で抑えながら
細く尖らせた舌だけで、その先端に触れてみる。
痛がるみたいな吐息が聞こえて、その刹那あたしは救われる。


尖る舌だけで丹念に線を描いて、
あなたへの入り口にあたしだけの言葉で語りかける。


ねえ、愛してるなんて、信じる?



そして、もう緩みそうな脚を抱きしめるようにしながら。
唇一杯に、あなたを含むの。
身体の奥を、心の底をかき回すようにして。
細くて長くて綺麗な指が、あたしの濡れた髪の毛を掴む。
もうあなた、躊躇なんか飛んじゃってるわよね。
あたしの頭はあなたにしっかり抑えられてしまい。
もうあたし、理性なんて飛んじゃってる。


柔らかな囁きだった動きは、いつしか叫びとなってそれでも止まらない。
あたしがあなたに電流みたいに流れ込むまで。
あなたがあたしに溶けてしまうまで。















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