MTG初心者に対する偽善

事の発端は、フリープレイを申し込んだら、相手にこんなことを言われて辞めたくなった、という初心者さんのつぶやき。
自分が見た段階では、これに対して擁護の嵐で、相手をとんでもないプレイヤーだと叩く人で溢れていた。

自分はこの一連の流れに店側の立場としてかなりの危うさを感じ、両者に苦言を呈したところ大量の反論をいただいた。
寄せられた意見から分析したことをまとめてみる。
 
 

まず自分は、初心者を神格化していない。
初心者も既存プレイヤーもフラットに考えており、どちらも悪いと思ったら注意するし、苦言も呈する。

MTGは初心者の流入が極めて少ないゲームなので、初心者に対して過剰な神格化が起こるのかもしれないが、他のTCGやアナログゲームに身を置く人間なら、初心者は宝ということは重々承知の上で、初心者に対しては慎重な傾向にある。
こんな客がいたから行きたくない、は何も初心者側だけに発生する事象ではないからだ。
初心者の行動によって既存プレイヤーが離れてしまうことも、他のゲームではよく見られる光景となる。

既存プレイヤーが離れるパターンでよくあるのは、初心者の流入でゲームがまともにプレイできなくなる状況だ。
プライズ目当ての初心者が流入してじゃんけんだけに参加しゲームは拒否したり、抽選制の競技大会に紙初プレイの初心者が入り込んで、初戦時間切れ両負けでほぼ目無しになってしまう状況に遭遇した、などはよく耳にする。
対戦型のTCGではあまりないことだが、ルールの自由度が高いゲームは、個人のセンスに依存するゲームも多く、センスがずれた初心者が1人入ったことでゲームさらにはコミュニティまで崩壊することもままある。
店側にとってみても、予約の無断キャンセルなどのリスクが発生し得るのは、初心者からの方が多いだろう。
 
 
 
今回の件も、初心者に起こったトラブルというより、初心者からのクレーム、という印象の方が強い。
お店に事前に話を通したり、しかるべき場で段階的なコミュニケーションから始めれば防げたことだし、SNSに辞めると言って他人の同情を狙うような書き込み、名指しはしていないとはいえ一方的な言い分で晒し上げるような行為、デッキ強度や金額に対する愚痴、どれも初心者なのだからと大目に見るかどうかの問題なだけで、一プレイヤーの行動として見た場合はどれもNGだろう。

投げかけられた言葉も、文字通りだとしても、大会や初心者イベントで一方的に投げかけられた言葉ではないのなら、非常識とは言えない範疇だと思うし、投稿の文字数制限や受け取ったニュアンスの違いで、元々は十分配慮をした発言だった可能性もあり得る内容だと感じた。
ただフリースペースに居合わせただけなのに、フリプを断ったり、フリプに付き合って回答しただけのことでこんなに執拗に叩かれたら、フリースペースの利用どころかカードをやるのをやめる可能性があったのは、今回の相手側も同じことだろう。

 

そこで自分は、初心者ならば、
・フリープレイは、まず複数回大会に出て、関係性を結んだ相手に打診した方がよいこと
・関係性を結んだ相手がいないなら、店に話を通して斡旋してもらうこと
この2つがこのようなトラブルを回避するためのマナーだろう、と言った。

それに対して、擁護していた方々は大いに気に入らなかったようで、多数の反論をいただいた。
フリープレイをする際に店に話を通すマナーなど聞いたことがない!
大会に出ないとフリープレイをしてはいけないのか!
主にこのような感じだ。
店のフリープレイの斡旋を強く拒否したおじさんたちは、今まで通り自由に初見の相手にフリープレイの声をかけたらよいと件の初心者に口々に言っていた。

 

この一連の流れに、自分は強く偽善者感エアプ感を感じた。

まず、このままでよかったとしたら、
フリースペースで友達同士と遊んでいただけでも、話しかけられた一見さんに対して、誰しも断り文句や愚痴への返しに接客のプロ並みの配慮をするのは当たり前、ということになってしまう。
そして店の提言に反発無視し、フリースペースに来た初心者とスペースにいただけの経験者にコミュニケーションを丸投げしても、そこで起こったトラブルやコミュニケーション不全の不利益やリスクは、結局店が全部受ける羽目になる。
まさに偽善者と言っていいだろう。

 

そしてこういう時、常々感じるのがエアプ感だ。
以前にも「近年のMTGスタンダードは高くない」「昨今はプライズで返ってくるので逆にプラスになることすらある」で多数の反論をいただいた時にも相手に何度も突っ込んだが、
「あなた本当にスタンダード大会出てますか?」
返ってきた反論は、最後に出たのは5年前、10年前、場合によっては20年前。
今回も、おそらくこういう時にXで執拗に反論してくる9割は、現役でスタンダードのショップ大会になど出てはいない。
それなのに、嬉々として反論に参加しているのである。

この前お店に初心者が来た時に常連さんが世話を焼いていたが、その時まず最初に話していたことが「ネットでスタンは高いとか言ってる人いますが、ああいう人たちエアプなんで信じないで下さいね。」
そこからスタンのカードに価格がつく仕組みの説明が始まっていた。
現役でやってもいない人がネットでばら撒いたデマを、現役プレイヤーが現場で修正している、これが今現場で起こっている実態である。

 

今回の件にしても、現役でショップに通っている人なら、一見の初心者さんが店でダイレクトにスペースにいる人に話しかけてスタンダードのフリープレイ相手を探すことがいかに無理筋かすぐにわかったはずだ。
まず20年前なら、ショップにいてMTGをやっていた人で、スタンダードをやっていた人は9割で、そのうち9割が大会に出ていたと思われる。
他のレギュをやっていた人も、ほとんどがスタンダードも並行してやっていた。
その時代なら面識ない相手でもフリープレイは成立しただろう。
 
現代は、大会に出ずにグループだけで遊んでいる人が半分はいるし、MTG専門店でプレイしている人の中でスタンダードをやっている人自体がおそらくたったの2割にも満たない。
スタンダードは大会に出ずグループで遊ぶだけの割合は他のレギュと違って少ないので、大会外で店のフリースペースにいる人でスタンダードをやっている人は、いたとしても仲間と競技大会の練習で訪れているくらいだろう。

そもそも地方のスタンダードのショップ大会では、専門店でも8人集まればいい方、東京の専門店でも、平日はスタン大会成立がしない時間帯の方が多いと聞いている。
スペースに常駐しているスタンダードのフリープレイ相手なんてほぼいないし、都会でも田舎でもマナー云々以前に、まともに対戦するには大会に出るか、店に仲介してもらうしか事実上選択肢がない。
現役のスタンダードプレイヤーならこれらの事情はわかっているわけで、よって9割がエアプで反論しているだけ、ということになる。

それにスペースには、スタンダードディスりおじさんがいるリスクだってあるので、とてもじゃないが安易にお勧めできない。
大会中に、まだスタンダードなんてやってる奴いるんだなどと嫌味を言って回っているおじさんである。
スペースで話しかけてしまったら最後、そんな誰もやっていないレギュやめなよとか言われて散々スタンダードのディスりを聞かされることだろう。
思想的な面のことも考慮すれば、普通はスペースの両者のコミュニケーションに丸投げなど到底できないことはわかるだろう。

 

現代のショップでは、元々の友達だけとスペースを使ってフリープレイをしたり、コミュニケーションは最低限に留め大会だけ通う、大会で知り合った関係性のある人とだけフリープレイに応じる、という遊び方をする人は少なくない。
知らない人から話しかけられるのを前提として遊んでいない人が増えており、中には強い不快感を示す人も多い。

今回、店からのフリープレイの斡旋を強く拒否したおじさんたちに共通して言われたのは、「フリープレイが嫌なら断ればいいだけだろう」だった。
現代では、話しかけられた時点で相手にとっては、「友達同士で飲食店に行ったら、相席いいですかと座ってこようとした人がいた」「友達同士でカラオケで歌っていたら、一緒にいいですかと部屋に入ってこようとした人がいた」と同等の不快感を抱く可能性を一切考慮していない。
スペースで居心地の悪さを感じれば、もうそのお店に来ることはなくなるグループも多いだろう。
店との関係性も結べない、相手の居心地に配慮する神経がない、これらのおじさんは、まともなコミュニケーションができていない人である可能性を示唆していることに気付いてほしい。
拠点や仲間などの背景がない人は、他人とうまくコミュニケーションが取れず、問題を起こして他の店に出禁にされたり、コミュニティから追い出されて流れてきた人の可能性だって十分あり得るのだ。

 

初心者は最初に大会に出ないとフリープレイをしてはいけないのか!についてだが、はっきり言ってそれが望ましい。
MTGは思想が強く出るゲームである。
スタンダードディスりおじさんも大きな括りで言えば思想の1つではあるし、今回のフリーでは初心者とはやらない、すぐに勝ちたいのならある程度お金はかけるべきだ、というのも思想の1つである。
それぞれの思想はあれど、お互いそれを持ち込まないという示し合わせの上で対戦のマッチングの機会を提供するのが大会となる。

ショップ大会はハードルが高いというデマも勘弁してほしい。
初心者こそすぐにショップ大会に出る目処をつけるべきで、アカウント登録など大した手間ではないし、フリープレイと違い、自動でマッチングしてもらえるので終始コミュニケーションは最低限でもよく、ゲーム的にも、スイスドローにより最終的に実力の近い人同士で当たれる仕組みになっており、勝利体験を得られる可能性のある最短ルートにもなるはずだ。
対戦相手には初心者に対応する義務も発生し、リターンとして大抵1勝が得られるので、競技大会でなければ初心者が迷惑を心配する必要もない。
大会はたいへんよくできたシステムで、TCGというゲームの最大の魅力の1つと言ってもいいだろう。

そして、大会に複数回通って、関係性を結んだ複数人に対してフリーを申し込むという流れだと、その中の1人に尖った思想があったとしても、他の人の思想もあることでその場で平均化され、1人の尖った思想に振り回されるような影響を受けにくくなる。
直フリーでたまたま会った人の思想に引っ張られるリスクを負うより、一から大会に出てフラットな状態から始めた方が、その後のゲームライフの構築にはベターだろう。
特に大会に出ないでフリーでプレイする層は、店のプレイ環境を作って行くのに興味がないタイプもいるため、大会やコミュニティ、タイトルの取り扱いなど、大会に出ることは、自身のプレイ環境の存続のためにプラスにもなる。

 

現代のショップの役割とは何か?
一見さんと既存の利用者の間に、補助線を引いてあげることだと思っている。
他の利用者と段階的にコミュニケーションを取れる方法、来店に最適な日時などを伝えてあげて、グループだけで遊びたい人たちとは住み分けられるようにし、業務でフルで対応できない店に代わって、信用、熱量、技術、思想が揃った常連さんとのコミュニケーションを促す。

 
 
TCGは続けるにはしんどいゲームだ。
泣き言を初心者だからと擁護したり、嫌な思いを一切させないホスピタリティを入り口で目指したところで、精神的に強くなければ、結局どこかでつまずいて辞めることになる。
今回の件は、辞めたプレイヤーをたくさん見送ってきた現役プレイヤーほど偽善からは遠ざかるので、甘やかす必要などはないと、割と冷めた目線で見ているのではないだろうか。

 
 
MTGスタンダードは歴史が長く、その中で人口がどんどん減っていったゲームだ。
紙の現役ではない99%によってネット世論が形成される傾向があり、実態に則していないことが山ほど存在する。
現役プレイヤーはリスクしかないので発言は控えるし、店が代わりに矢面に立って声を上げても、世論と違えば非常識な店が言っていることとかき消されてしまう。
非現役プレイヤーの無責任な発言のツケを払うのは、現役プレイヤーでありコミュニティであり店なのだ。
現役ではないのにMTGの現場の話題に絡む人は、今一度その点をよく考えて発言してほしいと願う。

 

今回は以上です。

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コメント

2
さいころ
さいころ

あのツイートの人構ってちゃん疑惑あります。話の流れ追ってみましたが、あのツイートの数日前に「一人でマジック始めたけど...」ってツイートして、そこに付いたリプでショップ行くことと店員に相談することを勧められてるんですが、そこでもう「ショップには行ったけど対戦拒否されて~」って話してるんですよね。その後あらためて同じ内容でマジック辞めようかなツイートしてるので、何かそういう雰囲気を感じました。

N.K.
N.K.

コメント失礼します。MTGは未プレイです。こういったゲームはフリープレイをこなしてから大会に出るのが流れだとおもっていたのですが、逆だというのが驚きでした。
いろいろと実情に合わせたり、始める前に押さえておくこともあるんですね。

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MTG初心者に対する偽善|あなーば@店主
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