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 Dead End 2






ああ、あたしって、バカみたい。



BGMのボリュームをあげながら、それでもバスルームに耳をすませる。
脚を組みなおしてみたり、ひっくりかえってみたり。
じりじりする胸の内が、どうしてもつかめない。


きっちりとしているあの子らしくない、バスローブ忘れてる。
ドアの前でノックしようか、考えるのが情けなくて。
だから腕を突っ込んだ。










泡に浸かってふわふわのあなた。
髪なんか少し濡らしたまま、そんな上目で見るんだもの。
折角計った距離感が、あたしの中でいっぺんに崩れてく。
ずかずか入り込む、あたし。
口が半開きよ、あなた。



洗面台にバスローブを放り出し、あたしは服を放り出す。

「あの、りかさん・・・」
「入るの。悪い?」











りかさんは笑うわけでもなく、けれども、
脱皮でもするように気持ちよさそうに、着ていたものを落としてしまう。
わたしがどぎまぎする隙もなく、バスタブの泡が溢れ出す。
人差し指で泡を救い、わたしの身体に伸ばしてく。
首筋から肩に、そして鎖骨に、そのまま丸く弧を描くように。
わたしはされるがままに、じっとりかさんの目を見詰める。
りかさんの指先だけが触れる距離で、わたしたちは向かい合って、
泡の下に指が潜ってゆく、わたしたちは見詰め合ったまま。
小さく泡に波が立つ。



描く指は丸みの頂点から、なだらかに鳩尾へと落ちていく。
遊ぶように気まぐれな線を、わたしの身体に引いてゆくように。
そして、ふっと指が離れる。


「ねえ・・・・脚が、見たい。」
「わたしの?」
「他に、誰のよ?」


仕方ないから泡に膝頭を覗かせる。


「だめ、これっぽっち。」
「だって、お風呂・・」
「だめ、ちゃんと見せて。」
あたしきっと、湯気が頭に詰まっちゃったのね。
熱いもやもやの、詰まった頭は、
出口を探してぐるぐるするばかり。



「いいでしょ。立って。」
我侭と意地悪が、まるでない交ぜね。
泡の中で小さくなって、小首を傾げた上目遣い。
あたしは精一杯余裕のある顔をして、バスタブの縁に肘をついて。



仕方ないなというように、泡のガウンを纏ったまま立ち上がる。
「りかさんは?」
「何?」
「りかさんだって ・・・・・立ってよ。」
「やあよ、恥ずかしい。」
「ずるい。」
「こないだ散々見てたじゃない。この角度でさ。」


泡の隙間から覗く肌は、さっきの指の名残に上気したまま。
所在無いという顔で後ろを向いて。
「もう、わたし、あがりますから。」
「泡だらけよ。」
シャワーを手にとって、栓に手をかける。
「そのままだと、かかっちゃうよ、りかさん。
 ・・・立とうよ 。」
「いいわよ。かかっても。」







あたしったら、いつのまにか笑ってた。
さっきまでの堂々巡りはあたしのスケベ心に適わないらしい、
もう、行き止まり、いやんなっちゃうわ。
















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