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  Don't disturb 3







すべすべの肌。
なめらかに震える。





「・・・・っ 。」




洩らす息。
歯を立てる。




「どしたの?」
「ちょっと・・痛い・・・かも。」
「そお。」




あたしは構わずに、一層強く吸い上げる。
ベッドサイドのデジタルは、もうとっくに一桁に。
でも、まだ足りないでしょ。


「ねえ・・りかさん。
 ・・・   痛い。」


「あっそ。」



身体を離す。
理性の力で、無理矢理に。
困ったように見つめるあなた。
真っ白い肌に、薄く走るあたしの名残。
明日まで残ったらどうするつもり?
あたしってば、どうかしてる。


小さな肩、しなやかな首、
まあるい目で小首を傾げ、あたしを見上げる。
吸い込まれてしまいそうで、
視線を引き剥がしあたしはブランケットを被る。



ベッドの軋みで、半身を起こすのがわかる。
あたしを見つめ、尖らせた唇で言葉を飲み込んでる。
全部わかってる。



「ごめんね。」



ああ、もう謝るとこじゃないわ。
あたしが勝手にいらついてるだけ、あなたは怒っていいはずでしょ。
みっともなくて耳まで赤くなっちゃうじゃない。
あたしは白い壁のクロスを眺めながら、固まってしまう。



「ごめんね。ごめんね。」



そう言いながら、そうっとあたしを包むように。
あたしの跡がついた身体が、あたしを抱き締める。
髪に鼻で触れてみたり、睫で耳元を擽ってみたり。
あなたはあたしにスプーンみたいに重なって、
あたしはあなたに向き合えないままで。



「なにが?」
「え?」
「なにが、ごめんなの?」




重なりあったまま、あたしは不貞腐れた声を出す。
何事も拘らず、引きずらず、
風みたいに軽やかに。
そんな風にいけば世話は無い。
いかないから言っている。
あたしの風は、いま何処を吹いている。








いいことでしょ。
よくあることでしょ。
あたしだって、そうだった。
だから出会えた。


あなたと。









目を固く瞑り、この子の体温に浸されよう。
肩甲骨を這う、胸の柔らかさに委ねよう。
手の甲を包む掌、絡む指先。


手元に引寄せて、軽く噛む。




「痛ったあい !」
「謝ってすませようとか、十年早いってば。」


そしてあたしは、あなたに身体を向ける。
本当はがっついている口元を、余裕を装って触れあわせる。
舌を捻り込む、むせ込むような音がする。
並びのいい歯がぶつかるほどに。きつく押しあてる。
思いきり抱き締めると、強く抱き返す。
そういう処は躊躇がないのね、あなた。


起き上がろうとするあなたを、肘で押さえ込んで。
「いいってば。」


今度は優しく、掠めるみたいに。
あたしの跡に、もう一度重ねる。
ブランケットはとっくに足元へ丸まって。
セピアの間接照明に、まろやかな身体の線が浮き上がる。
うっすらと体温が匂い立つまで。
仄かに身体が染まるまで。
あたしはあなたを昂めてあげる。
洩れる吐息に、口元が綻ぶまで。



「どこが、いい?」
「どこも。」



あたしの下で反応する身体ならば、素直に受けとめられるのに。
あなたに押し寄せる波に、あたしも同調する。


泣いて去ってしまうあなたなんか、見たくない。
たとえ、それが演技でも。
ああ、あたしって、すごく馬鹿。



だから、何度でもいかせてあげる。
だから、謝ったりしないで。



「ねえ。」
眉根に皺が寄って、吐息の温度が急に上がる。
締めつける、身体。
「・・・ん。」




あなたの波に乗り、あたしは風を忘れ。
あたしたち二人きり。



だから、邪魔しないで。













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