薬物を友人に強要する少女たち(SNSより)

悪名高い「人身売買エリア」

ラオスの1人当たりの国内総生産(GDP)は2066.9米ドル(約30万2600円、2023年)と、東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国の中でも2番目に低い。GDPの内訳はサービス業が約4割、鉱工業・エネルギーが約3割、農業が約2割を占めるが、目立った産業が育っていないのが現状だ。

中でも貧困層を食い物にしているのが、北部ボケオ県にあるゴールデントライアングル経済特区(SEZ)だ。経済特区では2009年にカジノが開業し、ネオンがきらめく異空間が広がる。マカオを彷彿とさせる街並みで見た目は華やかだが、オンライン詐欺や売春を目的とした人身売買が横行している。

経済特区の開発を主導してきたのは、中国人の趙偉(ちょう・い)氏。“ギャングのボス”と知られ、黒い噂が絶えない人物だ。米財務省は2018年、趙偉氏率いる国際犯罪組織がラオスのカジノを通じ、児童売春を含む人身売買、薬物取引、資金洗浄(マネーロンダリング)などの犯罪を行っているとして、同氏に対して制裁を発動した。

ゴールデントライアングル経済特区の豪華ホテル
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特に新型コロナの感染が拡大してからは、主に失業した女性らがニセの求人にだまされてこの経済特区に来た後、オンライン詐欺や売春を強要させられる事例が相次いだ。被害者はラオス人だけでなく、東アジアやアフリカ、南米など多国籍にわたる。

米国務省が発表している世界各国の人身売買に関する報告書によると、2023年にはこの経済特区で働いていた2500人以上が取り締まりの対象となり、そのうち25人が人身売買の被害者と認定された。政府に認定されていない被害者はもっといるとみられる。

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