7月3日公示、20日投開票の参院選に向け、各党は幹部が各地で街頭演説するなど「参院選モード」に入っている。今月22日の東京都議選では自民党の退潮が浮き彫りとなり、各党は自民から剝がれた層の受け皿となる戦略を模索している。都議選で初めて議席を獲得した参政党と国民民主党は、野党第一党の立憲民主党と一線を画し、保守層の取り込みを図っている。
自民が左傾化
「政権交代して立憲民主党政権になったら困る。選択的夫婦別姓などがすぐ通されてしまう」
参政の神谷宗幣代表は24日、甲府市内で街頭演説し、こう語った。「自公政権がやっていることはおかしいが、国会を見ていると、政権担当能力があるのは自民党と公明党の議員に多い」とした一方で、「その人たちがうまく活用できていなかったり、自民党自体が左傾化していて変なことを言っている。自公政権を中道に戻さないといけない」と述べた。「参政が単独で与党になろうとは考えていない。人が育つには時間がかかる。でも日本には時間がない」として、参政の議席を増やし、自公に政策の方向性を変えるよう迫る必要があるとの認識を示した。
重点政策としては、神谷氏は経済の立て直しと少子化対策を挙げた。「減税と積極財政で国民経済を立て直したい。財務省のいっているプライマリーバランス(基礎的財政収支)の黒字化をやっていたらジリ貧は見えている」と述べた。
少子化対策については「社会保障制度などお年寄りの生活を守ろうと思ったら若者が必要だ。日本の若者が減り続けている状況を全部外国人で埋めようというところに、国の形が大きく崩れてきている原因がある。十何年も前から分かっていたのに何もしてこなかった。自民、公明が本気ではないから、一回参政に本気でやらせてほしい」と熱を込めた。
「方法は一つ。若い女性に早く結婚してもらい、一人でも多く産んでもらうしかない」としたうえで、0歳から15歳の子供への月10万円の給付によって動機付けするといった党の政策を説明した。「グローバリズムの金もうけ主義に乗るのではなく、『日本人ファースト』で日本人がお金を使えるようにして、日本人を増やして国力を取り戻したい」と強調した。
赤ちゃんでもおかしいと
国民民主の榛葉賀津也幹事長は24日、金沢市内で街頭演説し、「私は野党第一党のように『政権交代』とか言わない。『大臣のクビを取る』とか言っていない」と述べた。「『自民党しっかりしてくれ』『あんたらおごっちゃいないか』と、参院選で自民党に活を入れ、お灸を据える」と述べた。石川県は「保守王国」といわれるだけに、立民と一線を画すことで安心感を演出する狙いもあるとみられる。
榛葉氏は党の看板である「手取りを増やす」政策に時間を割いた。ガソリンの暫定税率を7月1日から廃止する野党提出の法案が廃案になったことに関しては、自民の対応を批判した。「自民は立派な理由を2ついっていた。あまりにも急すぎる、と、財源がなくなる、だ」と紹介。前者に関しては、自民・公明、国民民主の3党が昨年12月に暫定税率廃止で合意していたことを挙げ、「約束したことをやるのであれば、今ごろとっくに準備ができている。この半年間、何もやらずに怠けていたから、この期に及んで時間がないと言う」と述べた。後者に関しては、自民が参院選の公約に掲げた現金給付と比べ批判した。「取りすぎた税金をばらまくのだったら、最初から取るなという話だ」と述べたほか、給付金には3兆4千億円が必要だとして、「選挙の前にばらまく3兆4千億円があって、地方のみんなが困っているガソリン税(の財源)8千億円がないって、赤ちゃんでもおかしいと分かる」と訴えた。(沢田大典)