法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

最近に公開された『寿エンパイア』の番外編「早春」が、福祉につなぐ困難と希望を描いていた

 まだWEB漫画サイト「裏サンデー」では前編と中編しか公開されていないが、漫画アプリ「マンガワン」では後編まで公開されている。
urasunday.com
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 印象的な描写として、母子家庭で困難な生活におかれた少年が行政の福祉をこばむ場面がある*1

一時保護所には行かないと叫ぶ少年の顔アップ
一時保護所が必ずしも環境ではないと説明する担当者と、それを電話で聞く少年を保護した大人

 たまたま先日からあらためて言及している問題が、あくまで番外編の主人公が少年を一時的にひきとる経緯の一幕ではあるが、普遍的な事例として提示されたわけだ。
公金の無駄づかいを批判するなら、生活保護の受給を助ける個人や団体に本当は感謝してもいい - 法華狼の日記

 ここで反省するべきはsio氏ではないし、もちろんColaboでもない。誤った根拠と理屈で不正受給の疑惑をかけ、支援対象者を不安にさせ、福祉につなぐことを阻害した人々だ。支援対象者に信頼される行政と社会をつくることができていない私たちだ。

 そして問題に向きあう人々がそれぞれの場所で行動していく。社会の側が切り捨てることを当然視はしない。そのことに一読者として感慨をおぼえた。


 念のため、中編までは繊細さが要求される題材のわりに物語としてあつかう手つきの危うさが気になるところはある。前編で嫌な予感をおぼえた場合、それが中編で的中したと感じるかもしれない。それでも後編を見て、読んで良かったとは思えた。

*1:「早春」前編9頁、11頁。