トランスジェンダー市議に「おっさん」と発言 賠償命じる判決

女性として社会生活を送るトランスジェンダーの愛知県内の市議会議員が、懇親会の場で当時の市議会議長から「おっさん」などと言われたとして賠償を求めた裁判で、名古屋地方裁判所は「社会的に許容できる限度を超え、侮辱にあたると言わざるをえない」として、当時の議長に17万円の賠償を命じました。

訴状などによりますと、男性として生まれ、その後、性同一性障害と診断されて戸籍上の性別を女性に変更した愛知県春日井市の市議会議員、小嶋小百合さん(71)は、去年開かれた議員などの懇親会の場で、当時、議長だった男性議員から、仕事でパソコンを操作していた時につまようじを使っていたなどと話題にされ、「おっさん」などと言われたということです。

小嶋議員はショックから不眠症などの症状にも陥ったということで、男性議員に150万円の賠償を求めていました。

25日の判決で、名古屋地方裁判所の大竹敬人裁判長は「トランスジェンダー当事者の原告が『おっさん』ということばでやゆされること自体、名誉感情を損なうものだ。社会的に許容できる限度を超え、侮辱にあたると言わざるをえない」と指摘しました。

そのうえで「男性議員は、原告が当事者であることを十分認識していて、懇親会の席での軽口だったとしても過失があったと言える」などとして、17万円の賠償を命じました。

小嶋議員「ことばを無責任に世間に放たないで」

判決のあと、小嶋小百合議員は、名古屋市内で会見を開き「心の中で思うことは自由ですが、ことばを無責任に世間に放たないでほしいです。これは今回だけの話ではなく、何気なく言ったことばが人を傷つけることを知ってほしいし、研修などがもっと広まってほしい」と話していました。

また、代理人の仲岡しゅん弁護士は「LGBTQに限らず、そういったことばで人を傷つけるということが不法行為になると裁判所が認めたことは、意義があると思います」と話していました。

男性議員「弁護士と相談」

判決を受けて男性議員は「判決文を読んで、弁護士と今後のことを相談したい」とコメントしています。

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