20 決戦の終結と始まり


「この布陣で光竜王を撃破されるとは……!」


 ディータが険しい表情でうなった。


「君の――いや、君たちの潜在能力を甘く見すぎていたようだ」

「一本取られた、ってやつです」


 シリルがぺろりと舌を出す。


「とりあえずは出直そう。いったん戻るぞ」

「了解です」

「待て! お前たちは光竜王の仲間じゃないのか? 世界征服でも企んでいるのか、それとも――」


 俺は二人をにらんだ。


 こいつらの目的はなんだ?

 世界の敵ともいうべき光竜王に加担していたのは、一体どういう目論見があるんだ?


 すべては、謎だった。


「征服などという低俗な行為に興味はない。私は――私たちは『星の心臓』を目指す者だ」

「あなたも仲間になってくれたら嬉しかったのですが――その『資格』がないです」


 ディータとシリルは冷たい目で俺を見ていた。


「君はいずれ、私たちの障壁となるだろう。ゆえに消去する」

「『星の心臓』に至ることができるのは、あたしたちかあなたたちか……どちらかです」


 言うなり、二人の姿が消えた。

 シリルの【転移】で移動したんだろう。


 光竜王を倒すことができたものの、不穏な幕切れだった……。

 と、





『術者の戦闘経験が一定値に達しました』

『術者の付与魔術がレベル4にアップしました』

『付与魔術に新たな領域が追加されます』

『付与魔術、第四術式の起動が可能です。起動しますか?』




「……どうせなら戦いの最中にレベルアップしてほしかった」


 俺はため息をついた。


「まあ、それはいいか。今は新しい術式を起動しなくてもいい。とりあえず城に戻るのが先決だ」


 俺は空中に向かって呼びかけた。


 戦いはいったん終わったんだ。

 第四術式の詳細を調べるのは、休息してからで十分だろう。


 俺はあらためて全員を見回した。

 一番大きな怪我を負ったのはリリィだけど、それもマーガレットの治癒呪文でほぼ治った様子だ。

 他に大きな傷を受けた人間はいないようだった。


 その事実に安堵する。


「みんなが無事でよかった」


 俺は自然と笑顔になった。


 それだけで、まずは十分。


「さあ、帰ろう――」

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