北大「追い出し部屋」問題 冷遇准教授3人が独立、学生指導も再開

北海道大の正門=札幌市北区で2025年6月19日午前10時3分、鳥井真平撮影 拡大
北海道大の正門=札幌市北区で2025年6月19日午前10時3分、鳥井真平撮影

 北海道大理学研究院の化学部門で複数の准教授が「教授会によって組織的に孤立させられている」と訴えていた問題で、同部門が准教授による独立した研究室の運営と学生の研究指導の再開を認めたことが、毎日新聞の取材で判明した。たった1人で研究に取り組む「孤立状態」が4年以上続いた准教授もいたが、一部改善された。

 化学部門では、教授が退職や異動で不在となった研究室に残った准教授らを「旧スタッフ」などと呼んで区別。教授会に当たる「講座委員会」は2020年度、旧スタッフを対象に、学生を新たに配属しない▽居室を移動させる▽研究室業務を原則担当させない▽新任教授は旧スタッフを引き受けない――などとする内部基準を作成した。

 旧スタッフは研究を共にする学生も配属されず1人で研究する環境に置かれ、こうした扱いを不服とした複数の准教授が24年1月、「追い出し行為に当たる」として理学研究院に陳情書を提出していた。

 化学部門などは今年6月までにホームページで、旧スタッフ4人のうち3人の准教授が部門内で独立して新たな研究室を運営していると公表。3人の研究室に学部4年生を配属したことも明らかにした。残る1人は博士課程の大学院生の指導資格の有無などが要因となり見送られたとみられる。

恒久措置かは不明

 毎日新聞は3月、旧スタッフの待遇の改善状況などについて講座委員会に問い合わせた。委員会は、教員が風評被害を受け、教育研究に支障が出ているなどとして「着実に進展しているが、質問への回答は控える」などと返答。内部基準を廃止したかは明らかにせず、今回の独立容認が今後教授が不在となる研究室の准教授らにも適用される恒久的な措置かは不明だ。

 研究環境の問題に詳しい一般社団法人「科学・政策と社会研究室」の榎木英介代表理事は「当たり前の状態に戻っただけでマイナスがゼロになったようなもの」と評価。「長期間、研究者を苦しい状況に陥らせた責任は重い。講座委員会は内部基準の扱いを説明すべきだ。人を大切にしない組織に良い人材は集まらない」と指摘した。【鳥井真平】

あわせて読みたい

この記事の筆者

アクセスランキング

現在
昨日
SNS

スポニチのアクセスランキング

現在
昨日
1カ月