【投資のプロが公言】インデックス投資は終焉、インフレ時代だからこそアクティブ運用をするべき納得の理由
トランプ関税により株価の乱高下が続いているが、「インフレ時代に勝てるのはアクティブ運用」と、投資の専門家は公言する。人気のインデックス運用ではなく、骨太のアクティブ運用がインフレに強い、その納得の理由とは?※本稿は、中野晴啓『ほったらかし投資はやめなさい』(宝島社)の一部を抜粋・編集したものです。
● インフレ時代だからこそ アクティブ運用が求められるワケ
岸田政権時代から掲げられてきた「資産運用立国」を実現するため、国は資産運用業の高度化を図る施策を進めています。
では、運用の高度化とは、具体的に何を意味すると思いますか?AIによる市場予測やクォンツ(統計的・計量的分析)、デリバティブ(金融派生商品)の活用などを連想した読者もいるかもしれません。
しかし、個々の企業の本源的価値を合理的かつ科学的に分析して導き出す能力を磨き上げていくことこそ、運用の高度化に直結するものだと私は考えています。
本源的価値とは、その企業が事業を通じて創出していくものです。新たな富を生む力であり、投資家には本源的価値の高い企業を選び抜き、忍耐強く長い時間軸で保有し続けていくことが求められていると思います。
今、この国に求められているのは、本格的な長期投資を実践する骨太のアクティブ運用ファンドです。私が新会社を設立した理由の1つは、そういったファンドを自分の手で提供したいと考えたことにあります。
そして、もう1つの大きな理由は、まさに目の前でインフレ社会への転換が進んでいること。
インフレが恒常化すれば、資産運用の在り方も抜本的に見直す必要が生じます。
それまで続いてきたディスインフレ(物価上昇が鈍化する状態)の社会では、インデックス運用が最適解で心地よさも感じたことでしょう。しかし、インフレ社会へのパラダイムシフトが発生すると、事情は一変します。
インフレの進行に伴い、真っ当な銘柄選択を実践するアクティブ運用がインデックスを凌駕する成果を上げやすい環境が整ってきているのです。インフレ時代にアクティブ運用がインデックスに大きな差をつける背景について、次で詳しく説明したいと思います。
● インフレ下では企業の実力差が際立ち “優勝劣敗”が進む
インフレが進むのは当たり前という状態の社会構造に変わると、産業界においても“優勝劣敗”の色彩が濃くなってきます。ディスインフレ社会ではインデックス運用が心地よかったように、ダメな会社も相対的に大きくは業績が低迷せず、どうにか生き延びられました。
そして株式市場全体に余剰マネーが流れ込むことで株価が全体的に上昇して、ダメな会社であっても経営努力が必要だという意識は働きにくくなります。
ところが、物価の上昇が大前提となる社会に移行すると、今度は企業の実力差が株価にも大きく反映されるようになります。
インフレ下で圧倒的に強くなるのは、自社が提供している商品・サービスの価格支配力がある会社です。
物価上昇でコストが増加しても価格に転嫁でき、需要があるので売れ行きが鈍ることもありません。インフレが進んだ分だけ売り上げが拡大し、利益も嵩上げされていきます。そういった情勢を反映し、株価も上昇しやすくなります。
一方で、インフレは普通以下の会社に対して、非常に厳しい逆風として作用します。下手に価格転嫁を行うと売り上げが低迷する恐れがあることから、収益力が劇的に低下し、最終的には持続可能性を失って淘汰されかねません。
こうした産業界の“優勝劣敗”こそ、骨太のアクティブ運用がインデックスに大差をつける要因となってきます。緻密な分析に基づいて強い会社を選び抜いてきたことが結実し、インデックスを凌駕するようなリターンを顕在化させる日が早晩訪れるでしょう。
● QEからQTへの転換も アクティブ運用の追い風に
だからこそ、インフレ時代に本格的な「資産運用立国」を目指すうえで最も必要なのが長期投資の骨太アクティブ運用ファンドであると、声を大にして申し上げたいと思っています。
デフレからの脱却を図って日本銀行は「量的金融緩和」と呼ばれる政策を進めてきましたし、米国の中央銀行に相当するFRB(連邦準備制度理事会)もコロナ禍で同様の手を打ちました。
いち早く米国は「量的金融引き締め」に転じ、インフレ鈍化を受けて2024年秋以降は金融緩和(利下げ)を実施しています。
すっかり周回遅れとなっていた日本も、ようやく「量的金融引き締め」のフェーズへと進みました。なお、英語で表現すると「量的金融緩和」はQE(Quantitative Easing)で、「量的金融引き締め」はQT(Quantitative Tightening)といいます。
このQEからQTへの転換は、インデックス運用からアクティブ運用への主役交代を暗示しています。
QE時代には世の中に出回るお金の量が増え、もっぱらその受け皿になったのが株式市場でした。そして、株式市場へ資金を投じるための手段として主に選択されたのがインデックスだったのです。なぜなら、個別銘柄を精査して選りすぐる手間がかからず、手っ取り早く運用を進められるからです。
● 機関投資家の売却により インデックス全盛期が終焉
公的年金の原資を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)を筆頭に、世界中の機関投資家がこぞってインデックス運用を中核に位置づけました。その結果、いい会社とダメな会社が十把一絡げとなって、指数が顕著に上昇したわけです。
逆にいえば、いい会社が高く評価され、ダメな会社は低く評価されるという資本市場に求められる本来の役割がうまく機能しなくなっていたということになります。優良企業を厳選してインデックスをしのぐ成果を目指すというアクティブ運用にとってはまさしく逆境だったのに対し、インデックス運用は全盛時代を迎えていました。
しかし、QTへの転換によって風向きが反転する局面が訪れています。世の中に出回りすぎた資金を中央銀行が回収することは、機関投資家がこれまで投資してきた資産を現金化する動きにつながります。
機関投資家の売却によって、インデックスには大きな下げ圧力がかかります。つまり、これまでとは逆回転が生じ、インデックス全盛期が否応なく終焉するということです。
反対に、こうした転換が追い風として作用するのがアクティブ運用です。市場全体が下げている局面でも、個別に目を向ければ、いい会社であることが評価されて“逆行高”を遂げる銘柄さえ存在しています。
しかも、長期投資を前提に長く強い会社であり続ける銘柄を厳選していれば、インデックスがどのように推移しても本源的価値に株価は長期的に回帰していく特性から、安定的な成果を大いに期待でることでしょう。
ダイヤモンド・オンライン
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最終更新:6/16(月) 9:02