稲食い荒らさないで…ジャンボタニシ退治手段に「梅」 高校生が実験

ジャンボタニシ

 稲を食い荒らす大型の巻き貝「ジャンボタニシ」(スクミリンゴガイ)を退治する実験を、奈良県立磯城野高校(田原本町、市原定典校長)の農業クラブの11人が始める。使うのは梅酒にした後の梅の実。どうやって退治するのか。

 昨年は日本酒の酒かすで実験したが、酒かすは入手できる年明けから試験に適する6月下旬まで、保管しておくのが大変。今回は醸造会社が梅酒を漬け終えたばかりの梅200キロの提供に応じ、代わりにこれを利用することにした。

 昨年は6月下旬以降、約1000平方メートルの田を、封筒に入れた酒かすを置いた区画と、何も置かない区画に分けて試験。ジャンボタニシが酒かすを食べることに夢中になることで、稲の食害を減らせないか調べた。

昨年、実験田に酒かすを入れた封筒を置く生徒ら=磯城野高校提供

 結果、多少の効果は見られたが、有意な差が出たとまでは言えなかった。一方で、ハシブトガラスがジャンボタニシを捕食した跡があり、今年はカラスをおびき寄せてより強力な効果を狙うことにした。

 今月22日、校内で実験スタート。長さ約80センチ、幅約50センチの箱を用意し、ミニ田んぼ空間を作って梅をまく。酒かすをまくミニ田んぼも別に設ける。この初期実験を経てほどなく校内水田で本格的な実験に移り、8月ごろまで続ける。クラブは、カラスの鳴き声を収録して現場で再生し、仲間だと思ってやって来たカラスがジャンボタニシを食べることも期待している。

 農業クラブでこのプロジェクトを指導する吉田宏教諭は「役目を終えた梅の実を有効活用し、嫌われ者のカラスもうまく利用し、薬品に頼らない有害生物退治を実現したい」と話している。

 22日は午前10時からで、見学も受け付けている。【梅山崇】

ジャンボタニシ

昨年、実験田に酒かすを入れた封筒を置く生徒ら=磯城野高校提供

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