『スマブラ』『カービィ』生みの親に聞く ヒット作を生み出し続けるマネジメント
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「一寸先は闇」のゲーム業界
――桜井さんは歴史に残るお仕事をされてきました。桜井さんのようなゲームデザイナーは、これからの専門化・細分化した時代においても生まれてくるのでしょうか。 私のようなタイプが生まれるかどうかを論じるのは、あまり意味のないことだと思います。それぞれの人が持つ個性が重要であり、その個性をどう伸ばしていくかが鍵です。私と全く同じレールを歩む人はいないでしょうが、別の方向で突き抜ける人は必ず出てくると思います。 これは例に出すのもおこがましいですが、宮崎駿さんの後継者問題と似ています。宮崎さんは、宮崎さんにしかできない仕事をしているわけで、他の人がそのレールに乗ってまねられるものでもありません。むしろ、それ以外の道で勝負することが大切です。ゲームデザインも同様で、個々のクリエイターが独自の道を切り開くべきだと考えています。 ――ゲーム開発が大規模化し、専門化・細分化する一方で、1人や少人数で制作するインディーズゲーム市場も成長しています。ゲーム市場の今後についてどのように見ていますか。 正直なところ、一寸先は闇ですね。現在のような大規模なゲームを作ろうとすると、手間がかかりすぎて持続可能ではない状況に来ていると思います。このままではいけないとは感じていますが、現時点で有効な打開策として思いつくのは生成AIくらいです。生成AIを活用することで作業効率を上げるなど、スキームを変えていかなければならない段階に来ていると感じます。そして、その変化にうまく対応できた企業だけが、生き残れる時代になるのではないでしょうか。 ――インディーズゲーム市場の可能性については、いかがでしょうか。 インディーズゲーム市場にも課題があります。現在、年間1万本以上もの作品がリリースされる中で、目立つ存在になるのは非常に難しいことです。インディーズゲームには自由度や創造性という魅力がありますが、それだけではなく、市場で成功するためには多くの努力と運、完成度や群を抜くことも必要です。その意味では、大規模プロジェクトもインディーズも、それぞれ異なる形で先の読めない現実に直面しているといえるでしょう。 (河嶌太郎、アイティメディア今野大一)
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