『国宝』3週目でトップ。3時間の映画が異例の右肩上がり。なぜここまで高評価なのか? #エキスパートトピ
通常、大ヒットが期待される映画は公開された週の動員ランキング1位を狙う。2025年なら「コナン」最新作が初週から5週連続1位。「ドラえもん」は同様に6週連続1位。同じ週にライバルが競い合い、翌週に2位から1位に上がる作品もあるが、基本的には1位から“落ちていく”のが常識。
しかし年に何本か初登場のランクから週ごとに上がり、1位に輝く作品もある。今年は『366日』の例もあったが、6/6公開『国宝』の3位→2位→1位のランクアップは、作品への絶賛評が相次いでいることが起因。観客もこの映画の虜になっている。
ココがポイント
臨場感、躍動感、狂気、優雅など(中略)どっと押し寄せ、ただただ圧倒され、知らず知らずのうちに意識を持っていかれた。
出典:女子SPA! 2025/6/21(土)
人生のすべてを捧げた人間の“業”(中略)田中泯は、舞踊によって磨き上げられた身体によって、その“業”を演じてみせた。
出典:リアルサウンド 2025/6/18(水)
吉沢亮、横浜流星の全編の演技と歌舞伎の芸の習得は、今を生きる俳優として最高レベル(中略)映画的カタルシスは尋常ではない。
出典:シネマトゥデイ 2025/6/6(金)
李監督は(中略)『さらば、わが愛/覇王別姫』(93)を観た衝撃から、いつかこんな映画を撮ってみたいという想いを持っていた
出典:映画.com 2025/6/19(木)
エキスパートの補足・見解
観客が点数で評価する映画レビューサイトのFilmarksでは、6/23の時点で『国宝』が4.4(5点満点)と、現在公開中の他の映画に比べても圧倒的な高数字。観客がいかに作品に満足しているかが見て取れる。また人気映画サイトのシネマトゥデイで、評論家すべてが満点というのも珍しい例。
当初、2時間55分という上映時間(予告入れれば3時間超え)が懸念されたが、「途中トイレで一旦退場してもいいから、とにかく観に行く」という声もあるほど。
観客の目をクギづけにするのが、主演・吉沢亮の全シーン圧巻演技と、歌舞伎の本格的習得・表現なのは言うまでもないが、吉沢とは鏡の裏表のような役をこなした横浜流星、そして田中泯ら共演陣が作り出す陶酔の空気感は、映画館で体感してこそ…という口コミが溢れている。
吉沢・横浜のファンだけでなく、「芸道映画」の傑作『さらば、わが愛/覇王別姫』と比較して心をざわめかせている人も多いし、もちろん歌舞伎ファンも触発。シニア世代の観客も多く取り込んでいることから、「少し空いたら観に行こう」という予備軍は多いはずで、息の長いヒットが視野に入っている。興行収入50億円に乗れば、このタイプの映画として異例だ。
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