3
日々に忙殺されながら、その日は迫る。
奥歯に物が挟まったような会話が増えていく。
逸らす瞳、上滑りの会話。
ゆうひが時折物問いたげな顔をする。
一つ組が潰れるだけだ、俺は気にしない。
一人息子の情報は出てこない。
写真の一葉さえも。
掌中の玉という奴か。
変に情が移りたくは無い、だから気にならない。
暖炉に、顔が火照る。
グラスが又、空になる。
ゆうひが顔を覗かせる。
その表情は陰になり、俺からは見えはしない。
「明日、ですが。」
考えるのが面倒臭い。
どうせ出来レースだ、どっちにしても結末は決まってる。
「使えそうな若いの選んどけ、任せる。」
思いの外、酔っている事に初めて気がついた。
困った様な、見透かす様な顔が気に障る。
俺を映す鏡は、時には始末が悪過ぎる。
「飲むか。」
どうして、そんな顔をする。
「いえ、明日がありますから。」
そう言いながら、一向に立ち去る気配すらない。
空いたボトルを彼に振る。
心配を殺した顔で、彼が来る。
「明日に、響きます。」
形のいい手首を掴む。
「それで、気が済むのなら。」
思い切り引き寄せる。
「酒よりは、マシだろう。」
引き結ぶ唇に噛みつく。
薄く眉間に皺が寄る。
そして、諦めたように力が抜ける。
冷たい身体が、火照る身体に沁みて、
静かな眼差しが、ささくれた神経に障る。
暖炉のはぜる音に服を剥ぐ音が縺れる。
行き場の無い苛立ちをぶつけるだけの、俺。
腰を強く、引き寄せる。
喘ぐわけでもなくただ受け入れるだけの、こいつ。
ソファに凭れ、突き上げる。
いつものように昇り詰めていつものように果てる。
テーブルからグラスが、落ちる。
「じゃあ、明日。」
扉の彼を、引き寄せる。
目を開けて、軽く唇を合わせながら、
俺の闇が見えてしまう、気の毒な青年。
愛おしさと、同じ位の疎ましさも多分見えているのだろう。
自己嫌悪に苛まれる夜は、特に。
そろそろ潮時なのかもしれない。
俺は奴を喰い続ける。
解放させる頃合か、と言い訳する。
そして、一人取り残される。
口の端が、嘲るように上がり。
そして又、酒に手を伸ばす。
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