SNS偽情報、災害時は収益停止も デマ被害大きく法規制検討
SNSの偽・誤情報対策の制度設計を話し合う総務省の作業部会は23日、中間とりまとめ案を大筋で了承した。災害時の閲覧数などに応じた投稿者への収益の支払い停止について、法整備を含めて検討すると言及した。注目を集めてお金にする「アテンションエコノミー」に一定の歯止めをかける。
業界団体が策定する行動規範に基づく自主規制を対策の柱として、総務省は2025年内の策定に向け支援すると記載した。地震や洪水など速やかな対応が必要になる場面では、収益停止について法整備を含めて制度を検討するとの方針を示した。
政府がSNS事業者に収益停止措置を求める規制はない。現在は災害時の偽情報対策として直接的な対応は事業者への要請にとどまっている。
SNS事業者が発信者に払う収益の分類では、広告閲覧に応じた報酬、投稿への反応などに応じた報酬、閲覧者から発信者への「投げ銭」、利用者の有料コンテンツ購入への成果報酬などがある。
法整備を検討する上では停止するサービスや災害時の場面の特定、停止対象にする災害の規模、海外にいる投稿者にも法律を適用できるのかといった点で制度設計が課題になる。
国際大学の山口真一准教授(社会情報学)は収益停止について「具体化のハードルは高く、事業者にヒアリングしてバランスのとれた規制にすべきだ」と指摘する。
自然災害時には市民は避難情報などの収集を積極的に行う。生成AI(人工知能)などを用いて偽画像や偽動画を投稿して閲覧数を稼ごうとする投稿者も増える。24年の能登半島地震では虚偽の救助要請が確認された。
若い世代ほど災害情報をSNSから得る傾向が強い。総務省の情報通信白書によると24年のウェブ調査では20代の30%ほどが、地震後最初にアクセスしたメディアとしてSNSを挙げた。40〜60代は10%以下だった。
デジタル規制で先行する欧州連合(EU)が22年に施行したデジタルサービス法(DSA)は、SNS事業者に偽情報などの有害コンテンツの排除を求める。投稿者の収益を停止する措置を直接的に義務付ける規定はない。
中間まとめ案では利用者に興味のある情報を繰り返し表示する「レコメンデーション機能」の適正化も提起した。影響する要素の透明化や利用者が選別に基づかない情報表示を選択できるようにする事例を示した。
作業部会の取りまとめ役を務めた山本龍彦・慶大院教授(憲法学)は適正化の取り組みについて「利用者の主体的な情報摂取はアテンションエコノミーの弊害を抑え、中長期的な市場の変容につながる」と述べた。
レコメンデーション機能は、好みにあわせて情報が選別され他の情報が見えにくくなる「フィルターバブル」や、異なる意見に触れにくくなる「エコーチェンバー」効果に直結し、利用者の意見の偏りを招くとの指摘がある。
文章や画像を自動作成する生成AIに注目が高まっています。ChatGPTなど対話型AIやMidjourneyなど画像生成AIがあります。急速な拡大を背景に、国際的な規制や著作権に関わるルールなどの策定が急がれています。