東京都議選 ネットでの選挙戦を徹底分析 結果は?

各党が参議院選挙の前哨戦と位置づける東京都議選。ネット上ではどのような政策や発信が関心を集めたのか?徹底分析しました。

政党・政治団体名の検索数

まずは、政党名などのインターネットでの検索数を見ていきます。こちらは政党や政治団体の検索数のグラフです。

検索が増えたタイミングが、大きく3回ありました。詳しく見ていきます。

最初に検索が多かったのは「国民民主党」でした。告示前の6月11日、参議院選挙の候補者の公認見送りが決定された日でした。

告示日の13日には「再生の道」が最も多くなりました。石丸伸二代表の名前や「街頭演説」というワードとともに検索されていました。

そして選挙戦の中盤以降は「参政党」の検索数が多くなっています。

最も検索が多かった16日は、前日に全国の3つの市議選でトップ当選したとSNSでアピールしていて、「参政党とは」などという検索が増えていました。

既存政党が検索される度合いは低い一方で、ネットでは新しい政党・団体などへの関心が高かったといえます。

候補者のSNS活用は?

候補者のSNS活用はどうだったのでしょうか?

NHKが都議選の候補者295人について調べたところ、9割以上がXを利用するなど、SNSは欠かせないツールになっていました。

動画の再生回数が多い候補者を分析すると、いずれもスマホ画面を意識した縦長の動画を投稿していました。

また、ネットで反響が大きかったのは、自民党候補の応援に入った小泉農林水産大臣です。

応援に向かう車内でおにぎりを食べる動画は2900万回以上表示されるなど、ネットでも存在感を示していました。

動画配信の戦略

候補者の動画配信は、どれくらい届いたのでしょうか。

各候補者が投稿したYouTube動画の再生回数を政党・政治団体別に集計すると、最も多い「再生の道」は、告示後、延べ280万回を超えています。

「再生の道」は、選挙前に候補者を選ぶところから、YouTubeですべて公開していました。

検索状況を見てみると、去年の都知事選の時に「石丸さんの名前」を検索した人に比べ、今回、「再生の道」を検索した人は7分の1ほど、「石丸さんの名前」はそれ以下にとどまりました。

本人が立候補した都知事選と比べると、関心度は前回にはおよばなかったといえそうです。

街頭演説の状況は

SNS選挙が広がる中、各党が力を入れたのが街頭演説の動画やライブ配信です。街頭演説の回数が多かった幹部の動きを見ていきます。

こちらは、小池都知事、国民民主党の玉木代表、再生の道の石丸代表の街頭演説の動きをSNS発信などをもとにまとめたものです。

小池氏は選挙期間中を通じて少なくとも62回演説しました。特別顧問を務める都民ファーストの会だけでなく、19回はいわゆる「知事与党」の公明党の候補の応援に入り、その様子は動画でも投稿されました。

再生の道の石丸氏は72回、国民民主党の玉木氏は50回、少なくとも応援演説に入っていて、その様子はそのつどライブ配信されました。

ネットの検索・投稿ワード

ネットで検索・投稿された「注目ワード」はどうだったのでしょうか。

「都議選」というワードの検索状況は、前回・4年前よりも今回のほうが下回っています。

背景として考えられる一つが、争点の違いです。

こちらは「都議選」とともにXに投稿されたことばです。回数が多いほど大きく表示されています。

前回・2021年はコロナ禍での選挙で「コロナ対策」や延期になった「東京オリンピック」などに関心が集中していました。

一方、今回はさまざまな言葉が並び、前回のコロナ対策と比べると、関心が分散傾向にあることがうかがえます。

「物価高」や「消費税」といったことばもありましたが、それより目立ったのが「日本」ということばでした。「日本人」や「外国人」といったことばも多く投稿されていました。

都議選でしたが、東京だけでなく「日本の社会や経済のあり方」についての投稿が目立ちました。

なかでも、参政党がキャッチフレーズとして掲げた「日本人ファースト」に言及した投稿が増えていました。

ネット上で議論となり、告示後の1週間でおよそ18万件が投稿されていました。

具体的には「日本人ファーストで何が悪い?ここは日本だ」といった投稿に対して、「排外主義だ」とか「差別や排除が広がる」などと警鐘を鳴らす投稿も広がりました。

都政の関連ワードは

都政についての具体的な関心はどこにあったのでしょうか。

都政に関する検索のワードを分析すると、「シルバーパス」や「水道料金」、「高校無償化」といった検索が多く、自分が対象か調べた人が多かったとみられます。

小池都政の政策が有権者の一定の関心を集めていたと言えそうです。

国民民主党は?

今回は、都議会で議席を持たない政党が議席を獲得するかも注目されていました。

そのひとつ、国民民主党について、去年の衆院選と今回で、検索状況を比較しました。

去年は終盤に向け右肩あがりで伸びていましたが、今回はその伸びは見られませんでした。YouTubeの登録者数も告示日と比較して、2000人ほど減少しています。

登録者数は先月14日以降、減少傾向にあり、この日は参議院選挙の候補が発表された日で、「応援をやめる」といったコメントも見られました。その後、公認の見送りも発表されています。

SNS選挙の課題は

SNS活用が進む中、根拠のない情報やひぼう中傷も課題になっています。

今回も「投票用紙は書き換えられる」といった「不正選挙だ」という根拠のない情報や偽情報が今回も拡散されました。

例えば「鉛筆で書かせてあとで書き換える」といった投稿です。

投票所ではよく鉛筆が用意されているのは、投票用紙がプラスチック素材で、鉛筆の方が書きやすいためです。

日本では投開票の事務作業が厳重に管理されていて、票の書き換えなどはできない仕組みが整えられていると、専門家は指摘しています。

さらに今回もひぼう中傷の投稿も見受けられました。

都議選の候補者のルーツや国籍をめぐる投稿や、外国人差別につながるような投稿が多く表示されていました。

SNSでは過激な投稿が拡散されやすい傾向があり、受け手側も注意が必要です。

(機動展開プロジェクト金澤志江記者、斉藤直哉記者、ニュースメディア部穐岡英治記者、中尾絢一記者)

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