いつかリベンジします
ミカ様は悪人と言われています
でも私にはそうは思えないのです
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「よし、今日のお祈りも無事に終われました」
今日は予定も特に入っておらず、自由に過ごせます
「誰が来られるかもしれませんし、ここで過ごすことにしましょう」
今日の当番である他のシスターが仕事をしたりしているのを少しぼんやりと眺めながら座っていました
「誰も来ないですね…」
他のシスターたちも仕事を一通り終えたのかゆっくりとされています
しかし、こうなって来ると、
「手持ち無沙汰ですね…」
これから人が来られても当番のシスターが対処されるでしょうし、あまりここにいる意味はないでしょうか
「散歩にでも出かけましょうか」
長時間座り続けたら体も固まってしまいます
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しばらく歩いていると体操服姿のミカ様を見かけました
これから奉仕活動でしょうか?
「こんにちは、ミカ様」
「ん?あぁ、こんにちはシスターさん」
「今日も奉仕活動ですか?いつもお疲れ様です」
「ありがとね、でもこれは私の贖罪だからお礼を言われるようなことじゃないよ、またね」
「えっ、あぁ…行ってしまわれました…」
…私も補習授業部の皆様と一緒にミカ様に戦いを挑んだ事がある関係でミカ様が何をしたのかは私も知っています
あんなことになってはしまいましたが、ミカ様が何をしたかったのか…それは分かる気がします
「どこに行くのかだけでも聞いておけばよかったですね…」
場所が分からない以上探すのも難しいですね…
仕方ありません…
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一通り散策して聖堂に帰ると、草むしりをしているミカ様を見つけました
「今日はここで奉仕活動だったんですね」
「あれ?てっきり知ってるもんだと思ってたけど」
「知りませんでした…」
「別に責めてるわけじゃないから、気にしないで」
ミカ様に気を使わせてしまいました…申し訳ないです
ふと脇をに目を向けると3つほど雑草が詰まった大きいサイズのごみ袋を見つけました
「これ全部ミカ様が抜かれたのですか?」
「手伝っちゃ駄目だし、手伝いたいと思うような娘もいないからね」
「すごいですね」
「そうかな、別にそこまでだと思うけど」
「いえいえ、一人でこの量はすごいと思います」
「ふーん、ありがとね」
その後もミカ様のことを見つめていると
「いつまでそこにいるの、別に面白いものじゃないと思うけど」
「あっ、いえ、そういうわけではなくて…」
「いつになったら冷やかしてくるのかなと思ってたんだけど」
「そ、そんなことしません!」
「わ、ごめんね、私のことをそんなにじっと見つめて来る娘って大抵そういうことが目的だからさ」
「いえ、こちらこそ急に大きな声を出してすいませんでした…」
エデン条約での事件の直後だと過激かつ過剰な私刑が行われていたと聞いてますし、私物のほとんどが燃やされたという事件は聞いた時はあまりにもな行動に驚きを隠せなかったです
それが陰口や冷やかし程度にまで収まったのは喜ぶべきことなのでしょうか…
「それはともかく、いいの?私なんかと話してて」
「それは一体どういう…」
「あの時あなたの姿もあったから知ってるでしょ、私がエデン条約の事件を起こした元凶だよ?」
「それは知っていますけど…」
「なら仲良く話してるようには見せないほうがいいんじゃない、かなりマシにはなったけど過激派の娘たちはまだいるからさ」
それを聞いて合点がいきました、私がいじめの対象に入らないように配慮していただいているのですね
「ミカ様は優しいのですね」
「その結論には行かないと思うんだけど」
「いえ、ミカ様は優しい方だと思います」
「いやいや、普通に考えてそうはならないと思うんだけど、私は極悪人と言われてるし事件前までは問題児って言われてたんだよ?」
確かにミカ様の悪評はよく耳にします
「ミカ様が悪人と言われてるのは聞いています」
「だったら…」
「でも私はどうやってもそうは思えないのです」
「え…」
ミカ様のされたことは間違いなく大罪です
しかし、ミカ様を糾弾する人ばかりになってしまうと、ミカ様が壊れてしまいます
だから、この言葉は届けないといけません
「確かにあの事件で傷ついた人はいました、ですがミカ様は悪人ではないと思います」
「なんでそう思うの?」
「ミカ様は間違いなく罪人です、それは確かです」
「ですが悪い人ではないのも確かです、あんなことになってしまいましたが、ミカ様はアリウスの皆様と和解をし、お茶の席で一緒に座ろうと言っていたのは聞いています」
「へぇ、知ってたんだ」
「はい、だから自分のことを悪人とは言わないであげてください、ミカ様本人のためにもアリウスの人たちのためにも」
「アリウスの娘にも?」
ミカ様本人が傷ついてしまうからなのは言うまでもないですが、アリウスの方たちの名前も挙げたのは
「自分たちを救おうとしてくれた人が、自分たちと楽しくお茶でもしようと言ってくれた人が、自分のことを悪人と呼んでいるのを聞くなんて、そんなの悲しすぎるじゃないですか」
「…っ!」
目を見開いて驚いているミカ様の目を正面から見つめ、言いたかったことが心に届くように、思いを込めます
「ミカ様自身の人を想い、幸せを祈るその心を悪だと否定しないであげてください、その祈りはきっと尊いものなんですから…」
「そっ…か…ありがとう、うん、少し自分のことをまた好きになれたよ」
「ほ、本当ですか!よかったです!」グスン
「本当だよ、ってなんで泣いてるの!?」
「だって、奉仕活動をしているところを見かけるたびに顔とか目に光がなくて…今日も…目の奥が暗くて…それが…見ていて…」
「うんうん、あなたは本当に優しい人なんだね、よしよし、ありがとうね」
そうして、泣き止むまで、ミカ様に抱きしめられ、頭を撫でられていました
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「申し訳ありません…私が慰めるはずだったのに、ミカ様にあんなことをさせてしまって…」
「ううん、いいよ…あなたの言葉がとても嬉しかった…それだけで十分だから」
「はい、それなら本当によかったです」
どうやら私の言葉はミカ様に無事に届いたみたいです
それだけで安心してまた目が少し潤んできてしまいました
「あーあー、せっかく泣き止んだのにまた泣いちゃったらせっかくの可愛い顔が台無しだよ?」
「ひょぇ!///…あ、ありがとうございますぅ…」
「そうだ、せっかくだしお祈りをしていこうかな」
「あ、本当ですか?」
「うん、できればなんだけど、一緒にしてくれる?」
「はい!もちろん!」
聖堂で祈りを捧げつつ、横に座っているミカ様を見ると体操服などが少し汚れているにも関わらず、そこにはまるで天使のような美しいミカ様の姿がありました
(い、いけません!集中しなければ)
そうしてお祈りを終えて、少し気になってしまったので聞くことにしました
「ミカ様は何を祈っていたのですか?」
「う〜ん…内緒!」
「そ、そうですか…すいません…」
「そうだ、今さらだけど、あなたの名前は?」
そういえば、伝えていませんでしたね…
「私の名前は伊落マリーです」
「マリーちゃんね!よろしく!」
「はい、よろしくお願いします」
するとミカ様が時計を見つめ、焦った様子で
「まずっ!もう行かなきゃ!ありがとねマリーちゃん!今日は本当に嬉しかったよ!」
と言い、走り去ってしまいました…
「……ミカ様は誰の幸せを祈られたのでしょうか…」
実はこの話までは今のシリーズより前に書いた作品なんです気づきましたか?(どうでもいい)