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Guiano×カンザキイオリ「Love & Music」対談 〜創作論と二人を巡る物語〜 (後編)

聞き手・編集:Misumi (DUSTCELL)

(前編はこちら)

──ここからは二人の出自でもあるボーカロイド文化についてや、そもそもの二人の出会いについてもお話を聞いていければと思います。そもそもボーカロイドで曲を作り始めたきっかけは何だったんでしょうか?

Guiano:イオリさんも僕もボーカロイドで曲を投稿し始めた時期が同じ頃ですよね。

カンザキ:僕は確か2014年末あたりだった気がする。

Guiano:2014年のクリスマスプレゼントにボーカロイドを買ってもらって、僕もちょうどその頃投稿し始めたんです。曲は作ってあって、買ってもらってからすぐにベタ打ちで歌詞を入れてオリジナル楽曲を投稿しました。中学二年生の頃ですね。ボカロを投稿する前は、好きな曲のリミックスやカバーをしていて、そういうことをやっているうちに自然と作曲に興味が出ていきました。ネットで作曲の仕方を調べて作り出したのがGuianoの初期ですね。

──その時は自分で歌うことは全く考えていなかった?

Guiano:そうですね。2011年に「千本桜」を初めて聴いて、音楽って良いなと思ったんです。そこからハチさん、wowakaさん、DECO*27さんだったりを色々聴いていって、僕にとってはボーカロイド=音楽と思えるくらいボカロ曲にはまっていきました。

カンザキ:ボカロにはまったのは中学二年生の頃で、その時期は学校に行く意味が分からなくて不登校だったんですよ。高校一年生になってバイトを始めて、ボーカロイドソフトを買おうと思ったんですけど、そもそものパソコンがすごく古くて曲を作るためのソフトがインストールできないくらいの代物だったんです。代わりにその時買ったのがアンプとかとセットで三万円くらいのギターで、それは今でも使っています。ようやく高校二年生になって、ラーメン屋のバイトをして、パソコンも新しくしてボカロを買って、今に至ります。あの頃は曲を作って、投稿して、友だちに聴かせてっていうルーティーンがただひたすら楽しかったですね。

──お互い投稿し始めた時期が一緒で、こうして今レーベルメイトになっているのはある種運命的なものを感じます。お互いのことを認識し出したのはいつ頃だったんでしょうか?

Guiano:僕がイオリさんのことを知ったのは「命に嫌われている」が投稿されてからですね。

カンザキ:僕はGuianoくんが歌っていた曲がたまたまTwitterで流れてきたのが知ったきっかけです。何気なく聴いてみたんですが、歌詞と声にビビッときて(笑)。年齢もどんな人なのかもわからないけど、魂の叫びを感じて僕からTwitterをフォローしました。

Guiano:イオリさんがまだお米のアイコンの時ですね(笑)。

カンザキ:お米だ、そうだ(笑)。友だちに描いてもらったお米アイコン時代があったんですよ(笑)。懐かしいね。

Guiano:今までイオリさんみたいなボカロPっていなかったから、初めて聴いた時に「無敵だな」と思いました。

──そこからどう親交を深めていったんでしょう?

カンザキ:Twitterで相互フォローになった後に冬のボマスがあって、Guianoくんが出ていたんです。ブースに挨拶しに行って、それが初接触だよね。

Guiano:最初まったく誰だか気づけなくて、「カンザキイオリです」って言われてびっくりした記憶があります(笑)。

カンザキ:その次の年のボマスに僕も出たんですけど、Guianoくんもブースを出していて。その時も会いにきてくれたよね。

Guiano:CDが欲しくてブースに行ったんですけどもう売り切れてたんですよね。でも僕の分をとっておいてくれていて。すごく嬉しかったです。

カンザキ:その後、曲を一緒に作ろうってなって一時期は毎週会ってたよね。焼肉も行ったりしてね。

Guiano:ビビンバ頼んだらすごくまずいビビンバ出てきましたよね(笑)。

カンザキ:あったあった(笑)。そんな仲です(笑)。

──そんなお二人から見て今のボカロシーン、ボカロ文化はどう映っていますか?

Guiano:思うのはアーティスティックなボカロPさんが増えましたよね。

カンザキ:昔は物語系のボカロ曲とかが流行ってましたよね。じんさんやkemuさんだったり。最近はみんなアーティスト性が高いなと思っていて、ボカロシーンは才能の宝庫だと感じます。

Guiano:最近は競争感がすごいですよね、「負けらんねぇ」と燃えている人が多い気がします。バンドをやっていて、その後にボカロを始める人が多いんですけど、僕やイオリさんって最初の音楽の入りからボーカロイドなんです。このタイプは珍しいと思いますね。どこから来たのか分からないような才能を持った人が、たくさんボカロシーンにいるから聴いていて飽きないし面白いです。だからこそ競争心が煽られるし、もっと頑張らなきゃなと思えます。

カンザキ:DECO*27さんが少し前に「アンドロイドガール」というアルバムを出されていたんですけど、表題曲の「アンドロイドガール」では、DECO*27さんの初期の楽曲である「二息歩行」の続編のようなストーリーが描かれているんです。ずっとボカロを一線で続けてきた方が、そうやって過去と今を繋げるようなことをしているのを見て、純粋にかっこいいなと思いました。あの方の楽曲も根本に愛がある気がするんですよ。ひねくれた愛然り、真実の愛然り、ヤンデレ感然り。そういうものをうまく表現されていてすごいなと思いますね。正直ボカロシーンって色んなところで衰退しているんじゃないかと言われるんですが、昔から聴いている僕らからしたら全然そんなことは感じなくて。

Guiano:どんどんすごい人が入ってきていてめちゃくちゃ盛り上がってますよね。

カンザキ:かっこいい曲が沢山あるんですよ。衰退なんかしていないし、日本の才能溢れる若き音楽家たちが大勢集まっている場だと感じます。

Guiano:アーティストのクオリティーも上がってますよね。僕がもし今の時代から始めて曲を上げだしたとしたら通用しないだろうなと思いますもん。

──歌詞の面でも、サウンドの面でも、年々進化していってますよね。今後ボカロシーンはどうなっていくと予想しますか?

Guiano:ボーカロイドってレーベルとして定着しているなって思うんです。ボーカロイドというレーベルからリリースしている感覚に近いです。定着し続けてこのまますごい才能が出ていく場になるんじゃないかなと思います。

カンザキ:僕はボカロという文化がすごく好きだし、Guianoくんも僕も自我の芽生えがボカロみたいなところがあるので、これからもどんどん盛り上がって欲しいです。ボカロにはまって大人になった人たちがまたボカロを盛り上げる企画を立てていってくれることを信じています。今は曲も作りやすくなっているし、もっと色んな人がボーカロイドで曲を作ってどんどん発展していくといいなと思います。

──ボーカロイドの歌声と人の歌声、それぞれどういった良さがあると思いますか?

Guiano:歌とボーカロイドって別物で、ボーカロイドはどちらかというと楽器に近いと思います。楽器に自分の言葉、感情を乗せて演奏している感覚ですね。

カンザキ:人間の歌だと一字一句に感情を込めることが出来るじゃないですか、でもボーカロイドっていってしまえば機械音なわけですよ。でも質素な歌になる訳ではなくて、むしろ機械の声だからこそ歌詞の世界にすごく入っていける気がしています。人間の歌ものだったら第一に印象に残るのがボーカルだと思うんです、でもボカロって声よりも歌詞やインストに耳がいきやすいなと思います。

Guiano:あとは、ボカロの歌声って独特の空気感が作れますよね。「歌ってみた」ってありますけど、楽曲の空気感がボカロと全然変わるなと感じます。

──人間の歌声が持つ表現力の凄さを痛感する一方、ボーカロイドの機械的な歌声でしか出せない独特の良さみたいなものがありますよね。最後にカンザキ君の方からGuianoくんとアルバムへのメッセージを、Guianoくんからアルバムを手に取ってくれるファンの方へメッセージをお願いします。

カンザキ:アルバム収録曲の破壊力がすごすぎて、ライバル心も高まりました(笑)。曲はもちろん、パッケージに入るグッズも超良いし、何よりGuianoくんの曲のネガティブさ、ポップさがどんなところからきているのかが知れそうなライナーノーツもとても楽しみです。表題曲「Love & Music」を聴いて、自分ももっと気楽に音楽をやっていいんだと枷が外れた気もするし、これからもどんどん人に影響を与える素敵な作品を創っていってください。

Guiano:ずっと「アルバム出すよ」って言い続けていたので、ファンの方には「待たせてごめんね」「ありがとう」という気持ちでいっぱいです。でもそれだけ時間をかけただけあって納得できるものに仕上がりました。Guianoってやっぱこういうやつだよなって改めて思ってもらえる作品になったと思います。一つの集大成でありつつ、スタートでもあるような、そんなアルバムです。僕って曲を作る度に曲調が変わるんです。だからこれからもめちゃくちゃ変わっていくと思うけど、どうかついて来いと言いたいです(笑)。


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