「つかさの冬」第2部 1.親衛隊の弄び
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第1回
「硬くなっちゃって。つかさちゃんって,いつ見てもやっぱり可愛いねぇ」
「今週,俺たちに会えなくて寂しかっただろ。今日は,ちゃんと慰めて上げるよ」
「今日は週末だからな。まずは軽く,いろいろと遊ぼうぜぇ。メインは最後にしてさ」
公園沿いの街道を歩く,奇妙な組み合わせの集団が人目をひく。
ガラが悪い,ということではないのだが,妙に周囲から浮いた男たち……集団から受ける独得の
雰囲気なのだろうか,周囲を気にしない我が物顔の態度からは決して品のよいイメージはない。
そんな男たちの集団の中に,はっとするような1人の美少女が囲まれるようにして歩いている。
少女は,ハーフコートの内側にブレザーにミニスカートという,近隣では有名校として知られる
学校の制服姿だった。
肩にかかる程度の髪は,どちらかといえばショートに近く,それ故に顔立ちの美しさを少しも隠
すことなく際立たせている。
スッと美しく伸びた眉。
長い睫毛に,パッチリと開いた瞳。
柔らかそうな白い頬。
ふくよかな唇。
近隣の制服を着ていなければ,実はロケにでも出てきた有名なアイドルではないのかと思われる
ほどの端正な顔立ちは,道行く人々の中でも一際目を惹く存在だった。
その美少女が,このような男たちに囲まれ歩いていることに,人々は訝しげな視線を投げかける。
ニヤニヤと,意味深な視線を交わし合う男たちと,唇を噛んだようにして歩く美少女。
ただ,その品のなさそうな男たちの態度は,あくまで外から見たものであり,美少女に対しては
付き従う者のような丁重さがある。
彼等の関係について,多少の興味をそそられた人々が想像を巡らし,ある一つの答えに辿り着く
頃,美少女を連れた集団は既に公園の中に消えていた。
公園内を歩かされながら,つかさは周囲の男たちをキッとした目つきで睨んだ。
さっきから,男たちのたくさんの掌が,遠慮もなく胸の膨らみやヒップに被さって,イヤらしく
揉み回している。
「ちょっと,やだ…こんなところで,触らないでよ…」
つかさは,小さく凛とした声で男たちに囁いた。
いくら,男たちに何度も抱かれ,汚れた体になってしまったとはいえ,公園という人目につく場
で堂々と体を触られるのには抵抗がある。
それに,本当ならば……
……この体に,自由に触れていいのは,ただ1人だけだったはずなのに……
そんな心の奥底に封印したものを思い出すだけで,我がモノ顔に体を這い回る手に怒りを感じる。
「もう…やだ…って,言ってるでしょっ…」
しかし,手で振り払うにも,体を触っている手の数は多く,また執拗だった。
「へへへっ,可愛いねぇ,つかさちゃん。その目,俺,好きなんだよなぁ…可愛い子が,イケナイ
ことされて睨んでくる目……俺,ますます燃えちゃいそうだよ」
「つかさちゃんは,そこがいいんだって。体は抱かれても,心までは思う通りにはならないわよっ
ていう決意が何ともそそるじゃねぇの。そういう顔を見せられると,またベッドで崩して乱れさせ
てやりたくなるんだよなあ…へへへっ」
「それにしても,いいお尻してるよなぁ。形はいいし…ほら,こんなに柔らかくてさ……後ろから
突いてやったときの,つかさちゃんの反応を思い出しちまうよ」
「く…っ……こ,この…変態っ…」
男たちの品の無さにカッとなるが,軽く振り払う程度では何の効き目もない。
つかさの反応に逆に興奮を誘われ…男たちの粘着質な手の群れは,ベタベタと胸やヒップの丸い
双丘を這い回り,制服の中にまで入ってこようとする。
……こんなところで,服の中にまでっ…や,やだっ…入ってこないでったら……
服の中で蠢く手から,ぞわぞわとした感触が込み上げる。
体をまさぐってくるその様は,ラッシュアワー時の混雑を利用し,堂々と体を密着させて触って
くる,痴漢さながらのイヤらしさがあった。
「変態!? いいねぇ,その言葉! 何か,つかさちゃんに言われると俺,凄く興奮しちゃうんだ
けど? つまり,こういうことしたがるのが変態ってことかなあ?」
「そ…そうよ。公園なんかで…こんなことしてっ…んんっ…当たり前…じゃないっ…」
ブラウスの中に入ってきた手が,ブラジャーのカップを包み込む。
思わず,つかさは上体をよじった。
だが,左右の乳房に張り付いた手は,そんなことで引き剥がせるわけもなく,更なる責めを与え
るべく,ブラジャーの先端周辺で指先を掻き滑らせてくる。
……だ,駄目…体中触られて…意識したくないのに……集中しておかないと…体が動いちゃう……
敏感な処を探られ,ピクンと反応しそうになるのを懸命に堪える辛さ。
つかさは,唇を噛んだ。
「でも,その変態なことをされると…感じまくってしまうんだよね,つかさちゃんは? こういう
指の動き…ブラジャーの上からというのがまた,焦れったくて妙に感じてしまうだろ?」
「違う違う。コッチの,俺の指の方が気持ちいいよな? 後ろからココを触られるのは,痴漢ぽい
けどイヤらしくて感じちゃうだろ?」
「っ…くぅ…ぁ……そん…な…ことっ」
下半身では,ファスナーを開けた別の手が,スカートの中に潜り込んできていた。
コートの後ろに隠れ,ヒップの丸みを包むように奥まで侵入してきた手は,パンティの中心に指
を貼りつかせ,舐め回す舌のような動きで両脚の間を前後になぞってくる。
「だいたいさぁ,こういう変態的なことをしたくなるのが,この体だって知ってた? つまりさ,
つかさちゃんの体が誘っているわけよ。こういうイヤらしくて変態的なことをさ」
肩に回した手をブレザーの胸元に滑り込ませている男が,乳房の弾力を楽しみつつ,ニヤニヤと
笑いながら最後の言葉に力を入れて耳元に囁いてくる。
その図々しく,馴れ馴れしい態度。
「っ…ん……何,自分に都合のいいこと言っているのよっ……あたしは…っ」
怒りに頬が紅潮する。
つかさは,眉根を寄せて両手にこぶしをつくった。
……どうして,あたしは…あたしの体は……こんなにもっ……
つかさは,男たちを向きながら,その相手と同等としか思えない自分の劣情を呪った。
胸の柔らかな膨らみを弄ばれ,スカート内部でパンティ越しの秘裂を指先が往復すると,腰の奥
でぞわっとした痺れが奔り,瞬間的に意図しない声が漏れそうになる。
そこに巣くう感情は……まさしく『劣情』だった。
「あたしは…嫌いなのっ」
気持ちを奮い立たせ,つかさは声に力を込めた。
体に貼りつく愛撫の手や指を,身をよじって振り払う。
「あんたたちみたいに,図々しくてしつこくて,気持ち悪い男って,大嫌いなのっ」
男たちの目を正面から見据え,一気に言い切る。
下劣な男たちが許せない。
自分が許せない。
こんな行為に悦びを感じ,劣情に負けてしまいそうになる……そんな本性を持った自分も,それ
を呼び覚ました男たちも,何もかもが許せない。
「女の子1人に寄ってたかって…それでも男なの? 恥知らず! 最低よ!」
頬を打たれるのも,覚悟の上の言葉だった。
とにかく…この下劣な男たちに,何か手痛い一撃をぶつけ,思い知らせてやりたかった。
……ぶちたいなら,ぶてばいいわ……
いや,むしろ,そうであっていいと思う。
これ以上,あんな…
あのような恥知らずな時間を,この男たちと過ごすよりは…
「ふぅーん…なるほどね」
「俺らのような,図々しくてしつこくて気持ち悪い男って,つかさちゃんは嫌いなんだ」
男の声が降ってくる。
そこに,怒りの色を期待して,身を固く構えたつかさだったが…
しかし…
「……っ…」
異様な男たちの顔色。
瞬間的に,理解してしまった。
「へへへへっ……怒ってるつかさちゃんっていうのも,なかなか可愛いよねぇ」
「あ,俺も今,そう思った。何か今,凄く興奮して勃起しちまったよ」
「大嫌いで最低な男に無理矢理感じさせられてしまうのって,どんな気分なのかなあ? ひひひっ,
そういうプレイ,この前もそうだったけど,メチャメチャ燃えるんだよなあ」
静かな声とは裏腹に,掻き立てられた興奮を露わにした顔…
折れなければ折れないほど,欲望の炎を燃やす男たちが,つかさを見つめていた。
その得体の知れなさ。気持ち悪さ。
つかさは,思わず一歩下がる。
……どうしてこう,上手くいかないんだろう……
自分のやること為すこと,そのどれもが裏目に出ているような気がする。
今日も,自分はドロドロに蕩かされるんだ……
それは,もう,逃れられない確実なことになったのだと分かった。
いったい,どれだけ堕ちればよいというのか。
その諦めの混ざった予感の中,つかさは多分の嫌悪と…
なぜか,男たちから受けるだろう,責め苦の甘美さを思っていた。
「図々しくて,しつこくて,気持ち悪い男って,つかさちゃんは嫌いなんだ?」
「当たり前でしょっ」
「ショックだなー,でもさ,ベッドではあんなに悦んでくれてたぜ?」
「そうそう,そういう,しつこくて変態的なことをされるのが,気持ちよくて好きなんだと思って
たんだけどなあ? つかさちゃん,何度も何度もイッてたんじゃなかったっけ?」
「そ…そんなこと…っ……」
言葉とは違って,少しもショックを受けていそうにはない,ニヤついた表情の男たち…
怒りを誘おうとした言葉と態度が,あろうことか,逆に男たちの加虐欲を呼んでしまうなどと…
つかさは,自分が追い詰められていくのを感じていた。
……駄目…あんなこと…思い出したくないのに……
男たちの言い指していること……自分の浅ましいベッドの姿が,記憶に蘇ってくる。
体に埋め込まれた男根を,腰を揺すって夢中になって求め続けた自分…
四つん這いで後ろから突き上げられながら,震えるほどの悦びに包まれた自分…
恥知らずにも,我を忘れて男たちの求めに応じてしまった……自分。
……違う…あたしは……悦んでなんかない……
胸の内で叫びながら……男たちに答えるべき,反論の言葉を見つけられない。
心の矛盾に揺れてしまう。
「ねぇねぇ,本当はさ,やっぱり…そういうことされるのが好きなんだよねぇ?」
「ち,違うわっ…」
つかさは,頭を振った。
絶対に,あんなことが好きなわけじゃない。そんなわけがない。
けれど…
駄目…そう答えては駄目。
つかさは,妙な焦りが芽生えるのを覚えていた。
漠然とした不安感が,じわじわと胸を押し包んでくる。
「ねぇ,もう一回聞くけどさ,つかさちゃん…俺らのセックスで,何回もイッてしまったよね?
エッチな声を上げてさ?」
「変態的なことをされて…メチャメチャ,感じまくっていたよね?」
「違うわ,そんなこと,あるわけないでしょ」
男たちの感情を逆撫でしてくる言い方は,止むどころか,ますます調子に乗ってくる。
思わず,カッとなってしまう。
怒りにまかせては駄目だと思いながら,言い返さずにはいられなかった。
その一方で,つかさの胸を,苦しくなるほどの焦燥が支配する。
駄目…駄目…
そんな嘘,言ってしまったら…
男たちの露骨な言葉は,挑発に違いない。
分かっている。
分かっているのに,それ以外の答え方が分からない。
駄目…
でも…
しかし,流れを取り戻すことは,ついにできなかった。
「本当はさぁ,つかさちゃん……嫌いな男に,しつこくて気持ち悪いコトされて,イッちゃうのが
堪らないんだろ? あの味が,忘れられなくなってるんじゃないの?」
「イヤだけど,イヤであるほど敏感に感じちゃう……何度もしつこく犯されてイッちゃう……って,
実は快感だろ? 真中なんかのヘタなエッチより,数段イイだろ?」
「真中? ああ,そんなヤツもいたっけか。馬鹿なヤツだったよな。あんなヘタレに,つかさちゃん
は勿体ないんだって。つかさちゃんは,強引なエッチに弱いんだよなあ? そういう風にされるのが
メチャメチャ興奮するんだろ?」
「今日もさ,俺らに犯られることを想像して,濡れながらココに来たんじゃないの? ひひひっ,
どうなんだい? 本当は,毎日セックスされたいんだろ?」
下品に過ぎる言葉で,触れられたくないところに土足で踏み込んでくる男たち。
感情が白むほどの何かに,つかさは頭が支配されるのを感じた。
「調子に乗らないでっ。誰がアンタたちになんかに! そんなわけないじゃない!」
頬には赤みが差し,苛烈な光を宿した瞳が男たちに突き刺さる。
……ふざけたことを言わないで! 自分に都合よく勝手なことを…アンタたちなんかに何が分かる
のよっ……
男たちの言葉は,決して当たっていない。
感情の昂ぶりに,両手のこぶしが震える。
けれど……
けれど……
まったくの的外れなのでもなかった。
週に一回,こうして否応もなく呼び出されてはいるが,本当のところ……週末が近づいてくる毎
に,心臓にドキドキと妙な高鳴りを覚え,早く眠ろうと思いながらも,ベッドの中で体が火照って
くるのをどうしようもできずにいた。
『下着の中が濡れている…』
布団の中,そのことを自覚しながら……認めたくなくて,触れて確かめることもできなかった。
ジンジンと秘部が疼き…
頭の中を,男の指や舌…イヤらしく反り返った男根が浮かんでくる。
自分を弄び味わおうとする淫らな欲望のこもる物体が,火照った体の各処を這い回ってくるよう
な錯覚さえしてしてくる。
『…っ…ぅ……』
熱い息を吐きながら,指を押し当てたくなる欲求に,つかさは懸命に耐えた。
悔しいと思っていながら,期待感に体を疼かせてしまう意味とは,希望が何もない「心の逃避」
が形を変えて表れたところにあるのかもしれない。
しかし,体に教え込まれた淫らな快感の甘美さ。
強引に組み敷かれ,逃れることの出来ない男の体重を感じながら,蕩かされた秘部を激しく延々
と犯される…現実とは別世界のような,時間と空間。
1日が終わり,ベッドに入る空虚な時間を狙ってやってくる,この記憶の忌まわしさに…つかさ
は,嫌悪しながらも暗く魅入られていた。
その微妙なところが,つかさの感情を激しく揺さぶる。
まして,真中のことを引き合いに出してきたのが許せなかった。
……淳平くんは……あたしなんかとは違う…ずっと,ずっと純粋な人なんだから……
これ以上,傷つけてはいけない。
これ以上,あの純粋さを曇らせてはいけない。
自分と一緒にいれば,あの温かな笑顔は失われてしまう。
哀しみと怒りに全てを塗り替えてしまう。
だから,別れた。
なのに…
その価値も分からず,ただ馬鹿にして貶める男たちに怒りが湧く。
「誰が…誰が好きこのんでアンタたちなんかにっ……」
怒りに先行された感情は,次に続けるべき言葉を見つけられず…
次に続けられる男たちの言葉に,あまりにも無防備だった。
「じゃあ,試してみようぜ」
「…っ…」
拒絶できるモノなら,やってみろと言わんばかりの,余裕に満ちた声。
一瞬,思考停止に陥ったつかさに,追い打ちをかけるように男たちの声が続く。
「本当につかさちゃんが,俺らのしつこくて変態的なエッチに感じないのかどうかをさ。ひひひっ,
イヤと言うほど,しっかり確かめてやるよ」
「もし,つかさちゃんが感じなければ,こうやって呼び出すのは終わりにしてあげるよ。でも……
感じちゃったら,似たもの同士ということだからさ,これからも末長くたっぷり楽しもうぜ」
「まあ,ゲームだよ。へへへっ,さあ,つかさちゃんは,果たして感じないでいられるかなあ?」
「ばぁ~か。大嫌いで気持ち悪い最低な男たちなんだぜ,俺らは。つかさちゃんが感じるわけねぇ
だろうが。でも……ひひひっ,俺,ちょっと頑張っちゃおうかなあ?」
つかさは,唇を噛む。
分かっているくせに…
白々しい男たちの言葉が,恨めしかった。
十分すぎるほど……自分の体を嬲り,知り尽くしている男たち。
体を自由にさせて,勝てるわけがない。
今までだって……寄ってたかって,延々と与えられる淫戯に堪え切れたことなど,ただの一度も
なかった。
でも…
それでも,受けなければならない。
多分,男たちは,遊びのように自分の体を弄び,むせび泣き許しを請うまでドロドロに蕩かして
犯し続けるのだろう。
それを分かっていながらも,拒否することはできない。
拒否すれば,集団で犯されて感じていることを認めることになってしまう。
これからもずっと,犯され続けることを了承することになってしまう。
あぁ…
つかさは,目を瞑った。
心臓の高鳴りが,ドキドキと無視できないほど大きくなる。
ここまで考えて,分かったことがある。
さっきから,自分の中に生まれていた焦燥感。
あれは,これだったんだ……
拒絶するほど…
否定するほど……
『本当は,嫌がってなんかいないくせに…』
『期待に,体を熱くさせていたくせに…』
自分の心に生まれる違和感が,否応なく…逆に,本当の自分を浮き彫りにしていた。
このまま…否定と拒絶を続けていけば,やがては胸の奥底にある欲望は,はっきりと姿を現し,
そこから目を背けることが出来なくなってしまう。
そこからくる焦りだったのだ。
無理矢理,淫戯を受けて感じさせられた……それだけでも屈辱だが,体の反応だけでとどまって
いる内はまだよかった。
『どうして感じてしまうの…こんなこと嫌なのに……』
そう思っている間は,まだよかった。
男たちの興奮を,肌に感じたい…
何度も無理矢理イカされ,正体をなくすほどメチャメチャに犯されたい…
そんな欲望に囚われだしたのは,いつの頃からだったか。
正面から直視できず,認め受け止めることが出来ず,逃げようとしていたけれど…
……もう…目を逸らせない……
はっきり,認めてしまった。
『試してみようぜ』
『イヤと言うほど,しっかり確かめてやるよ』
何よりもの証拠に…男の言葉を聞いた瞬間,官能の悦びに体が震え,体の芯が熱く燃え上がって
しまった。
でも…
それでも…
だからこそ…
……堕ちたくない……
切なく,そう思う。
それもまた事実だった。
体をどれだけ狂わされようと,心まで見失ってしまっては,ただのケダモノと一緒ではないか。
……自分の心を,ケダモノにはしない……
できるのだろうか…
そんな疑問は,浮かぶこともなかった。
きっと,大丈夫…
つかさは,心の中で漠然としていた思いを固め,確信する。
……あたしは…淳平くんに彼女にしてもらった西野つかさだから……これからも,ずっと淳平くん
を忘れないから……
つかさの心の中で,最後のよりどころとなっている真中。
この,自分が自分であるための…温もり。
その温もりを持っている限り,大丈夫…
一瞬一瞬で,男たちの嬲り者にされたとしても,自分が真中を忘れない限り,必ずココに戻って
これると思う。
……だって……
それくらいのプライドは持っていたかった。
もはや,見返りの無くなったプライドだけど。
届かない想いだけど。
……淳平くんは……あたしの,心の中の恋人だもの……
大きく息を吸う。
「試すなら試せばいいわ。あたしを自由にしたくらいで,いい気にならないで。何度も言うけど,
アンタたちなんか大っ嫌いよ。本当は,触られるのも鳥肌が立つんだからね」
悲壮なまでに,美少女の強気な瞳。
新しい遊び…興奮するプレイを見つけた淫らな笑いが,男たちの顔に浮かんだ。
第2回
「へへへっ,じゃあ,遠慮無く……」
公園のベンチに座った,つかさの華奢な肩が,無遠慮に左右から抱き寄せられた。
ブレザーの胸元を柔らかく押し上げている可憐な膨らみや,ミニスカートから覗く白い膝に……
つい先日まで親衛隊を気取っていた男たちの,欲望をまとわりつかせた手が同時に伸びてくる。
……っ……ぁ…やだ…っ……
敏感な肌に触れられる瞬間……緊張と嫌悪に,体が強張った。
男たちを嫌悪し,その手に触れられたくないと思う,その気持ちは今でも嘘ではない。
しかし…
「っ……ぅ…」
ゾクッとした感触が,肌に奔る。
哀しみと絶望を織りなす……悦びが全身に奔る。
それは,少し前のつかさならば,知らないでいた感覚…
肌を触られる直接的な『体』の快感…だけではなく,むしろ『心』の方が蕩かされ追い詰められ
ゆく気がする。
どこまでも深く,体の芯から込み上げてくるような……
ジワジワと,体の奥から甘美に炙られるような熱を思わせるもの。
肌に刻まれ,深い悦びを知ってしまった,女としての官能の甘さとでも言うのだろうか。
……たった…この程度ぐらいで……まだ,触られ始めたばかりなのに…っ……
つかさは,恨めしく唇を噛んだ。
親衛隊の責めは,まだ始まったばかりで,我を忘れてしまうほどの快感にはほど遠い。
それなのに……
この後の悦楽を予感し,期待に震えてしまう……心。
それが容易にできるようになってしまった……体の記憶。
決して認めたくはない…体の奥に潜むモノが,自分を乗っ取り支配してこようとするのを,つか
さは感じた。
「久しぶりのつかさちゃんの体だぁ……へへへっ,柔らかいなあ」
「今日,逢えるのを待ち焦がれてたんだぜぇ。もう,凄ぇ溜まりまくりだからな。つかさちゃん,
朝帰りになっちゃう準備はちゃんとしてきたんだろ? あ? 金曜は,親いないんだっけか?」
「そんなの……貴方たちには…関係のないことよっ……」
言葉だけでも抗おうとしながら,制服の中に,自分を汚そうとする男たちの手が次々と入ってくる
と,声が上擦りかけてくる。
……ぁ…あぁ…っ……や…やめて…っ……
体を包んでくる,身震いしたくなるような,忌まわしい悦びの予感。
スカートや胸元を,押さえたくなる衝動を懸命に堪え,つかさは自分の欲望とも闘う。
週末が近づくにつれ,心臓がドキドキと高鳴り,快感への期待に体を火照らせていたのは,何も
男たちだけなのではない。
頭の中でどんなに忌み嫌い否定しても……男たちの数時間にも及ぶ,執拗なセックスに浸され続
けてきた女としての体は,つかさの思いとは裏腹に甘い反応を強くしていく。
……だめ…感じちゃ駄目…っ……こんなの……大したことないはず…よっ……
こんなものに呑み込まれたくない。
自分を見失いたくない。
男たちの欲望の辱めに,ドロドロに蕩けてしまうような……そんな汚れた自分になりたくない。
……淳平くん……お願い……
つかさは,恋しい男の顔を目に浮かべ,その名を呼んだ。
名前を呼ぶ度,哀しみと共に込み上げてくる切ないほどの温かさ。
別れを告げた身でありながら,今もなお自分がそれを心の支えにしてすがっていることを知った
ら,真中はいったいどう思うだろう。
そのことに思いをはせると,チクリと胸が痛む。
しかし,それでも……支えが必要だった。
……名前を呼ぶのが…今から,また汚されるというときでゴメンね……でも,どうかお願い…あた
しに,力を貸して……
つかさは,胸に何かを祈るように言葉を呟いた。
「つかさちゃんも,実はこうやってエッチなことされるのを待っていたんじゃないの? ひひひっ,
どこを触られたい? ほら,太腿のこの辺,撫でられると感じてくるだろ?」
「変なこと言わないで……こんなの,気持ち悪いだけよ…っ……」
ブレザーの内側では,数本の手が這い回り,白く楚々としたブラウス越しの乳房を掴む。
スカートの中でも,左右から太腿に潜り込んだ2本の手が,瑞々しく柔らかな肌を奥深くまで撫
で上げていた。
それでも,凛とした瞳と声に力を込めて,睨み上げてくるつかさ。
白く端正な顔を少し紅潮させ,長い睫毛に彩られた瞳を真正面からぶつけてくる。
この,負けまいとする美少女の貌の,何と魅力的なことか。
……へへへっ,やっぱり可愛いよなあ……ゾクゾクしてくるぜ……
羞恥と敏感さで,弄ばれる体を戦慄かせながらも,決して自分の弱さを見せまいとし,男の思い
通りになることを潔しとしない美少女。
いつも,そうなのだった。
男たちに組み伏せられて,全身の至る処に愛撫を受けながら,つかさは男たちを拒絶する姿勢を
いつも決して崩さない。
それが,ベッドの上で性感帯を次々と無理矢理に暴かれ,探られ続け…
気持ち悪いはずの指と舌で,全身を弄ばれる快感に耐えるだけ耐えて…
そうして,ついに我慢できずに崩れてしまうときの,悔しげな瞳は見ものだった。
……何せ,感じやすい体してるくせに,今日こそは絶対にイクものかって,体がドロドロに蕩けて
しまっても,まだ我慢し続けるからな……
だから,我慢の限界を超えたところで,ついに男のモノに犯されたとき,つかさはそれだけで堪
らず絶頂に達してしまう。
……つかさちゃんみたいな女のコだって,そんなの我慢できるわけないよなあ?……
つかさのような美少女にとって,汚らわしく醜悪としか言いようのない興奮に脈打つ男根を秘部
に埋め込まれ,性的な快楽と絶頂を味わわせられるなど,いったいどれほどの恥辱なのだろう。
しとどに蜜に濡れた秘肉を犯され,すすり泣きながら悶え喘ぐつかさの豹変ぶり。
自ら腰を動かして求めてしまう姿は,思い出すだけで男たちの股間を熱く滾らせるものだった。
「貴方たちって…本当,最低よ」
スカートの中で,脚の付け根に到達した指に,パンティラインを悪戯するようになぞられながら,
つかさは今日も苛烈な光を湛えて男たちを睨む。
……いい顔してるじゃねぇか,つかさちゃん……
期待通りの反応に,男たちはほくそ笑んだ。
つかさという美少女は,なぜか怒れば怒るほど,際立つ美しさに欲情が誘われてしまう。
もう,何度も犯され汚されているというのに,その美しさは損なわれるどころか,ますます魅力
的に映えるようだった。
……綺麗なその顔……今日も,たっぷり乱れさせてやるよ……
淫蕩な責めを受け続け,悶え喘ぐつかさの甘く可愛い声,そして表情……今週も,何度それを思
い出して男根を疼かせてきたことか。
この可愛い唇に,俺のモノを咥えさせてやる…
四つん這いにして,お尻を掴んで後ろから貫いてやる…
つかさは,そのときどんな貌をして,その行為を受け容れるのだろうか。
欲望は尽きることはなく,弥が上にも高まっていく。
男たちは,興奮と期待に舌なめずりをして,つかさの綺麗な顔を見つめた。
……俺のコイツで,今日は何回イクのかな……な,つかさちゃん?……
ベッドで組み伏せられ,泣き声を漏らしながら絶頂を重ねていく,扇情的なつかさの貌が目に浮
かぶ。
下半身では,強張った股間が,硬くズキズキと脈を打っていた。
「俺,つかさちゃんのオッパイ触りたいからさ,ここから手を入れてもいいかな?」
「じゃあ,俺は,コッチの方で……つかさちゃんに,変態的って言われそうだけどさ,ココをじっ
くりと痴漢っぽく触ってみたいんだよね……へへへっ,それともやっぱり感じちゃうからダメかな?」
「…っ……好きに…すればいいじゃない…」
わざとらしく聞いてくる男たちに,カッとなりそうになるのを抑え,つかさは顔を背けた。
「では,お言葉に甘えて~」
「さぁて……つかさちゃんのココ……本当に感じないでいられるのかなあ?」
「ひひひっ,可愛いブラジャーが見えてきたぜぇ……柔らかそうなオッパイ,見せてもらうよぉ」
制服のブレザーがはだけられ……ブラウスのボタンが,1つ1つ外されていく。
軽く捲り上げられたスカートの奥では,いよいよパンティラインから布地の上へと,指が動き始
めた。
……ぁ…ぁ……脱がされちゃう…っ……淳平くんっ……
つかさは,強気な態度とは反対に,今更ながら揺らぐ自分の心を感じていた。
目を瞑り,両手の拳をギュッと握り締める。
……指が…きちゃうっ……あぁっ…嫌………これ以上は…触られたくないのにっ……
つかさは,柳眉を寄せて震える吐息を小さく漏らした。
肌を這う男たちの指は,少しずつ上半身と下半身それぞれの中心へ…敏感な処へと近づいてくる。
……お願い…もう触らないで…嫌……あたしを…おかしくしないでっ……
この感触,この感覚…
体に感じる感触,奥から湧き起こる衝動のすべてを,つかさは振り払いたかった。
どんなに覚悟を決めても…
どれほど決心をしようとも……
これからの時間が軽くなるわけでも,男たちから受ける行為が平気になるわけでもない。
これから始まる,気が遠くなるような凌辱の果てない時間。
どんなことをされるのか…
どんなことを要求され,どんな姿態を曝してしまうのか…
……きっと……
それを頭に思い描き,つかさは微妙に胸が震えるのを抑えられなかった。
だから……
怖い。
そんな自分が怖い。
……もう…淳平くんを……裏切りたくないのに…っ……
つかさは,すがるように呟く。
しかし,それは到底,避けられないことなのに違いなかった。
体をどれだけ狂わされようと,心まで見失わない…
自分を取り戻し,ここにまた戻ってくるんだ…
その決心は,揺るがない……けれど。
男たちの汚らわしい行為に感じてしまう,自分のこの女の体が怖く,恨めしい。
これ以上の行為をされたら,自分の中で何か別のモノが完全に目を醒ましてしまう。
真中を傷つけた,こんな下劣な男たちの欲望を,進んで受け容れようとする自分を抑えきれなく
なってしまう。
それは,本来とても潔癖なつかさにとって,どれほど決心をしようとも耐え難いことだった。
……離れていても……淳平くんのコト,ずっと想っていられる…あたしでいたいのに……
だんだんと,自分が自分でなくなっていく…感覚。
消えていく……自分の心。
そして,大切な……………。
「っ…ぅ…んっ…」
男たちの指が,ついに一番恥ずかしいところに到達する。
パンティ越しに,敏感な神経がビリビリとなぞられた。
予感通り……いや,それ以上の甘美な気持ちが込み上げてくる。
……いや……淳平…くん…っ……
つかさは,絶望的な気持ちで,弱々しくその名を呼んだ。
しかし…
恋しいはずのその顔……つかさの脳裏に浮かび上がったのは,嫉妬と興奮に駆られた欲情の眼差
しだった。
……あ…ぁっ……淳平くん…そんな目をしないで……
記憶が重なってくる。
まるで,ちょうどあの日のように…
秘部を触られて喘ぐ自分の姿を,熱く見つめてくる真中の目…
つかさは,それが無性に申し訳なく,羞恥と罪悪感で胸が苦しかった。
……ごめんね……ごめんね…淳平くん……ぁっ…んんっ……
劣情のこもった指が,自分の「女」としての部分を探ってくる。
その光景に釘付けになっている,真中の目…
「く…ぅ……ん…んっ…」
つかさは,秘部を弄られる切ない気持ちに満たされながら,思いをはせた。
真中が,あのような目で自分を見つめていたわけ。
思い出す度,胸が苦しくなる。
それは……哀しくも,十分に分かっていることだった。
……あたしが……今まで…淳平くんに見せたこともないほど……感じて,乱れてしまったから……
嫌な男たちに犯されているのに……淳平くんの目の前で,あんなに感じて……だから……
自分のせいなのだ。
媚薬を使われたことは,後で男たちに知らされたものの,あの凌辱を快感にしてしまった以上,
何の慰めにもならなかった。
激流に抗うこともできず,男たちの獣欲に狂い乱れ,何度も何度もイッた……自分の浅ましさ。
考えれば考えるほど,自分を責める気持ちが湧く。
しかし,それと同時に……胸に秘められていたもう一つの感情が,つかさの目の前ではっきりと
姿を現してくる。
それは,暗く甘い官能的な欲望だった。
……淳平くんの…あんな目……初めて見た……
自分を犯し,我がモノにしようとする……男たちと同じ,欲情した獣の目。
あの目に射すくめられたとき,つかさは息が止まりそうだった。
それは,時間が経った今も,つかさの脳裏に消すことのできない記憶として刻み込まれ……自分
の汚されゆく裸身に注がれていた,真中のあの物狂おしい瞳を思い出す度,腰から背筋にかけての
神経が,甘くゾクゾクとした戦慄きに襲われてしまう。
カアッとした熱が全身に広がり,胸の鼓動がドキドキと熱く高鳴ってしまう。
……駄目よ……駄目……
つかさは,懸命にそんな自分を打ち消した。
恋人としての真中の嫉妬に,甘い痺れを感じ体を熱くさせてしまうなど……とても許せることで
はない。
けれど……
男たちの卑劣な指に感じていく,身と心は止めようもなく,もうどうしようもなかった。
「つかさちゃんの,アソコの形……指に伝わってくるよぉ。ひひひっ,いつ触っても,つかさちゃ
んのココは可愛いなあ」
「ゃっ…やだ…っ…こんなところで……あ…くんっ……やめて……っ」
耐えきれずビクビクと反応し,背徳的な妖しい官能に哀しく呑み込まれていきながら,つかさは
もう僅かになってしまった意識で約束をつむぐ。
……淳平くんに…あんな目をさせて……それで感じちゃうなんて…恋人として駄目だよね……でも,
あたし…頑張るから……また,ここにちゃんと戻ってくるから……だから……
これからの時間に対する許しを請う言葉は,最後まで続けることが叶わなかった。
「あ…ぁ……っんぅ…っ」
ブラジャーのカップの内側に,大きな手が滑り込んでくる。
恋しい顔は,次第に薄く…遠くになっていった。
「は…っ……ぁ……っ」
つかさは,紅い唇を震わせる。
胸元に潜り込んできた男たちの手は,直接素肌に触れ,白く柔らかな左右の膨らみをイヤらしく
包み込んできていた。
「へへへっ,つかさちゃんの白くてエロいオッパイだ。このモチみたいな柔らかさ,最高だよな。
この一週間,俺さ,このオッパイを思い出すだけで,もうガチガチに勃ってしまってホント辛かっ
たんだぜぇ」
「分かる分かる。白いブラウスから突き出たオッパイの膨らみって,やたらとそそられるよな?
綺麗なモノを汚してやりたくなるような…ってヤツ? こうやってブラウスを脱がせてオッパイを
直接触ってやる瞬間って,ゾクゾクだぜ」
ブラジャーのカップから露わな乳房に,男たちの大きな手が絡みつく肌の感触…
ブラウスからたった1枚だけ内側に入っただけだというのに……男たちの手で,素肌を直接触ら
れる快感というのは段違いだった。
……あぁ…っ……やだ…やだっ……
男たちの手…情欲の熱に包み込まれながら,揉み上げられる乳房。
つかさは,押し寄せてくる快感に,気取られまいとしながらも内心で身悶える。
自分で触ってみても,まるで快感など感じないはずの,ただの丸い脂肪の塊…
それなのに,男の手に弄ばれると,どうしてこうも敏感な処に変わり,体が熱くなってくるのだ
ろう。
……あ…くぅう…っ……か…感じちゃう…っ……
つかさは,眉根を悩ましく寄せ,己の淫らさを噛み締める。
揉まれる乳房を,男の手に押しつけ,左右に揺すりたくなるほど心地よかった。
そして……
十分に火照ったソコを,強くもなく弱くもなく,絶妙な加減でなぞってくる指の群れ。
「っ…ぁ……ぁぅ……っ…」
ピンクのパンティの中心で,双丘やその中央に奔る谷間を探られると,腰の奥がジンジンと熱く
痺れてくる。
つかさは,顎を反らして左右に小さく揺らし,無意識のうちにグッと歯を食い縛った。
……だめ…っ……感じちゃ…駄目っ……
胸を揉まれる淫らな信号は,子宮を熱く震わせる疼きへと増幅されていく。
その疼きを,強烈な焦燥感へと変えてくる,男たちの軽くソフトな指戯。
「オッパイもいいけどよ,女のコが一番感じてしまう恥ずかしい処を触ってやっているときの興奮
も堪らねぇぜ? ほら,分かるだろ,つかさちゃんの腰がビクビクするのがさ? これって,俺た
ちの指にアソコを触られて感じているつかさちゃんの反応なんだぜ?
へへへっ,つかさちゃん,もう感じているのかい?」
男が,意地悪くつかさの顔を覗き込んでくる。
「馬鹿…言わないでっ……こんなの,気持ちいいはずないじゃない……鳥肌が立つわっ…」
頬の火照りは,怒りのためであるはずだった。
しかし,その怒りの瞳は潤みを帯び,ふっくらとした紅い唇は,あたかも男たちを誘っているか
のように,熱い息を吐き始めていることに,つかさは気づかない。
つかさは,閉じられない両脚を小刻みに震わせ,必死に耐えながらも,淫猥な指を貼りつかせた
腰を切なくくねらせた。
「あ…ぁっ……駄目…っ」
上擦った声が揺れる。
つかさは,恥ずかしさに頬を染めて身を震わせ,体に奔る快感を懸命に堪えていた。
……ぁ…あぁ……触られてる…っ……こんなところで……
ブラジャーのカップに潜り込んだ手が,左右の胸の先端を弄っている。
先ほどから刺激され続けた乳首は,小さいながらも否定できないほどの硬い尖りとなって,待ち
焦がれた快感の甘さを男たちに訴えていた。
スカートの中では,軽く開かされた両脚の中心で,淫猥な指の群れがソコにねっとりと絡みつく
ように蠢いている。
それでも……決して,強引に快感を与えるような強い刺激は伝わってこない。
ツンと尖った胸の先端で…
パンティに包まれた中心で…
軽く押し当てられただけの指先は,ソコの形を確かめるかのような動きで周囲をなぞる。
乳首や,パンティに貼りつく男たちの指は,まるでナメクジかヒルを彷彿とさせる,じわじわと
した動きを見せるだけで,見た目には何の派手さもない。
それなのに……
「っ,っ……うぅ……」
つかさは,肌の表面にじっとりと汗が滲むのを感じていた。
……この…触り方……駄目……あぁ…っ……我慢できなくなってきちゃう…っ……
吐息が漏れ出てくるのが抑えきれない。
呼び覚まされる性感が,強い欲求へと……満たされず,疼く。
つかさの胸に広がってくるのは,真綿で首を絞められ,少しずつ追い詰められていくような焦り
だった。
……あ…っん……ぅ…指が……いや……
地味にさえ見える見た目とは逆に,胸の内を見透かしたかのように,敏感な処を触ってくる指の
感触が,脳裏にはっきりとしたイメージを持って刻み込まれてくる。
ましてこの一週間,男たちに体を弄ばれる自分の姿態を,頭の中で描いてしまっていたつかさに
とっては,このイヤらしさは,強い快感を伴わなくとも身をくねらせたいほどの疼きを沸き立たせ
てくるものだった。
「つかさちゃん,どうしたの? 俺らに触られて,何だか凄く堪らなそうに体をクネクネさせてる
んだけど……もしかして,そんなに感じる処を触られてる?」
「そうそう,オッパイなんかさ,こんなにゆっくり揉んで,乳首もそっと触っているのに,どうし
てそんなに辛そうな目になってるの? へへへっ,もっと強くシテ欲しいとか?」
「く……っ……そんなこと,あるわけないじゃないっ,変態っ」
つかさは,精一杯の怒りを,大きな瞳に表して男たちを睨む。
……頑張らなきゃ……
だが,そう思う気持ちも,意識しなければ小さく薄れ消えていきそうだった。
気持ちを強く保っていなければ,唇から零れ出る声は,今にも男たちを誘う淫らなモノに変わり
そうになる。
「つかさちゃん,ひひひっ,一週間も放置されたこのスケベな体……もう,我慢ができなくなって
きてるんじゃねぇの? もっともっとエッチなことをして欲しくて,頭の中がいっぱいになってい
るとか? どうよ? こうやって乳首を弄られると気持ちいいか?」
「ぁっ……くぅ…ぅっ…」
男を睨み続けながらも……硬く膨らんだ乳首を軽く転がされると,堪らなかった。
……頑張らなきゃ……いけないのに…っ……
這い回る指が,恍惚としたくなるほど気持ちいい。
快感を追い求めて身をくねらせたくなるほど,焦れったい。
どうしようもなかった。
「はぁっ…はぁ…あ…ぁっ…」
執拗な,乳首と秘部への連動した同時責め…
欲情した体が,狂おしい。
それなのに,その疼きは満たされ鎮められるどころか,耐えれば耐えるほどいっそう強く大きく
なってくる。
「凄く色っぽい表情になってるぜ,つかさちゃん? ココがそんなに気持ちイイのかい? ほら,
素直に,感じてますって言えよ。そしたら,楽にしてやるからさ」
肩に手を置き,耳元に囁かれる声に,つかさは頭を振る。
「違う…そんなわけ…ないわ……っうう」
「無理すんなって。つかさちゃんだって女のコなんだからよ。こんなことされりゃあ,感じてしま
うのは仕方ないって。ほら,乳首だってアソコだってこんなに……なあ?」
「くっ……うんっ……あ…ぁ…っ……」
ジリジリと焦げ疼く秘部に,貼りついた指が軽くうねった。
熱いものが滲み溢れている溝を,突き立った指がそっと上下になぞってくる。
……いや……駄目……駄目っ……腰が…動いちゃう…っ……我慢…できないっ……
秘部や乳房を,男の手に押しつけたくなる衝動が,為す術もなく大きく膨らんできた。
抑えていた欲望が溢れ,堰を越えて噴き出てくる。
もっと強く触られたい…
このイヤらしい男たちの指に,思う存分嬲られたい…
……違う…違うわっ……したくない…っ……あたし,したくないのにっ……
つかさは,こぶしの中で,指先の爪が食い込むほど強く力を込めた。
嬲られる腰が,ブルブルと小刻みに戦慄く。
……や,やめてっ……指っ…じっと…じっとしてて…っ……あ…ぁっ……
必死に欲望に呑み込まれまいと,唾を何度も飲んだ。
だが,つかさの我慢は,もう限界を迎えようとしていた。
「ひっ…あっ…くうぅっ」
つかさの心の内を見透かしたように,指がパンティの中に侵入してくる。
疼きと昂ぶりに沸騰していた秘肉に指を感じた瞬間,つかさは電気のような強い痺れに,体を弓
のように反り返らせた。
ヌルつく粘着質の水音が,男の指に絡む。
つかさのソコは,とうに溢れんばかりの熱い蜜で潤っていた。
「あれぇ? つかさちゃん,何だか凄く濡れてるんだけどさ……これ,何だ?」
「ひょっとして,嫌がる振りして……実はメチャメチャ興奮して感じていたんだ?」
ヌルヌルとした秘肉を,浅く沈めた指で上下にえぐりながら,男たちはつかさに返答を迫る。
「ち…違うわ……っ」
悔しげに頬を紅く染めた顔は,快感の戸惑いを必死になって堪え,やっとそれだけを口にするの
が精一杯だった。
「そうか? でもさぁ……いひひっ,こうされても平気な顔できるのかな」
捉えた入り口を押し広げ,男はゆっくりと中程まで指を沈めていく。
その瞬間…
今まで,焦げ付くほどの疼きが満ちていた膣壁に,鮮烈な快感が奔った。
「ん,んっ……駄目…っうぅ…駄目…っ……っあぁ…ん」
歯を食い縛り,腰をガクガクと痙攣させながら……それでも,つかさは耐えようとする。
けれど……
膣壁を更に奥まで進み,根元まで指が埋め込まれると,そこがつかさの限界点だった。
「っん! あ,あぁっ……っく…あ,あっ…ん,んうぅっ!」
ゆっくりと指が引かれ…
再び,ゆっくりと指が押し込まれてくる……
「あっ…んんん!…んううっ!」
頭の中で,何かが弾ける。
……これ以上されたら…もう保たないっ……
つかさは,思わず男の腕を両手で掴んだ。
そのまま,渾身の力を込めて,秘肉を犯す指を引き抜こうとする。
だが……ガッチリと固定されたかのような腕は,ビクとも動かなかった。
「駄目だよ,つかさちゃん。ちゃんと,証明して見せなきゃなあ? 感じないんだったら,こんな
ことされたって気持ち悪いんだけなんだろ? ほら,中で指を動かされてイッちゃうなんてこと,
まさかあり得ないよな?」
「ま,待っ……んんあぁっ!」
男がニヤニヤとイヤらしい笑いを浮かべ,楔のように秘部の奥に埋まり込んだ太い指先で,内部
をグルグルと掻き回し始める。
それに耐えるだけの,つかさの気力はもう無かった。
「はっ…ぁっ…あ…ぁっ…くっ…ぅ…うんっ……もう…もう,駄目…い,いやぁっ!」
抗いの努力が,体の内側からの奔流にあっさりと突き崩され,押し流されていく。
我慢などできなかった。
両脚の間に差し込まれ,押し返すこともできない腕に爪を立ててしがみつき,つかさはガクガク
と戦慄く腰を,自らの衝動のまま前後にうねらせ始める。
秘肉を犯している指を,自分から奥まで押し込み,男の腕に腰を擦りつけ……
いけないと思う心の余裕など,もうどこにも無く,ただ熱い声を零して狂おしく男の指を求め始
めた。
「はぁっ…はっ……あ,ああんっ!……くぅぅ…んっ!」
「おっ,つかさちゃん,やっと積極的になったのか? じゃあ,ほら,もっと味わわせてやるよ」
「んうううっ!」
男の指が2本に増え,その圧迫感が入り口から膣奥に向かって攻め入ってくる。
体の芯が燃えるように気持ちよかった。
……あ,あ,あ……こんなのっ……いや,いやぁ……あぁっ……凄く…堪らないっ……
男の指を咥え込む度,秘肉がイヤらしい水音をたてるのも,まるで気にならなかった。
鮮烈な快感が,背筋を駆け巡り脳を突き抜ける。
……イクっ……イッちゃうっ……指だけで……もう駄目っ……
頭の中が痺れ,あっという間に白んでいく。
つかさは,もうすぐ全身を包むであろう絶頂の予感に,体を強張らせた。
だが……
その流れは,最後まで行き着くことはなく,突然断ち切られた。
「勝手にイこうとするなんて,イケナイ子だなあ,つかさちゃんは……さっきまで,俺たちを罵倒
していたくせに」
「っぅ…う…」
指が,あっさりと抜き去られていく。
つかさの眉が,辛そうに歪んだ。
途中で流れを断ち切られた奔流は,消えていくこともできず,行き先を失って荒れ狂う勢いをそ
のままに打ち乱れている。
「イキたいんだったら,まず自分のことを俺たちに謝って,きちんとお願いしなけゃ。な,つかさ
ちゃん?」
透明な糸を引く濡れた指を見せつけながら,男が薄ら笑いを浮かべた。
「アンタたちって……本当に最低だわ……下衆」
男たちの顔をまともに見ることができず,つかさは顔を背ける。
悔しげに呟いた声に,既に力は無かった。
「出た出た! やっぱさ,つかさちゃんはソコが可愛いんだよな。俺たちを罵倒しといて,ベッド
の中ではメロメロになっちゃう,そのギャップってヤツ? つかちゃんって,意外とツンデレ?」
「うへへっ,いいねぇ…つかさちゃんみたいなツンデレ,大好きだぜ」
「ははははっ。つかさちゃん,やっぱり最高」
「じゃあ,そんなつかさちゃんを,もっと楽しませてあげるプレイ,そろそろ始めようかな? さ,
第2ステージへ進もうぜ」
「くっ……」
男たちが,つかさの手首を取る。
体の内側では,激しい肉欲が渦巻いていた。
公園緑地の奥。
冬の木立が並ぶ周囲には,枯れ葉の擦れる音しかしない。
そこで,つかさは,目隠しをされ,一本の太い枝に縛られた両手首を吊されていた。
「俺たちに,ちゃんと謝ってお願いするまで赦して上げないんだぜ。さあ,どうする? するんな
ら今のうちだぜ」
「誰が,そんなことっ……」
言いさしながら,つかさは違和感を覚えていた。
これから,いつものように,いっそう激しい勢いで,体にむしゃぶりつかれるのかと思っていた
親衛隊の男たちの声が,心なしか離れて聞こえる。
それと入れ替わるように……別の気配が,落ち葉を踏みしめて,そろりそろりと近寄ってくるの
を感じる。
「へへへっ…じゃあ,お客もそろそろ集まってきたころだし,お楽しみといこうか?」
「客…?」
「何だ,つかさちゃん,気づいてなかったのか? この辺,公園の奥なんだけど,いちゃつくカッ
プルも多いもんで覗きも多くてさ,つかさちゃん,あんまり可愛いからさっきからずっと覗かれて
いたんだぜ」
「えっ……」
「彼女どころか,女から声もかけてもらえそうにないオヤジばっかりでさ,凄ぇ飢えてるくせに,
いつも見てるだけなんだぜ。それって,ちょっと可哀相だと思わない?」
「優しい優しい,つかさちゃん? つかさちゃんも,そう思うだろ?」
「な,何…!?」
男たちの言おうとしていることが何となく分かる。
つかさは青ざめ,言葉を失った。
夕暮れに向かう公園は,昼の顔とは一変する。
つかさは,公園の中が,徐々に別世界のような空気に染まっていくのを感じていた。
終わり
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