「東城の秋」Ⅰ.音楽教師『水城編』
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第1回



 背中から明るく響く声が,前の方に突き抜けていく。
「じゃあねー。また明日!」
「あ,うん。また明日ね,北大路さん」
 バイトに向かって,慌ただしく駆け去っていく北大路さつきを,東城はにっこりと手を振って見送る。
 いつもと変わらない風景。
 いつもと変わらない言葉。
 しかし,夏休み間近の校内は,どことなく空気が違う。
 校内の雰囲気には,徐々に楽しげなものが加わり始めている。
 その空気に触れた者まで,妙にウキウキとさせる。
 東城もまた,その空気に包まれ始めた一人だった。

・・そういえば,もうすぐ夏休みだものね。北大路さんも何か楽しそう。私も・・今年は,やりたい
ことをたくさんやろうっと・・・
 階段をゆっくりと下りながら,東城は頭を巡らす。
・・せっかくの夏休みだから・・考えていた小説,もっともっと臨場感をもって面白くしたいな・
・・それには,やっぱり登場人物の心理描写を細かく分析していかないと・・・あ,でも今年も,
海に行けたらいいなあ・・・うぅん・・山でも楽しそうだけど・・・
 行きたいところ,やりたいことが次々と浮かんでくる。
 しかし,その想像の奥底には,無意識ながら真中の存在が必ず関わっている。
・・小説が完成したときに・・真中君に,また読んでもらえたら嬉しいな・・・
 そのとき,真中はどんな顔をするのだろう。
 また,いつものようにびっくりした顔をして誉めてくれるのだろうか。
 それとも,難しい顔をしてハッとするようなことを言ってくれるのだろうか。
・・ふふふっ・・・楽しいだろうな・・・
 自然と,顔に笑みが浮かぶ。
・・今年は,真中君と・・・たくさん,お話をしたいなあ・・・
 そのときは何を話しようか・・・そんなことを考えていた東城は,すれ違いざまに怪訝な顔をした
女生徒に気づく。
 そこで初めて,自分の顔に気づいた。
・・やだっ。私ったら・・ニヤけた顔をしてる・・・
 我に返った東城は,カーッと熱くなった頬を隠すように手を当て,人目を避けようと急いで階段
横の廊下に入る。
・・もうっ・・私ったら。変に思われるじゃない・・・
 自分の頭を軽くコツンと小突き,そっと辺りを見回した東城は,ふと,廊下を流れてくる微かな
音に耳を留めた。
・・なに?・・
 それは,注意していなければ分からないほど微かな,ピアノの音だった。
・・綺麗な音・・・
 何かしら惹かれるものを感じた東城は,流れてくる音の方に近づいていった。

「あら,いらっしゃい。こんなところに珍しくも,可愛いお客さんだわね」
 そっと,ドアを開けて顔を覗かせた美少女に,張りのある柔らかな声がかけられる。
「あ,水城先生・・お邪魔してしまってすみません・・。綺麗な音が聞こえたもので・・」
 ドアの中,音楽室で東城の目に映った人物は,水城という女性教師だった。
 背が高い美人教師として,男子たちにとっては憧れともいえる存在だった。
 東城を,その目に認めた水城は,気さくに声をかけてくる。
「いいのよ。入っていらっしゃいな。綺麗だなんて嬉しいわ。こんな私なんかのピアノでよければ,
好きなだけ聴いていってちょうだい」
「そんなっ・・いえ,水城先生のピアノ,とっても綺麗です。もう少し,聴かせていただいてよろ
しいですか?」
「どうぞ,どうぞ。私も,退屈していたところなのよ。あなたのような可愛い子が聴いてくれると,
私も嬉しいわ・・・東城さんっ」
 水城は,東城のことを,さも知っていたと言わんばかりにその名を呼んだ。
 東城は,嬉しさのあまり頬を染めながらドアを閉めた。

 水城の,流れるようなピアノの音が教室に響く。
「うわぁ・・・・水城先生,とってもいいです。私にも弾けたらなぁ・・・」
 羨望と憧憬の眼差しで見つめてくる少女の愛らしさに,水城は苦笑した。
「そう? でも,このくらいだったら,そんなに難しい曲でもないのよ。音の流れが綺麗なのね。
そうね・・・あなただったら,ちょっと練習するだけで,すぐできるようになるはずよ。どう? 
やってみない?」
「え? 私がこの曲をですか? 本当に弾けたら!・・・あ・・・でも・・私,音楽なんてあん
まり得意でもなくて・・水城先生にそう言ってもらえるのは嬉しいですけど・・・きっと無理です」
 東城が,恥ずかしそうにして俯きかげんに笑う。
 水城は,微笑をたたえたままあっさりと否定した。
「できるわ。本当よ。私は教師だけれど・・・本当のことしか言わないの」
 そう言った水城の目が,東城をじっと見据える。
 微笑を浮かべた顔なのに,その瞳には力が感じられる。

「東城さん・・・あなたはね,もっといろいろなことに挑戦したほうがいいわ。いろいろ経験して
・・・自分の眠っている力に気づくべきだわ。謙虚なのはいいことだけど,できないと思ったら
本当にできないのよ。あなたは,『本当の力』というものを覚えなきゃ。ね? やってみたいと
思ったら,結果なんて考えないで飛び込んでみるのが一番いいのよ。自分が楽しくやりたいことに,
結果なんてそんなに必要なのかしら?」
 水城の話は続く。
「あなたが,文学の方に興味があることは知っているわ。でもここで,文学だけでなく音楽の方に
ちょっと力を向けてみるのもいいんじゃないかしら? 音楽は,心を表現するのよ。あなたも,小説
では人の心の表現を大切に考えているでしょ? ここで音楽を学んでみることは,あなたの小説にも
幅を与えてくれると思うんだけど・・・違いを持ちながらも似た世界どうし,興味はないのかしら?」
 軽い口調ながらも,熱を帯びた話。
 そんなこと,今まで考えたこともなかった
 経験を重ねてきた大人の言葉は,東城の心を惹きつけ,誘う。

「今ならね,マンツーマンの個人指導が可能よ。どう? この夏,私について音楽をやってみない?」
 悪戯っぽく笑った水城の言葉に,東城は驚いた。
「え? 水城先生の・・・ですか?」
「そうよ。イヤだったかしら?」
 東城は,慌ててかぶりを振る。
「そんなっ,とんでもありません! 個人指導まで受けられるなんて・・・・考えてもいないこと
だったので。凄くありがたい話で,本当に嬉しいです。でも・・・どうして,私のような一生徒に
そこまでしてくださるんですか?」
 不思議そうに,率直に尋ねる東城に,水城はやはり悪戯っぽく答えた。 
「私は,あなたが気に入っているのよ,ふふっ,東城さん。それだけじゃ,ダメかしら?」
 にっこりと微笑んだ水城の美しい笑顔は,男子だけでなく東城にとっても抗いがたい魅力を含ん
でいた。

 夏休みは,順調に進んでいた。
 合宿は無事に終わり,特に何があったわけでもないのだが,真中と二人だけの一夜を過ごすことも
できた。
 小説も,登場人物の恋する気持ちを自分なりに突き詰めて考え,かなりいいところまで進めること
ができている。
・・でも・・・・
 東城は胸の中に,小さな違和感を感じる。
 真中とのことにしても,小説にしても順調に進んでいるのには違いない。
 どこがという不満もない。
 上手く進めることができている・・・と思う。
 しかし,同時に感じる得体の知れない違和感。
・・何かが足りない・・・
 何か大切なことを落としているのではないか・・・東城は,そんな思いがどうしても拭えないでいた。 
  
 逆に,水城に教えられるピアノは,足りないものなど微塵もなかった。
 ピアノを通して学ぶことは,すべてが新鮮だった。
 足りないどころか,たくさんのものに満ち満ちている。
 鍵盤の中の,ただ一つの白鍵を打つだけでも,自分と水城との間には大きな距離がある。
 誰でも弾けるような曲でも,本当は,決して誰でも弾けているわけではないのではないか・・・
という思いが,東城の心を捉えていた。
 その証拠に,水城が弾くピアノは,難しい曲は言うに及ばず『チューリップ』でさえ,うっとり
するほどの甘い調べをもって,東城の心に迫ってくる。
 面白い・・・と思う。
 そのレベルの違いが,自分と水城の未知の距離が,水城のピアノの陰に隠されているものが面白い
と思う。
・・近づきたい・・・
 東城は,ただそれだけの思いで練習に熱中した。

 時間の過ぎるのは速い。
 水城の柔らかな声が聞こえ,はっとする。
「東城さん,この辺にして,そろそろお茶にしましょうか」
「え!? あ・・はい! でも・・・・この一曲だけ,もう一度・・・いいですか?」
「ふふっ・・嬉しいわ。素晴らしく上達したものね。もちろんOKよ。東城さんのように,素直に
伸びてくる子に教えることができて,私も嬉しいのよ」
「そんなこと・・・ありがとうございます」
 満足そうに笑う水城の優しい声が,頬を染める東城の耳に心地よく響く。

 一曲のつもりが,二曲が終わり,そして三曲目にさしかかろうとしたところで,コポコポと温か
な水音がする。
 水城が優しい笑顔を向ける。
「あら,コーヒーが,ちょうど出来上がったみたい。では,もっとやりたかったでしょうけれど後
にして,今度は本当にお茶にしましょうね」
「はい,先生」
 晴れやかな声で,東城は答える。
 東城にとっては,この休憩の時間もまた,たまらなく好きな時間だった。
 淹れたてのコーヒーや紅茶を頂きながら,水城とのおしゃべりのひと時。
 教師という枠を越えて話をしてくれる水城は,話をすればするほど,魅力に溢れた大人の女性だった。
 もっと聞きたい,もっと話をしたい・・・・
 物腰や口調は柔らかながら,水城には,そう思わせるだけの力と輝きがあった。
「はい,東城さん。一番の淹れたてよ」
「ありがとうございます」
 差し出されたカップを手に取る。
 しかし,その日のコーヒーは,少し苦い気がした。


第2回



 ひとしきり楽しいおしゃべりがすんで,休憩も終わる。
「東城さん,そろそろ始めましょうか」
「はい,先生」
 ピアノの前に立ち,鍵盤に向かう東城の手に,後ろから白くしなやかな手が添えられる。
「いい? 鍵盤はね,柔らかい力で弾くのよ。音をしっかり出そうとして,硬い力を入れるのは
間違い・・分かるわね? 表現したい自分の気持ちを思い浮かべて,それに従うの」
「はい・・」
・・どうしたんだろう・・・私・・・
 東城は気づいた。
 いつもと同じ風景なのに・・・何かが違う。
・・熱い・・・身体の奧が・・風邪なんかの熱じゃない・・何?・・・・
 東城の心の中に,戸惑いと,何かを恐れるような気持ちが急激に湧き起こる。
 今まで教えられた通りに曲を弾き始めながら,胸の鼓動が速くなろうとしているのが分かる。
 水城の細い指が,自分の手を指導するようになぞっていく。
・・あっ・・・
 その手が・・・
 水城の,その手の動きがとても気になる。
 ドキドキとしてくる。
・・あ・・ん・・・
 水城の指に触れられるところが,痺れるような感覚を呼び起こしてくるようだった。

「身体が硬くなっているわよ。ほら・・・身体の力を抜いて・・」
 水城の両手が,東城の腕を滑り上がり,腕や肩を柔らかく揉みほぐす。
「あ,はい,すみません・・・」
 返事をしながら,東城の胸には奇妙な気分が込み上げてきていた。
・・ん・・ぅ・・先生に触れられているところが・・・
 触れられている腕や肩の,皮膚感覚が急激に鋭くなっていくような気がする。
 それだけではなかった。
 水城に揉まれる腕や肩を中心に,ジワジワとした妙な熱が湧き起こる。
・・どうしたんだろう・・・私・・何か・・変・・
 その熱は,身体の芯にまで少しずつ浸透し,やがて全身に巡ろうとしていた。 

 目は,いつの間にか水城の手を追い,じっと見つめてしまう。
・・先生の手・・白くて・・綺麗・・・
 熱を全身に感じる。
 身体が火照っている。
「どうしたの? 東城さん,手が止まっているわよ」
「あ,すみません・・少し,ボーッとしていました」
 ハッとして,再び弾き始めた東城の身体を,いたわるように水城の指が撫でつける。
 両腕が,後ろから東城の腰を抱くように回され,やはり優しくいたわるような声が耳にかかる。
 東城の胸を,ドキンとしたものが走った。
「嘘はダメよ。東城さん・・・どうしたの? 何か気分でもおかしいの?」
 吐息が耳にかかる。
・・・あ・・息が・・また・・・
 東城は,唇をきゅっと結んだ。
 腕や肩と同じように,水城の吐息に触れた耳の感覚が鋭くなってくる。
 熱くなってくる。
・・そんな風にされるとっ・・だめっ・・
 水城の腕に,任せたい欲求が湧き起こってしまう。
「あ・・だ,大丈夫です・・・」
 しかし,それ以上,言葉を続けることはできなかった。

 水城に抱かれた身体。
 水城の指に撫でられる身体。
 何か言葉を続けると,変な声が出そうだった。
 無言のまま,水城の腕から何とか離れるように身体を動かす。
 そっと,失礼にならないように。
 それが精一杯だった。


 しかし,意外にも水城は,離れようとする東城の身体を柔らかく抱き寄せる。
「ダメ・・・こっちへ来なさい・・・東城さん」
「ん・・・ぅ・・」
 たったそれだけの行為で,東城の身体にはズキンとした甘いものが奔った。
・・だ,だめ,先生・・・
 水城の指の動きに,身体の芯がカーッと熱く火照り出す。
 優しく親切に,そしていたわるようにして接してくれる水城の行動を,東城は拒絶できなかった。
 少しくらい奇妙に思えたとしても,東城の心は相手の行為を好意的に考えようとする。
 ゆっくりと,自分の身体に絡みつく手に,東城は為すがままだった。
「可愛い子・・・」
・・はっ・・・
 抱き締めてくる両腕に・・
 背中に押し付けられる水城の二つの膨らみに・・・東城は息が止まる。
 何も反応ができない。
 どうすればいいのかも分からず,じっとしている時間が,果てしもなく長い時間に思えてくる。

「あ・・うぅっ・・・」
 不意に,うなじに温かいものが押し付けられた。
・・え,えっ!?・・・
 それが,水城の唇だと気づいた東城は,思わず呼吸を荒くして喘いだ。
 水城の不意打ちは,それほど甘美な刺激だった。
 押し付けられた唇が,うなじを滑り降りてくる。
「せ・・水城先生っ・・・」
 心臓の高鳴りが,ひどく苦しい。
・・ど,どうして・・私・・・どうにかなりそう・・・
 身体が汗ばみ始めている。
 そのとき,耳元で柔らかな声が響いた。
「無理はダメよ・・・東城さん。少し休まなくて大丈夫?」
「は・・はい・・大丈夫です・・大丈夫ですから・・・」
「そう・・・それなら・・あなたのピアノを,少し聴かせてもらおうかしら・・」
「はい・・・」
 なぜか,抗うことができない。
 水城の声には,妙な迫力があった。
 敬愛すべき教師の言葉に,東城は素直に従った。
 後ろから抱き寄せられたまま,ピアノの前の椅子に座る。
 水城の表情が,抱き締めたままの東城の背後で,次第に妖艶なものに変わっていく。
 ピアノの色に合わせて。
 今まで,一度たりとも見せたことのない表情に。


 東城のピアノの音が,滑らかに流れ始める。
 夏休み前までは,決して叶うことができないと思い込んでいた曲だったが,今や譜面なしでもなか
なか上手く弾くことができるようになってきている。
 しかし,曲が弾けるかどうかは,水城にはあまり関心がないようだった。

『曲はね,ただの音符の集まりよ。できるからといって自慢できるわけでもなければ,できないから
といって悲観するものでもないのよ。音楽家として大切なことは,もっと,その先にあるの』
『音楽は,単なる技術だけではないのだから』

 何回となく聞いてきたその言葉から,水城が自分の中の何か別のものを見て,それを期待してくれ
ていることが分かる。
 東城には,見当もつかないことだった。
 まだまだ,水城の意味するところを理解するまでに到達してない東城だったが,それでも根気よく
教えてくれる水城に,深い感謝を覚えていた。

 その感謝が,器用とは言えない東城の心を縛っていく・・・。


第3回



 ピアノの音色が進むうち,水城の様子は少しずつ,しかし怖いくらいに変化していく。
「一度弾き始めたら・・・途中で,止まらないようにすることが大切なこと・・・それに没頭して,
気持ちを傾けて・・・自分の世界だけに集中するのよ。それが音楽に求められる,基本的な姿勢・・・」
 耳元に囁かれる言葉は,次第に,吐息混じりなものに変わろうとしている。
「はい」
「周りが見えすぎるというのは時としてマイナスなの・・・いろいろな意味でね・・さぁ,あなたも
見せて・・・あなたの,あるがままの世界を私に見せて・・・」
 謎かけのような言葉を紡ぎ出す,水城の表情は恍惚としたものに変わり始めていた。
 少し荒さを感じる熱い吐息が,東城の白いうなじにかかる。
 東城を抱く手が,ゆっくりとその身体を撫で回し始める。
 トランス状態にある,芸術家さながらに。

 後ろから自分を抱く水城の手が,胸の膨らみに当たった。
・・あっ・・・
 ピクンと反応した東城の手が思わず止まる。
「止まってはダメ・・・あなたの世界に,集中するのよ・・・」
「は,はい」
 水城の声の調子に気圧されて,東城は鍵盤に向かう。
 その胸元では,水城の指先が,豊かな膨らみを柔らかく捉え始める。
 水城の長い指が,制服に隠れた山頂を,仄かな力で撫で回す。
・・あ・・胸が・・・
 その,そこはかとない力が,東城の心を戸惑わせていた。
『集中するのよ』という言葉が,頭の中を駆け巡る。
・・わからない・・・どうして・・こんなことを・・・
 東城は,水城の真意を測りかねていた。
「あの・・・先生・・・」
 ピアノを弾き続けながら,東城は恐る恐る声を出す。
「ダメよ。東城さん,気持ちを他のことに向けては。これは,あなたのレッスンなのだから。
いい? あなた自身のことに没頭するのよ。続けるの。さあ!」
「あ,はい,すみません」
 語調鋭く撥ね付けられ,東城は,訳も分からず言われるがままに弾き始める。

「そう・・・・それでいいのよ。そんな感じで・・・もっと集中して・・・」
 水城の手が,再び東城の胸の上を這い始める。
・・集中しなければ・・・集中しなければ・・・
 東城は,水城の言葉の通りにピアノに集中しようと努力した。
 しかし,どんなに気持ちを切り替えてみても,熱く囁かれる水城の吐息や,指先をぐっと押し
当てられた胸が,どうしても意識の中心にきてしまう。
 全身を包む熱が・・・
 水城に包まれる胸が・・・切なく苦しい。
「はぁ・・・はぁ・・」
・・だめ・・・上手く退けない・・・
 ピアノに集中できていないのは,音色の乱れをみても一目瞭然だった。
 しかし,水城は,満足そうにうっとりとした表情を浮かべている。
 その指先は,東城の胸の丸みをゆっくりとなぞり,そして,そっと大きく広がってくる。
「あっ・・・」
 東城の豊かな両胸に,水城の手の平が被せられる。
 胸に圧力を感じると同時,甘く痺れるような疼きが込み上げ,東城は声を漏らした。
 身体が硬くなり,背中が少し反る。
「そう・・・いいわよ・・・続けて。そのまま続けるのよ・・」
 熱に浮かされたような水城の声に合わせて,大きく広げられた手の平が,制服の胸の頂を揉み
始めた。

「う・・・ん・・っ・・み,水城先生?・・・」
 かすれる小さな声で,東城はやっと声を絞り出した。
 大きく被せられた手が,微妙な動きで,柔らかな膨らみを揉んでいる。
 やわやわと揉みながら,頂上付近を指先が這い回り,蠢く。
「あっ・・・あんっ・・」
 一際,鋭い感覚が指先から奔った。
 ビクン,と身体が勝手に動く。
 その身体の反応を待っていたように,水城の指がその付近に集中してきた。
・・そっ・・そこはっ・・・
 胸の中で,一番敏感な突起。
「あ,あっ!・・・うんっ!・・」
 東城は今まで,そんなところを,そのように触れられたことなどなかった。
 これまでに感じたこともないような,甘美な疼き。
 さっきから身体を包んでいる熱が,呼応するように一気に燃えさかり出す。
 切ない苦しさが,心地よい甘さに変わり始めようとしていた。

 水城の指の腹が,東城の胸の敏感な先端を捉え,押し潰すように動く。
「続けるのよ・・東城さん・・・そのまま・・あなた自身を表現するの・・・」
 東城には,もうわけが分からない。
・・どうすれば・・いいの・・・
 ただ,囁かれる水城の指示通りにピアノを弾き続ける。
 東城の胸は,今や鷲掴みにされた手で,はっきりと揉まれていた。
 手の動きとともに,その膨らみは歪み,形を変えていく。
 制服越しに,探られた胸の突起が指の刺激を受け続ける。
「くうぅ・・・んっ・・・」
「その調子よ・・・それでいいの・・」
 じっとしていられず身をくねらせる東城は,首筋に甘く水城のキスを受けた。
 二つの胸の突起から,ぴりぴりと何かが流れて腰が痺れた。

 胸への愛撫に身体をくねらせて耐え,ピアノを弾き続ける東城を,新たな刺激が襲う。
「きゃうぅっ!・・・」
 水城が,後ろから耳朶をその唇で挟んでいた。
 何かに憑かれたように,うっとりと目を閉じた水城は,舌を東城の耳に這わせてくる。
 耳のラインを舌でなぞり,奥に捻じ込んでくる。
「先生ぇぇっ!」
 呪縛から解けたように,東城はピアノの椅子から立ち上がった。
 何かがおかしい。
 何かが狂っている。
 こんなの,まともじゃない。
 言いたいことはたくさんあった。
 しかし・・・
 立ち上がって見つめた水城は,美しいほどの微笑みで見つめ返してくる。
「どうしたの,東城さん・・・大きな声を出して・・いけない子ね・・さあ,いらっしゃい・・」
「ど・・どうして・・・・・」
 その表情に魅入られたように,東城は声を続けることができない。
 教師が,それも自分に親しくしてくれている教師が,なぜこのようなことをするのか分からな
かった。
 教師が,いやらしい意図を持ってこんなことをするはずがないと,まだどこかで東城は思っていた。
 東城にとって,教師とは敬うべき存在だった。
 その思いが,はっきりと抗議をするという行為にブレーキをかけていた。



第4回



「東城さん・・・私の思った通りだったわね。とても才能を持っていて・・魅力的で・・・並の男
では,その魅力だけで夢中になって満足してしまうでしょう。でも・・・私には,分かるのよ・・・」
 その口調は,確信と自信に満ちていて,東城を更に深く惑わせる。
「何を・・言っているのですか・・・わかりません」
「ふふふっ・・分かる必要はないわ。頭や理屈なんかではね・・・」
 怯える東城の前で,水城の目が妖艶な光を放つ。
「水城先生・・・教えてください! なぜ・・こんな・・・」
 東城はまだ,納得できるだけの答えを何とか求めようとしていた。
 水城は,妖艶な表情に笑みを浮かべて,立ち上がった東城の胸に手を伸ばす。
 水城とピアノに挟まれ,東城に身を避ける間隙はなかった。
 手の平は,あっさりと制服の膨らみに着地し,丸い形を包み込む。
「じっとしていなさい・・・教えて上げるから・・」
「んぅ・・・っ・・・やめてください・・・先生・・」
 超然とした声と態度に対し,怯え竦んだ目と,弱々しい抗議の声。
 東城は,水城に完全に飲まれてしまっている。
「どうして? あなたのココ,硬くなっているみたいよ。気持ちいいんでしょ?」
 水城は小さく笑い,制服越しに微かに感じる突起を指先で嬲る。
 夏服で薄手の制服は,東城の敏感な身体の様子を,隠しようもなくその指に伝えていた。
「ぅぅ・・・ぅっ・・・」
 水城の指の動きと共に,快美な痺れが東城の身体を包み込む。
・・ぁぁ・っ・・また・・だ・・・
 東城は顔を逸らし,ぎゅっと目を瞑った。
「どうして・・・」
 ふっくらと艶やかな唇から,やるせない吐息が零れ落ちた。

「ふふ・・・東城さん,あなた,凄く気持ちよさそうよ・・。もっとして上げるから・・うふふ
・・・さあ・・・私と楽しみましょう」
 水城は,東城の制服の裾を捲り上げる。
 そこに露出した細い腹部,ちいさなへそを中心に,舌の先端を這わせる。
 縦に,すーっと舐め上げる。
 東城は,硬直したまま動けず,水城の行為をただ見つめていることしかできなかった。
「い,いや・・・そんな・・やめてください・・。人を呼びます・・」
 震える声で,やっとの思いで抗議をする。
 しかし,水城は余裕だった。
「無駄よ。ここは音楽室。人の声など届かないわ・・・それにね・・・今日は,誰もいないの。
私の他にはね。あらかじめ,日にちを選んでおいたの・・今日は,心置きなく楽しめるわよ。
ふふふっ・・・」
「そ・・そんな・・・」
 東城は,全身から血の気が引いていくのを感じていた。

「水城先生・・・・それじゃあ・・最初から・・・」
 大きく見開いた瞳を哀しげに潤ませ,東城の震える声が教室に響く。
 それを見下ろす水城の心に,どす黒い衝動が湧き上がってくる。
・・そうよ・・そう・・いいわ,東城さん・・もっと・・・もっとよ・・・
 水城は,その衝動を歓迎し,身を委ねた。
「そうよ・・・だから,いくら叫んでも無駄なの・・・」
「そんな・・信じていたのに・・・水城先生,非道いです!」
 東城の濡れた瞳に一瞬宿った光を見て,水城は誘うような目をする。
「そう,それじゃあ,逃げてもいいのよ。本当にイヤなんだったらね・・」
 水城が,すっと身体を離した。
 その瞬間,東城の膝は,いとも簡単に崩れかけた。
「え!?」
 何とか踏みとどまったものの,平衡感覚を失ったようによろめく足は,自分のものではないよう
だった。
 走って逃げるどころか歩くことさえ,いや,自分の力だけで立ち続けることさえもままならない。
・・どうして? どういうことなの?・・・
「あらあら,逃げられないようね。危ないわよ,ふらふらして・・・腰がメロメロじゃない。そん
なに私の愛撫がよかったのかしら? 見かけによらず,イヤらしい身体をしているのね。どんなに
口では嫌がってみせても,身体は誤魔化せないのよ・・・ふふふ・・・本当は,気持ちよくて堪ら
なかったんでしょ?」
 呆然となっているような東城を抱え起こし,水城はいたわるようにその黒髪を撫でる。
 その仕草は,愛しい者に接する恋人そのものだった。
「分かったら,思い切って私と一緒に楽しみましょうね。素直になって・・・」 
 楽しそうな水城の手が,制服の中に潜り込んでいく。

「ふふふっ・・・身体が変でしょ? ほら・・・こんな風に撫でられるだけで堪らないはずよ・・」
 素肌の身体を抱きしめる手が,華奢な背中を優しく撫で回す。
「あ,ぁ・・ん・・っ・・」
 水城の手から逃げるように,東城は背筋を反らして喘ぐ。
「背中をちょっと触って上げただけで・・・その声,その反応・・・素晴らしいわ。本当に可愛い
子。ますます苛めたくなっちゃうわね・・・。ふふふっ・・・種明かしをして上げましょうか? 
あなたのコーヒーに,ちょっと薬を入れさせてもらったの。性的興奮を強烈に刺激してくれる,即効
薬よ。どう? 納得してくれた?」
「えっ!!?」
 驚愕する言葉だった。
 聞いた言葉が信じられず,東城は水城の顔を見上げる。
 薄らと笑う水城は,制服を胸元まで捲り上げる。
 透けるような白さをもった二つの膨らみと,それを包み隠す,可愛らしいデザインのブラジャーが
露出する。
「媚薬よ。聞こえなかったかしら? あなたのためだけに用意しておいたの。だから・・・・ね,
ここをこんなに硬くしていても,少しも変じゃないのよ。ね?」
 水城の手がブラジャーのカップを剥き上げ,桜色をしたその小さな先端を軽く摘んだ。
「あ・・っ!・・は・・ぁぁ・・・っ・・・・」
 声にならない喘ぎを漏らし,東城は,身体全体を細かく震わせた。

「水城・・先生・・っ・・・」
 今朝までとはまるで違う,豹変した水城にわけが分からず,東城は身動きできなかった。
 ただ,恐怖にも似た色を浮かべた大きな瞳で,今まで,敬愛してやまなかった教師の姿をじっと見
つめている。
 水城は,指の腹で転がしている小さな尖りに,ゆっくりと紅い唇を近づけてくる。
・・ああ・・いや・・・
 東城の身体の芯に,なぜか熱いものが込み上げてくる。
「あ,あ・・・やめて・・・」
 東城の声が,震えを増す。
 水城は,満足そうな笑みで,硬くなった胸の頂点を見つめた。
「ふふ・・・東城さん・・・こんなに尖らせて・・可愛い子・・」
「やあぁぁっ・・!」
 水城の唇が,東城の乳首を含んだ。
 温かく,弾力のある舌先が,乳首に絡みついてくる。
 東城にとって,それは初めての体験だった。
 舌先が乳首に触れるだけで,ズキンとした疼きが身体を走る。
 温かく,柔らかで・・・恥ずかしい胸の昂ぶりを集中的に狙ってくる舌の動き。
 その,甘美で疼くような快感に,東城は悲鳴とも喘ぎともつかない声を上げた。
 乳首を吸われるのを感じ,身体を右に左によじらせる。
「東城さん・・とても感じるのね・・・こんなに敏感で・・素直な身体・・・可愛がってあげる・・」
 水城は,快感を訴えて悩ましくくねる身体を,その両腕でしっかりと抱き締めた。
 東城の小さくも敏感な乳首は,愛でるように這い動く舌や唇に,丹念に吸い上げられていく。

「はぁ・・あぁっ・・んう・・ぅぅ・・・んっ・・」
 目を瞑り,頬を染めて,快感を享受しているかのような東城の表情は,見る者すべてをぞくぞく
させるようだった。
 舐め吸っていた乳首から顔を上げた水城は,快感に震える長い睫毛をうっとりと見つめる。
 細い首筋に,滲み出た汗が光っている。
 水城は,顔を近づけた。
 舌を這わす。
「いい子・・・」
「・・っ・・・ん・・」
 口をつけ,ヌラヌラと赤く濡れ光る舌先で,滲む汗を丹念に舐め取る。
 ショックと快感から,呆然となったままの東城は,されるがままに無抵抗だった。
 水城の片手が,ピアノの鍵盤部に寄りかかった東城の腰にかかる。
「まだまだよ。こんなの,ちょっとした小手調べ程度のもの・・・。今日は,女の歓びというものを
知ってもらうわ・・・もっとイイわよ・・。あなたには,私が直接たっぷりと教えてあげるから・・
ふふふ,安心なさい・・」
 はぁはぁと,荒い呼吸を繰り返す美少女の瞳は潤んでいた。
 感じてきていることを隠しようもないその顔に笑みを返し,水城の手はスカートを捲り上げ始めた。
 悩ましくも,白い太腿とパンティが,惜しげもなく露出させられていく。


第5回



 忍び寄った水城の手が,白く小さなパンティの中に突っ込まれた。
「ぁぁ・・・ぁ・・ぁあっ!」
 東城の背が反り返り,硬直する。
 強い電気のような痺れが腰から背筋を走り,頭の先にまで駆け巡る。
 悲鳴を上げ,その痺れの源に気づいたとき,既に水城の手はパンティの奥深くまで潜り込んでいた。
 パンティの股間部分が,突っ込まれた水城の手でイヤらしく盛り上がっている。
 水城の指は,パンティの中で東城の秘部をしっかりと捉えていた。
「ああっ! 何をっ! ううんんっっっ!」
 スカートの裾を押さえて手を制する余裕もなく,東城は跳ね上がる全身を硬直させた。
 水城は勝ち誇ったような微笑みを浮かべ,パンティの中の指を前後に動かす。
 東城のそこは,先ほどまで抗うようなことを口にしていた女の子とはとても思えないほどの濡れ
ようを呈していた。
「あぁっ!・・んんぅっ!・・いやあぁっ!・・・」
「ほら・・・もう,ここをこんなにしているくせに・・・『何を』でも『いや』でもないでしょう?
ね? 東城さん?」
 可愛い下着の中で,秘部を前後になぞる指が,何の抵抗もなくヌルヌルと濡れ滑り動く。
「どう? 東城さん? 媚薬の味は・・・素晴らしいでしょう? ほら・・・気持ちいいでしょう?
分かる? あなたは,こんなに感じているのよ・・・」
「いやっ! 先生っ! だめっ・・・触らないでっ,やめてくださいっっ!」
 水城の手の動きを止めようと,必死になって手首を握って抑えるものの,秘部を撫で回す指の動き
までを止めることはできない。
 滴り落ちる東城の蜜は,水城の指だけでなく,手の平までも濡れ光らせていた。

・・こんなのっ・・・こんなのっ・・・・
 玉のような汗が吹き出し,次々と胸元を流れていく。
 その一つ一つを,水城の舌が舐め啜る。
 下着の中の手は,東城自身が知らないところまでも探り入っていく。
 小さな入り口を見つけた水城の指が,周囲を柔らかく揉みほぐすように動いている。
 東城は戦慄した。
「はああぁっ!・・・いやっ・・いやああっ!・・先生ぇっ・・そこはっ・・・」
「あなたのここ,凄いわよ・・・とろけそうなほど熱くて・・ヌルヌルに濡れて・・凄く感じている
のね。どう? 口では嫌がっていたけれど・・気持ちいいんでしょ?」
「そんなことっ!・・そんなこと・・ありませんっ・・違いますっ・・」
「でも,あなたのここは,そうは言っていないわよ・・・ほら・・」
 水城の指が,グチャグチャと東城の秘部を嬲る。
「やああぁっ!・・・」
 東城の腰が痙攣する。
 水城の言う通りだった。
 戦慄を感じたはずなのに,身体は完全に熱く狂っている。
 そして,更に狂おしい何かを予感し,もっと奧にあるものを甘く期待しようとしている。

「あなたの身体は,本当は,こんなに感じているのよ・・・凄いじゃない・・素直になれば,今まで
知らなかった世界があなたの前に姿を表すのよ・・・どう?・・ほら・・」
 背中を押すような水城の声に,張り詰めた糸が切れかかってくる。
・・私・・・私っ・・・ああっ・・真中くんっ・・・
 強烈な快感に我を忘れそうだった。
 水城の肩にしがみついた手に,ぎゅっと力が入る。
 そのとき,東城の耳に水城の優しげな声が囁かれた。
「ふふふ・・・可愛いわよ,東城さん・・・。私が思った通り・・・ねえ,一つテストをして上げる
わ。私の言うことができれば・・・・ふふふ,帰してあげてもいいんだけど。どうする? 簡単よ。
最後までピアノを弾き続けること。あなたのピアノを聴きたいの・・・どうかしら?」
「え・・・」
 東城は顔を上げた。
・・帰ることが・・出来る・・・
 東城の意識は,その言葉だけに向けられていた。
 水城が提示したものにしろ,東城には一筋の光明に見えた。
「それで・・本当に帰してもらえるのですか・・・」

 東城は,最後の罠に堕ちた。
 何かを期待するように,妖しく光る水城の目が,静かにそのことを物語っていた。


「あぁ・・あ・・・ぅっ・・んっ・・・」
 椅子に座り,鍵盤に向かう東城は熱い息を吐いていた。
 制服は身体の半ばほどまでも剥き上げられ,背後から侵入した二本の手が,捲り上げられたブラ
ジャーから零れ出た胸の膨らみを,やんわりと揉みしだいている。
 水城の舌は,さっきから,東城の耳から鎖骨にいたる首筋を何度も舐め回していた。
 丹念で,執拗な愛撫。
 男にはない,女性ならではの細やかな愛撫は,媚薬を飲まされた東城の,身も心をも蕩けさせて
いく。
 そんな悦楽の檻の中,逃げることもできず,東城は言われるがままにピアノを弾き続ける。
「耐えるのではないの・・・あなたの身体で感じたままを表現するのよ・・・わかるでしょ? それ
が心の音楽・・」
 小さな乳首を摘む指が,東城を指導するように官能を紡ぎ出す。

・・だめ・・・こんなの・・・できない・・耐えられない・・・
 東城は,頭を左右に振る。
 鍵盤を叩く手が苦悶する表情を映し出していく。
「そうよ・・できるわ・・・いい? 耐えるのではないのよ・・先へ・・・その奥へいくのよ・・」
 東城の心の声を導くかのように囁き,愛撫を続ける水城もまた,息を荒くさせている。
「心の本当の声に,素直な子だけが到達できるのよ・・・東城さん・・・あぁ・・可愛い子・・
もっと・・もっと可愛くなりなさいな・・」
 乳首を弄ぶ水城の手が一本,身体を滑り降りていく。

 温かな手の進入を太腿に感じ,東城の身体が身構えるように硬くなる。
「ダメよ・・・すべてを受け入れるの・・・さあ・・次にいくわよ・・・頑張んなさい・・」
 捲り上げたスカートから覗く,太腿の内側を丁寧に撫で上げ,水城の手が次第に奥へ奥へと這い
進む。
・・はあぁぁ・・っ・・・いや・・いや・・だめっ・・・
 東城は震えた。
 敏感な太腿の内側を細やかに撫で回され,形の良い脚がビクビクと反応する。
「ふふふっ・・あなたの太腿って,素敵な形をしているわ・・・ずっと触っていたいくらいよ・・」
 いつしか水城は,恍惚とした目で,両脚の奥の可憐な布切れを見つめていた。
「でも・・・あなたのここは,もっと素敵で・・可愛いはず・・」
 水城は,見つめる先でその長い指を,パンティ越しの股間にそっと突き立てた。

「んぅ!・・っ・・・」
 くちゅっという水音と共に,突き立てられた指に透明な糸が絡みつく。
 鎮める余裕もなく,次々と押し寄せる快感と官能の波は,美少女のそこをとめどもなく熱い蜜で
溢れさせていた。
「あぁ・・素敵・・・とっても可愛いわ・・・いい顔に近づいてきたわよ・・東城さん・・もっと
可愛くしてあげる・・私の指の動きを感じなさい・・・ほら・・動かしてあげる・・」
「あ,あ・・・・・」
 水城の指が,その周辺を円を描くように撫で回す。
 びくっ,びくっと腰を震わせる東城の目は,鍵盤以外に何も見えていない。
・・弾かなきゃ・・弾かなきゃ・・・
 東城は,必死になって弾き続ける。
 水城の言葉が,圧力となって東城の無意識に作用していた。
『一度弾き始めたら,途中で止まらないようにすること・・・』
『テストよ・・・・最後までピアノを弾き続けること・・』
・・途中で止まったら・・ダメ・・・最後まで弾き続けることができれば・・・終われば・・・
「そうよ・・・東城さん・・そのまま,そのまま先へ・・奥へいきなさい・・・」
 ヌルヌルと下着の上を滑る指は,内側から溢れ出すものでみるみるうちに濡れ光っていく。
 東城の眉根が,切なそうに形を歪める。


第6回



「いいわよ・・・東城さん・・そろそろ,次にいくわよ・・・」
 水城の指が,パンティの薄い布を横へ掻き分け,その内側へと潜り込んだ。
「はあぁっ! ううぅぅっ!!・・・・・」
 高められていく身体。 
 急激に増していく,刺激,快感。
 東城の秘められた入り口は,水城の指先に再び捉えられていた。
 捻じ込まれようとする指に,東城の秘部は歓喜の悲鳴を上げる。
 水城の腕の中で,東城は身体を何度も跳ね上がらせた。
「ふふふ・・そんなに感じるの? まだ,ちょっとしか入っていないのよ・・・ほら,根元までいく
わよ・・」
「いやあああぁぁっ!」
 少しずつ,潜り込んでくる指。
 水城の長くしなやかな指は,東城の小さな入り口をこじ開け,ゆっくりと入ってくる。
 強烈な電気が,腰を痺れさせた。
 東城は,がくがくと腰を痙攣させながら,椅子の上で腰を折り,指の侵入を避けようとする。
 ピアノが,楽譜にない不協和音を奏でた。
 
 腰を引き「く」の字に折った身体の中に,一本の細長い指は,その根元まで埋め込まれていた。
 僅かに指を動かすだけで,ヒクヒクと反応する華奢な身体を,悦楽に満ちた顔で水城は見つめる。
「分かっている? 東城さん・・・あなたのここは,さっきから私の指を締め付けているのよ・・・
ふふふっ・・聞こえるわ・・あなたの声が・・・東城さん・・あなた,もっと,もっと欲しいのね・
・さあ・・上げるわ・・私の指を,しっかりと咥え込みなさい」
 ずぶずぶと,指がイヤらしい水音をたてて引き抜かれ,そしてまた一気に沈み込んでいく。

「うあああぁっ!!」
 透き通ったソプラノの声を上げて,東城は鍵盤に突っ伏した。
 水城の細くしなやかな指が,東城の熱く熔けた内壁を掻き回すようにくねっていた。
 そして,くちゅくちゅという音とともに,出し入れされる指。
 指が一本,やっと入ろうかというその通路を,水城の指は左右に捻り回りながら動く。
 その動きは,繊細で,微妙で,優しさに満ちていた。
 東城は,未知の悦びと快楽に,ただ為す術もなく悶えた。
 男ではまずあり得ない,女性ならではの・・・いや,水城ならではの指の動きは,性の快楽をしら
ない美少女を追い上げていく。
 水城もまた,歓喜の声を上げていた。
「凄いわ・・・東城さん・・あなたの,この中・・・どんどんと熱いものが溢れてきて・・熱い泉の
ようよ・・・ドロドロに熔けて・・・まるで,あなたの心そのものじゃないのかしら・・・素敵よ・
・可愛いわ・・・可愛すぎて,食べてしまいたいくらい・・・」
 欲情に濡れた目を,東城の濡れたそこに向ける。
 水城は,椅子に座った東城の前に腰を下ろし,ゆっくりとひざまずいた。


 水城の目の前に,スカートが捲くれ上がった東城の股間が広がっている。
 可憐な下着に包まれた,限りなく淫らで可愛い東城の秘部。
「さあ・・・最後の仕上げよ・・あなたの曲を,最後まで聴かせてちょうだい・・」
 水城の舌が,鮮やかな赤い光を放ち,割って入った両脚の間に吸い込まれていく。
 虚ろな東城の半開きの目に,自分の両脚を押し広げる水城の姿がぼんやりと映った。
 その両脚の間に引き寄せられるように,埋められていく顔。
・・あ・・・なに?・・・
 突然の,鮮烈な刺激だった。
 下着の縁を横に剥かれ,ヌルッとした物体が,身体の中で最も敏感なそこに押し入ってくる。
 虚ろな意識が吹き飛んだ。
「きゃあああぁぁっ!」
 鋭い悲鳴ともに,ピアノの鍵が高らかに鳴り響く。
 それは,もう,曲といえるものではなくなっていた。
 媚薬と水城の愛撫によって,これ以上はないほどの性感を引き出されていた東城は,温かな舌の
侵入に太腿を引きつらせて逃れられない悦楽に身悶えた。

 水城の魅惑的な唇が,東城の秘部に吸い付いていた。
 溢れる雫を吸い上げ,舌で内部の蜜を掬い取る。
 東城は,自分のそこが熱いもので覆いつくされ,犯されているのを感じる。
「私の舌が,どんな風に動いているか分かる? 女のここはね,とっても繊細なの・・・男には決し
て分からない,女だからこそ分かる部分がたくさんあるのよ。私の舌を,あなたの中で感じてごらん
なさい・・・あなた自身でさえ知らなかった,『女』というものを教えてあげるわ・・・」
 官能の渦に,意識を朦朧とさせた東城は,聞くとはなしに水城の囁きを受け入れていた。
 椅子に座ったヒップを掴み固定され,股間に埋められた顔の奥から,秘部を犯す熱い物体を感じる。
 下着を押し分け,内側の壁を掻き分けて入ってきた舌。
「先生ぃ・・っ・・・そんなこと,だめぇ・・っ・・」
 東城は,それが,自分の熱い内部でくねる様子を,目にはっきりと浮かぶほど感じる。
 差し込まれた舌が,くねくねとくねり動きながら秘部を広げて押し入っていく様子・・
・・ああ・・・こんな・・・・イヤらしいことって・・・
 頭の中がカッと熱くなる。
 これほどまでに,イヤらしい光景があるだろうか。
 しかし,東城は,心の中にそれを悦んでいる自分がいることに気がついた。
・・私・・・先生に・・イヤらしいことをされて・・・感じているの?・・・
 甘美な刺激に対する,戸惑い・・・葛藤。
 心の反応とは別に,その甘美さを狂喜して求めようとする,女としての身体。
・・これが・・・・『感じる』ということ・・・なの・・
 不意に,東城は自覚した。
 身体が『感じる』凄まじさ。
 心で『感じる』深さ。
 そして,それを受け容れる切なさと,心地よさ。
 それらすべてを含んだものが『女』というものであり,自分もその中から多分に漏れない。
・・これが『女』・・・こんなに・・凄いこと・・・だったなん・・て・・・
 意識が次第に白くなりかけた中,東城は心の中で,何かが溶けていくのを感じていた。

 東城の微妙な変化は,水城にも敏感に伝わってくる。
 これこそ,水城が待ち望んでいた,東城の反応だった。
「東城さん・・・凄く感じているのね・・・イヤらしくて,イイでしょう? 感じるって素晴らし
いでしょ? 感じている東城さんは,ふふ・・とっても素敵よ。じゃあ・・最後に,最高に素敵な
東城さんにしてあげるわ・・・」
 水城の舌が,花びらに隠れた突起状の膨らみを探り出す。
 最も敏感な芽。
 水城の舌先が押し当てられた。
「!!」
 東城の華奢な身体が,ビクッと跳ね上がった。
 声もなく,背が反り返る。
 水城の舌が,その部分を激しく舐め回す。
 舐めながら,唇が強く吸い付く。
「あ・・あ・・はっ・・はぁ・・っ・・」
 東城は,意識を押し流していこうとするかのような,強い渦が巻き起こるのを感じた。
 ぶるぶると震える四肢が,硬直していく。
「あ・・あ・・・やああぁぁぁっ!!」
 東城は,身体全体を悩ましくくねらせ,よじらせながら絶頂に達した。

「はぁ・・はぁ・・・」
 息も絶え絶えに,東城は何の力もなく,ぐったりと倒れ伏していた。
 水城は,そんな東城を押さえつけ,いとも簡単に制服を,そして下着を剥ぎ取り全裸にする。
 次いで,自らも全裸になった水城は,バッグから棒状のものを取り出す。
 それは,女性同士がよく使う,装着型のディルドーだった。
 特別仕様のそれは,装着する側にもディルドーが埋め込まれるようになっている。
「んっ・・ぅ・・あ・・・ん・・っ・・」
 自らの秘部にディルドーを埋め込みながら,水城は艶やかな声を漏らした。
 美しい裸身を飾るには,およそ不似合いな物体。
 意識を,少し取り戻し始めていた東城は,その異様な光景に目を大きく見開いて見入っていた。
「ど・・・どうしたんですか・・先生・・・」
「よくできたわ・・・東城さん。テストは合格よ・・・これは,私からのご褒美よ・・」
 水城は,妖艶に微笑んで東城に近づいていく。
「い,いや・・いやです,先生」
 東城は,床に腰を着いたまま後ずさりした。
 いつの間にか,クッションのようなマットが敷いてあるのに気づく。
「安心なさい・・・あなたのために用意したものはいろいろあるの。媚薬も・・そのマットも・・
そして,このディルドーも・・・。見て御覧なさい。細いでしょう? それに軟いの。シリコン製
なのよ。初めてのあなたでも痛くないように,いろいろ考えてあげたのよ・・・心配しないで・・
大丈夫。すべてを任せて,楽しみましょう? ね?」
 恍惚としたその目は,狂気とも正気ともつかない光をたたえていた。

 水城が覆い被さってくる。
「あっ,いやっ! いやですっ! 先生っ,やめてくださいっ!!」
 必死になって抵抗するも,先ほどからの官能と媚薬に痺れた身体は,抵抗らしい抵抗もできずに
いいようにされるしかなかった。
 両脚が広げられ,熱く濡れた秘部に,何かが押し当てられたのを感じる。
「ふふふ・・・すぐによくなるわよ・・・素晴らしい世界を見せてあげる」
 水城の声とともに,軟らかい先端がずぶずぶと身体の中に入ってきた。

「あっ,あっ,いやっ・・いやあああぁぁぁっ!!」
「あら,あら・・・まだほんの先端しか入れていないのに,大変な乱れようね・・このまま根元ま
でいくわよ」 
 必死の抵抗も,悲鳴も空しく,細く軟らかいディルドーが埋め込まれていく。
 やがて,根元まで完全に埋め込んだのを確認すると,水城は満足そうに笑った。
「どう? 根元までしっかり入ったわよ・・・この細さですもの,痛みなんてないでしょ? それ
に・・媚薬で,気持ちよさしか感じないはずよ・・」
「あ・・あっ・・・んうっ・・先生っ・・お願いです・・・抜いてください・・・こんなの,いや
ですっ・・・」
 細いとはいっても,初めての東城にとっては,たとえようもない圧迫感だった。
 しかし,決して不快な感覚ではないことが,東城の心を惑わせていた。
 身体の奥深くまで埋め込まれたそれは,じわじわと甘く疼くものを呼び起こしてくる。
 このままでは,とてもじっとしていられなくなりそうだった。
・・このままでは・・・ダメっ・・おかしくなっちゃうっ・・・
 悲痛な東城の哀願も,恍惚とした水城には届かない。
「最初は,誰でも怖いのよ・・・でもね,この味を知ったら・・目が開けるわ・・・一気にね・・」
 水城は,目の前に横たわる,白く細い首に唇を押しつけた。
 形の良い乳房を揉み,ほんのりと桜色に色づく小さな乳首を摘み転がす。
「んっ! あ・・んっ・・ううん・・っ・・・」
 炎を上げて燃え上がる官能に,東城は切なく喘いだ。
「ふふふ・・・あなたはやっぱり可愛い子ね・・・ご褒美よ・・乳首を舐めてあげる」
 東城は抵抗することなく,水城の舌の前に乳首を晒した。
「ああぅっ! んっ・・あぁ・・・くうぅ・・っ・・ん・・」
 尖りきった乳首を舐めしゃぶられる。
 東城の腰は,埋め込まれたディルドーの刺激を求めて,自らくねり始めていた。

「イイでしょ? たまらなくなっているのね・・・ふふ・・いいわ・・動いてあげる・・・あなた
が知らなかった世界よ・・・たっぷりと見てきなさい・・・」
 水城が,腰を動かし始めた。
「あああぁぁっ!」
 打ち込まれた楔から逃れられないまま,東城は身体をのたうち回らせた。
 細いながら,指よりも遥かに長いそれは,東城を奥まで刺激する。
・・あああっ! 奥まで・・奥まできて・・当たっているっ・・・
 性体験がない東城は,そこが最高の性感帯であることなど知らない。
・・凄いっ・・ココがこんなに気持ちいいなんて・・・体のどこもかしこも感じて・・
 知らないがゆえに,次々と明かされていく性感に,東城は夢中になりかけていた。
「はあぁっ!・・・くうぅんっ!・・・いや・・いやっ!・・・ああぁぁっ!」
 突き入れられる度,東城の美しい顔が眉根を寄せて歪んだ。

 水城の手が,東城の身体を四つん這いにする。
 四つん這いにすると,あらためて分かる。
 くびれた細い腹部から,張り出したヒップの絶妙なコントラスト。
 東城のヒップは,それを眺める水城の心をそそった。
「あなたのお尻って・・・イヤらしいのね。ぞくぞくしてくるくらい,綺麗で・・・誘われてしま
うわ。男だったら,我慢できないでむしゃぶりついているわね・・」
 その魅力的なヒップから背中にかけて,舌を這わせて舐め上げながら,ディルドーの先端で濡れ
た秘部を前後に擦り上げる。
 ヒップの奥にディルドーをあてがわれて,東城はイヤイヤをするようにその腰を振った。
「いやです・・先生・・・こんなのっ・・・」
「違うわよ。これがいいのよ・・・犯されている感じが出てるでしょ? あなただって,さっき,
無理矢理イヤらしいことをされていることに,たまらなく興奮して感じていたはずよ。分かっている
のよ・・・ふふふ・・」
「い,いや・・違!・・っ」
 あてがわれたディルドーの先端が,ニュルリと東城の中に沈む。
「はああぁっ!」
 ぐぐぐっ・・と,みるみるうちに奥まで貫いていく。
 張り出したヒップを両手で掴み,水城は腰を前後に動かし始めた。
「ああぁ・・っ・・んんぅっ・・・」
 東城の声が,見る間に,切なさと甘さを含んだものに変わっていく。
 身体の中を擦られながら,引き抜かれていく刺激・・
 奥まで突き込まれる刺激・・
 腰だけでなく全身に,甘くしかし強烈な痺れが広がっていくのを感じる。
・・も,もう・・耐えられないっ・・
 腕が崩れ折れ,上半身がマットに突っ伏した。
 しかし,その丸く美しいヒップは,水城に掴まれて高く掲げたまま,細長いディルドーを突き込
まれ続ける。
「ああっ!・・ああんぅっ!・・先生!・・・先生っ!・・」
 東城は,マットを掻きむしり,黒髪を振って身も蓋もなく悶え続けた。

「あ,あっ,んぅっ・・いやっ,あんっ・・」
 泣くような,切なそうな声。
 しかし,官能に包まれた身体には,悲痛な音色は微塵もない。
 東城の身体は,ただただ,甘い調べを楽器のように奏で続ける。
・・もうっ・・何も考えられない・・・
「東城さん・・・素敵よ・・」
 再び正面から抱き締めてきた水城が,唇を重ねてくる。
 水城の甘い香りが,唇いっぱいに広がってくる。
 東城は,夢中でしがみついた。
「んっ,あぁっ・・先生っ・・水城・・先生っ・・あ,ああっ・・」
 心が・・身体が求めるままに,水城の身体を求める。
 水城の体温が,直接,東城の身体に伝わってくる。
 素肌同士が触れ合う,心地よさ。
・・あ・・あ・・温かい・・・
 お互いの裸身が,互いを求めて絡み合った。

 白く長い脚を,横に大きく広げさせて,水城は腰を動かし続ける。
 その腰の動きは,あくまで微妙で細かく,どのようにすればどのように感じるのかを知り尽くし
た動きだった。
「あ,あっ・・あっ・・あんっ・・う・・んっ・・」
 東城の声が,切迫したものに変化していた。
 黒く美しい髪を振り乱し,切羽詰った感泣の声を上げる。
 東城の内側の壁は,犯してくるディルドーに絡みつき,ぎゅっと締め付けようとする。
 まるでそれが,水城自身であるかのように,東城の身体はそれを求めた。
 男であれば,とうに,何度も果てていたかもしれない。
 しかし水城は,どんな男でも絶対に敵うことのできないテクニックとモノで,東城を身も心も熔
かし,高みに向かって否応なく追い込んでいく。

 東城の表情が,微かに変わっていこうとしていた。
 声が吐息に変わり,瞑った目が何かに耐えるような表情をする。
 水城は,考えるまでもなく,東城に再び『そのとき』が来たことを感じた。
 喘ぐ胸元に揺れる,可愛い乳首を吸って,一気に追い込んでやる。
「ふふふっ・・可愛いわよ・・東城さん・・イキそうなのね。いいわ,そのままイキなさい・・・
あるがままの,あなたのすべてを出して・・」
 ここにきて,水城の腰が激しく動く。
 東城の細い顎が天を仰ぎ,背中が大きく反り返った。

 その刹那。
 不意に,東城の脳裏に何かが浮かび上がった。
・・あ・・・・なに・・・
 その閃いたものに目を向けた東城は,一瞬でそれを理解した。
・・あぁ・・・そうだったんだ・・・
 自分に欠けていたもの。
 自分が,今まで追い求めていたもの。
 そして,今までの水城の言葉が,一気に蘇える。
・・全部・・・全部・・同じこと・・・たった一つのことだったんだ・・・
 水城が教えてきたのは,ピアノなんかではなかった。
 もちろん,音楽でもない。
 今,東城は,はっきりと水城の言葉を理解したと感じた。
「み・・・みずき・・・せんせいっ・・・ああああぁぁぁぁっ!」
 震える唇で伝えきれない何かを訴え,東城は四肢をピーンと張り詰めさせた。



 全裸のままの姿で,マットに座る東城に,夕暮れの赤い日差しが煌く。
 その背は,放心しているようにも,何かを憂いているようにも見える。
 東城の背に,やはり裸身の水城が寄り添い,コーヒーをそっと手渡す。

「また,いらっしゃい・・・そうね,貴女が来たくなったときはいつでも」

 胸の内を,知り尽くしているかのような言葉。
 東城は,自分がその誘惑に抗うことが出来ないだろうことを感じていた。

 今までの自分に,欠け,求めていたものを知ってしまった以上は・・・



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