「さつきの夏」(酷暑編) 2.想い
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第1回



 カウンターを背に,羽交い締めにされたさつきは,騙された怒りに鋭く男たちを睨んでいた。
「離しなさいよっ。よくも騙してくれたわね。寄ってたかって卑怯でしょっ,こんなのっ!」
 スッと伸びた流麗な眉を上げ,凛としたよく通る声を店内に響かせる。
 しかし,その体は,見る者を誘惑せずにはいられない姿態を晒していた。
「へへへ,そんなに怒るなよ。せっかく,凄ぇ可愛い姿になってるんだからさ。最高に色っぽいよ,
さつきちゃん」
 男たちは,怒りに身を震わせるさつきの体に,舐めるような視線を這わせる。
 豊かな乳房の上まで服を捲り上げられ,白い素肌も露わな上半身。
 その胸元を隠すブラジャーは,きちんと目的を果たしているにも拘わらず,その可愛らしいデザ
インによって,弥が上にも突き出た胸の魅力を強調させてしまっている。
 お椀型,というよりは大きな果実のように盛り上がった胸。
 学生にして成熟した女のラインを見せるさつきの体は,細身でありつつも豊かであり,この上ない
色香を男たちの本能にどうしようもなく訴えていた。
 細くくびれたウエストから美しい曲線を描く悩ましい腰つきは,男たちの欲情を掻き立てるもの
以外の何ものでもない。
 見ているだけの男たちの息が自然,荒くなってくる。
「人でなしの卑怯者に,そんなこと言われたって,ちっとも嬉しくなんかないわ。そんなことどう
でもいいから,さっさと離しなさいよ!」
 さつきは,粘りつく視線に晒されながらも,臆する素振りを欠片も見せない。
 だが,店長は,そんなさつきの怒りさえも楽しむ風に笑った。
「さつきちゃんのそういう元気のいいところ,俺,好きなんだよなあ。何というか,健康的という
かさ,男に媚びてないところが最高だよ。体の方は,こんなに男好きしてるのにさ…ふふふ」
 ニヤニヤと笑いながら,露骨なイヤらしい言葉をさつきに浴びせる。
 こういう状況になっても,負けまいとする意思を,凛とした美しさの中に滲ませるさつきは,まさ
に店長の理想だった。
「さつきちゃんだって,所詮は女の子さ。ふふふ,弱点を刺激されて,エッチなことを延々とされ
続けられたら…どうなるのかなぁ? 泣いて感じまくっちゃうのかもしれないねぇ? くくくっ,
俺の手で泣かせてみたいなあ」
 積もり積もった末の歪んだ恋慕は,さつきの美しい体への肉欲,そして征服欲だった。
 だから,汚く,淫猥な言葉に強い反応を示すほど,さつきの魅力が際立つ気がする。
 これから,さつきを汚し征服していく期待感が昂ぶってくる。
「くっ…こ,このっ,変態っ! スケベっ!」 
 果たして,さつきは柳眉を逆立てた。
 店長にとっては,そんなさつきの怒り顔も,全身で拒絶している様子も,その全てが好ましかった。
「ふふふっ…さつきちゃんは,怒った顔もステキだよ。でもさ…その変態に触られて,乳首をビン
ビンに硬くして,最後にはイッちゃったさつきちゃんの体も…スケベだよねぇ?」
「くっ……」
 さつきは唇を噛み,顔を背けた。
「このオッパイ…このオッパイが,とっても気持ちよかったんだね? さつきちゃんは,あんな風
にされるのが好きなんだ。どうりで,エッチなオッパイをしてると思ったんだ」
 店長は顔を近づけ,白い乳房を間近で眺める。
 ブラジャーに収まらず,深い谷間を形づくっている2つの膨らみは,ただの白ではなく,まさに
白桃のように繊細な柔らかさを醸し出していた。
……とうとう…こいつを…この体を俺のモノにしてやれるんだ……
 店長は,嬉しそうに目を細めた。
「服の上からも分かっていたけど,実際に見ると…本当に美味しそうなオッパイしてるんだねぇ。
もう少し…味見させてもらおうかな?」
 誘われるように店長の手が伸び,遠慮もなく豊かな胸の谷間に差し入れられていく。
「やっ,やだっ,変なコトしないでよっ!」
 嫌悪感も丸出しにして,さつきは体をよじった。
 谷間を潜っていく指が,微妙なくねりを加えると,乳房の盛り上がりが柔らかく揺れる。
「ふふふ……さつきちゃん,俺のコト嫌っていただろ? その嫌っていた俺に,こんなことされる
のってどう? そら…ココが,何だか尖っているみたいだけどさぁ? 嫌っている男が相手でも,
こんなに感じちゃうんだねぇ?」
「っく…ぅ…また,そんな処を…っ……くっ…やだ……変なコトは,やめてっ…」
「変なコトって,何かなぁ? もしかして,コレのこと? それにしちゃ,さつきちゃん,声まで
色っぽくなっているみたいだけど? もしかして,もう欲しくなってきた? 嫌いな俺に,こんな
コトされて感じちゃうなんて,悔しくないのかい?」
「感じてなんかないわよっ……んっ…ぁ…はぁ…っ…こんなことっ…絶対に許さない…」
 胸の谷間から,丸い双丘に沿ってずれていった手に乳房全体を直接揉みしだかれ,さつきは緊張
と羞恥に喘いだ。
 羞恥に頬を赤らめ,眉根を寄せて指の責めから逃れようとする…その声,その貌,その姿態…
 見ている男たちの股間を,ズキズキと強く疼かせるには十分すぎる妖美さだった。
 男たちは,知らず知らず,興奮に舌なめずりをする。
「さつきちゃんの,その押し殺したエッチな声…凄ぇ,そそるよなあ。誘ってるのかい? じゃ,
俺たちも,遠慮無くちょいと味見させてもらうとするか」
 もう我慢の限界とでもいうように,男たちは協力して,ホットパンツに手をかけ,金具を外して
いく。
 さつきの顔から血の気が引いた。

「何をするのっ。気持ち悪い手で触らないでよっ,やめてっ,やめてったら!」
 凛とした声も,強い語調の非難する言葉も空しい。
 ブレーキの外れた欲望の前では,すべてが無意味だった。
「いいじゃねぇか。店長だけに触らせるなんて,不公平というものだぜ。俺らをこれだけ誘惑しと
いてそれはねぇだろ? へへへっ,みんなで触ってやるよ。触って欲しかったんだろ?」
「ばっ,馬鹿なこと言わないで! そんなことあるわけないじゃない!」
 渾身の力で振り払っても,ゆらゆらと伸びてくるたくさんの手。
 怯えた目をしながらも,それを必死に抑え強がろうとするさつきの様子は,男たちの淫欲を心地
よく煽り刺激する。
「いひひっ,いいねぇ,元気のいい女の子を脱がしちゃうのって興奮するんだよな。さあ,さつき
ちゃんの魅力的な体を,見せてもらうよぉ」
「もちろん,それだけじゃないんだけどね。さつきちゃんの気持ちいいところを,触って,揉んで,
舐め回して……そんでもって,最後は挿れて,なんだけどね」
「ふざけないで,誰がアンタたちなんかにっ! 冗談じゃないわ! そんなのイヤよっ!」
「ほらほら,もっと抵抗しないと脱がされちゃうよぉ~。おおっ,さつきちゃんのパンティが見え
てきたよ~」
「やめてっ,やだやだっ,脱がさないでっ! いやあっ,真中あぁっ!」
 ベルト,金具,ボタンが,さつきの羞恥を誘うように,わざとゆっくりした動作で外されていく。
 何とか冷静さを取り戻さなければと思い,今まで頑張って必死に堪えてきたさつきだったが,実際
に脱がされ始めると,もう無理だった。
「へへへ,真中っていうのが彼氏なんだ。彼氏しか知らない体に,いろいろ教えてやるというのも
燃えるんだよなあ~」
 羽交い締めにされた体を,右に左にと激しく揺り動かしても,ガッチリと押さえ込まれた体では,
貼りついたたくさんの手から逃れるどころか,引き剥がすことさえ難しい。
 引き降ろされていくジッパーの隙間から,ペパーミントグリーンの洒落たパンティが徐々に顔を
出していく。
 下着も露わにされた股間に,男たちの興奮しきった目が集中するのを感じ,さつきは悲鳴混じり
の声を上げた。
「へへへ…可愛いパンティだね~。この奥の大切な処が,さっき店長に触られてたんだね」
「やっ,やだっ,エッチなことしないでよっ! 触らないでっ!」
 嫌がれば嫌がるほど,男たちが悦ぶことは分かっていた。
 しかし,このような事に対して,経験も慣れもあるはずのないさつきにとっては,他にどうしよ
うもなかった。
 堤防が決壊するように,一度崩れた冷静さは容易には戻らない。
「卑怯よっ! 女相手に寄ってたかって!」
 さつきは,悔しさに怒りも露わにして叫んだ。
……1対1なら,こんな男たちなんかに負けないのにっ!……
 悔しさに歯噛みする。
 運動神経も抜群のさつきは,どんな男が相手でも身のこなしで後れを取るつもりはない。
 しかし,4人の男に押さえつけられては,単純に腕力の差でまったく為す術がなかった。
「へへへ,可愛いパンティをはいちゃって…そんなに,ココを触って欲しいのかい?」
「さあ,いよいよ,さつきちゃんの大切なアソコ,俺たちも触らせてもらうよ~」
 ジッパーの隙間に,せせら笑うように男の手が密集してくる。
「あっ…っあぁっ!」
 股間に潜り込んできた男たちの指。
 下着越しに,その指が触れた瞬間……恥ずかしい刺激に,思わずピクンと顎が上がった。
 その部分に触れてきた指の群れは,下着越しとはいえ,さつきの熱くぬかるんだ秘裂に,次々と
その先端を押しつけてくる。
「あ…ぁ…やだ…」
 何てイヤらしい指先,感触であることか…
 さつきは,身を震わせた。
……あ…ぁ…たくさんの指が…私のアソコに……や,やだ…変な気持ちがっ……
 一度,達してしまった余韻は,そう簡単には体から抜けていかない。
 火照りを残した秘部は,こんな状況であるにもかかわらず,さつきが自分で予感していた以上に
敏感なものになっていた。
……下着の上から押し当てられているだけなのに……腰が痺れちゃう……
 さつきは,ふっくらとした紅い唇を小さく開けたまま,駆け巡ってきた刺激に戸惑いを隠すこと
ができない。
 その顔を,楽しそうに店長がニヤニヤと覗き込んでくる。
「そういえば,さつきちゃんには言ってなかったな。一般のお客様にはもう閉店だが,ここからの
時間は,このお客様たちの貸し切りなんだ。ふふふ,どうしてもと懇願されてね。店長として独り
占めするのもよかったけど,こっちの方がもっと楽しめそうだからさ。どうだい? 興奮するだろ?
真中なんかじゃ,到底こんな興奮は味わえないだろ?」
「何を…言ってるの……ふざけないでっ……ん,んぅっ!」
 真中を馬鹿にするような言い方に,気を取り直して抗議しようとするも無駄だった。
 股間の指が柔らかくくねり出すのと同時,さつきの唇には店長の唇が覆い被さってきた。

「ココがさつきちゃんのアソコか~。指に当たる,この柔らかいプニプニしたものは何かなぁ? 
こいつの内側の奥の方を……ほら,こうやって指で擦って上げると,ビクビクしちゃうんだねぇ。
コレ,感じるだろ?」
「それにしても,さつきちゃん,あのカウンターでは平気そうな顔していたくせに,実はこんなに
濡れていたなんてね。店長の指に犯されて,気持ちよかったのかい? ほら,パンティがこんなに
グショグショだよ」
「あ…ぁ…うっん…っ……」
 ざわざわと,肌に寒気が奔る。
 羽交い締めにされ,自由を奪われたさつきの下半身で,男たちの指が股間を這っていた。
 そうしながら,唇を軟らかな舌に犯される恥辱。
 唇を舐められ,舌を吸われ…そのショックに,頭の中がボゥッとなってくる。
「くくくっ,どうだ,真中め……さつきちゃんの唇も…舌も…へへへっ,お前だけのものじゃない
ことを思い知るんだな……俺が,たっぷりと味わって…汚してやる…」
 取り憑かれたように,店長はさつきの甘い唇にむしゃぶりついてくる。
 後ろからは,敏感な耳や首筋に顔が埋められ,性感を刺激するようにベロベロと舐められていた。
「やだ…んっ…ぁむ…嫌だぁっ…っむむ…はあぁっ…もう,やめてっ……気持ち悪いっ」
 そう言いながら,さつきは体が甘美に痺れてくるのを止められない。
……嫌…嫌……こんなの嫌……
 それは本当だった。
 なのに,股間を弄られながら,イヤらしい舌遣いで舌を吸われ,柔肌を熱く舐められると…気持
ち悪いと思うのが当然なのに,それは言葉の上だけで,なぜか本当にはそう思うことができない。
 さつきは,男たちへの怒りよりも,自分の体の裏切りにショックを覚えていた。
……キスまで……こんなキスは……私の唇は…真中のものだったのに……
 さつきは,真中とのキスを思い出す。
 真中に抱かれるとき,さつきは,欲情の昂ぶりとともにキスをせがむ癖があった。
 それも優しくソフトなキスではなく,その時ばかりは荒々しく激しければ激しいほどよかった。
 そうして,秘部に真中のモノを迎え入れながら,耳や首筋を激しく舐められるのが好きだった。
 燃える体が,一気に絶頂に向かって上り詰めていく感じ…
 あれは,真中とだけのこと。
 そう信じていたからこそ,あの幸福感に浸ることができたのに……
……あたしの体は……どうして…こんな……
 さつきの憂いに追い打ちをかけるように,男たちの淫指が秘裂をえぐる。
「ぁ…や,や……ぁっ!」
 腰いっぱいに広がってくる,熱い電流…
 思わず甘美な悲鳴を上げそうになる。
「も…もぅ……いやぁ…っ……」
 さつきは,首を左右に振った。
 抗っても拒絶しようとしても,襲いかかってくる快感…
 絶え間なく,背筋を駆け上がってくる電気が,さつきを追い詰めていた。
 濡れた秘部を,これだけ集中的に触られては,とても我慢などできない。
……もう…だめ…っ……
 全身に力が入る。
「っぅ……うっ!」
 折れそうになる寸前…
 不意に,胸に光るネックレスが,さつきの目に入った。
 あの日,息せき切って駆けてきた真中が,首にかけてくれたネックレス…
……真中……そうよ…ここで負けては駄目……
 さつきは,両手に力をこめて何とか踏みとどまった。
 ギュッと唇を結ぶ。
 危うく忘れるところだった。
……そうよ。あたしは,大人しくて可愛い女なんかじゃないわ…あたしは,気丈さが長所だって…
旅館の女将候補にって言われている,北大路さつきなんだから……
 心の中で,真中の優しい笑顔を思い出す。
 もう一度,あの笑顔に見つめられ,包まれたい。
 あの腕に抱かれて,嫌な記憶をすべて溶かして消し去りたい。
 だから,今は……
……真中…あたし,頑張るよ……だから,今度逢えたら…思いっきりギュッとしてね……
 さつきは,気持ちを奮い立たせた。
「こんな事,許されると思っているの? すぐにあたしを帰して。そうじゃないと,みんなまとめ
て警察行きよ。あたしを犯すつもりだったのかもしれないけれど,それぐらいの覚悟はできている
んでしょうね。それ相応の報いをくれてやるわよ」
 苛烈な怒りを宿した目で,男たちを見回す。
 しかし,さつきは,これが更なる災禍を呼び込むことになることを知らなかった。
「警察かあ……確かにそれは困るなあ」
 挑戦的なさつきの言葉に答えたのは,怒るでもなく余裕さえ感じられる店長の含み笑いだった。

「あくまで強気だねぇ……さつきちゃん,最高だよ。ますます泣かせてみたくなるなあ」
 ジトッとした目つき。
 店長の目が,より一層の好色さを増したように,さつきには感じられる。
「でもね,警察に行かれると分かったら,ますますこのまま帰すわけにはいかないなあ。そうだな,
せめてみんなで楽しませてもらってから帰してあげるよ」
 それにね,と店長は続ける。
「店内では,あちこちの場所でビデオ撮影もしてるからね。これからの事を,真中に送ってやるの
もいいな。最後まで嫌がって彼女としての面目を保つもよし,自分から腰を振って,快楽に堕ちて
しまったことを真中に赦しを求めるもよし,だな」
「何…ですって……」
 さつきは,呆然となった。
 予想外だった。
 ビデオ撮影など,考えてもいなかった。
……そんなことになったら……
 犯されるシーンをビデオ撮影され,その姿を真中に見せつけられる…
 そうなったら,果たして,自分はどうなるのだろう。
 さつきの脳裏に,さっきまでの出来事が思い出される。
 下劣な男たちの指先による悪戯にさえ,あんなに感じさせられてしまった自分…
 犯されるとなれば,そんなモノだけでは済まない。
 自分の体に降りかかってくるであろう出来事を想像して,さつきは身震いした。
……やだ……そんなの冗談じゃないわ……
 裸にされたさつきの体を這い回る,4人の男たちの指…そして舌。
 乳首を吸われ,敏感な背筋を舐め上げられ,秘部の中を指で掻き回され…
 その挙げ句に根元まで埋め込まれる,4人の男たちの太い男根…
 そうなったときに,自分はどうなってしまうのだろう…
……イカなければ…それでも,イカされなければ……
 胸に呟きながら,さつきは,そんな言葉や自信をもう,毛先ほどにも信じることができない。
 もし,たった一度でも快感に負け,絶頂に達してしまったら…
 そんな映像を,真中が見てしまったら…
 それは,さつきがこの世で一番考えたくない,想像することさえ恐ろしいことだった。
……そんなことになったら……あたし…真中と終わってしまう……
 今まで考えもしなかった恐怖が,さつきの胸を締め上げる。
「どう…すればいいの……」
 さつきは,負けを認めた。

「コスプレとか…イメクラとか,知ってるかい?」
 それが,店長の最初の言葉だった。
 店長の言葉を受けて,男たちが楽しそうに後を続ける。
「簡単に言えば,ごっこプレイさ。本当は俺ら,それをさつきちゃんとやりたくて,ここに集まっ
たんだよね。ふふふ…実は俺ら,みんな,ココで仕事をしているさつきちゃんを気に入っちゃって
たわけよ」
「たくさんの客を相手にする仕事なんだろうけどさ,さつきちゃんには俺だけのための接客をして
欲しいなあと,ずっと思ってたんだぜ。だからさ……俺らの満足するような接客をしてくれれば,
ビデオを彼氏に見せることはしないって約束してもいいんだぜ」
「ビデオを…見せない…」
 さつきは,男の言葉を繰り返して呟く。
 真中に見せられるなんて,そんなこと絶対に嫌だった。
 それを見せないと言ってくれていることに,すがりつきたい気もする。
 しかし,その条件を呑むと言うことは……
「嫌なら嫌でもいいんだよ。どっちみち,俺ら,さつきちゃんとヤるつもりだしさ」
「そうだな。抵抗して,無理矢理犯されて,ビデオを彼氏に送られるか……イメクラプレイに付き
合ってくれて,彼氏に内緒でゆっくりと俺らと楽しむか……どっちでもいいんだぜ」
 今すぐ犯されるのか,時間をかけた後で犯されるのか……
 どちらも,結果は同じなのかもしれない。
 けれど…
……待っていれば,何か…逃げ出すチャンスがあるかもしれない……
 さつきは,一縷の望みをそこに見いだそうとした。
 ただ,そのためには,この男たちの悦ぶ行動をとり続ける必要がある。
 どんなイヤらしいことをされ続けても…
……でも,それしか……
 考えようによっては,嬲りものにされる時間が長い分,過酷なのかもしれない。
 けれど…
 さつきは思い出していた。
『今の俺にはまだ到底無理だし,この先,それだけの力をつけられるのかどうかだって分からない。
でも,たとえ少しでも可能性があるのなら,俺は頑張ろうと思うんだ』
 忘れようもない,後ろ姿で聞いた真中の言葉。
 あの日,力をこめて作った映画作品で良い結果が得られなかったことに,真中はひどく落ち込ん
でいた。
 いや,最初は人前では笑って,何でもない顔をしていた。
 でも,二人きりでの帰り道……真中は,後ろにいる自分に顔を見せなかった。
 どうしたのかと名前を呼んだ自分に,微かに震える声でそう答えたのを覚えている。
 いつも,馬鹿みたいにへらへら笑って…何かあると,すぐ狼狽えて…それでいて,人前で精いっ
ぱい虚勢を張って…
 でも,思ったのだ。
 真中って,本当の強さを持っている人間なんだ,と。
 上辺だけ強く見せようとしていた自分とは,全然違う。
……あたしも,真中のように強くなろうって決めたんだ……だから,こんなことぐらいで諦めちゃ
駄目。だいたい,あたしは,諦めの悪さで真中を自分のモノにしたんだから……
 そう。そうなんだ。最後まで足掻いてみよう。
「分かったわ…」
 さつきは決心した。


「じゃ,1人につき10~15分くらいの持ち時間でいいな? 待っている間は,飲み食いは自由
だからお好きなように,と。さつきちゃんには,それぞれのお楽しみのシチュエーションをリクエ
ストするからね」
 店長の顔が,嬉々とした下劣さで迫ってくる。
「まずは,店長の俺だな。俺は…店内での禁じられた恋,物陰で求め合う二人……なんていうのが
やってみたかったんだ。頼むよ,さつきちゃん…」
 周囲の男たちは,店長の希望する『物陰』を整えるため,ニヤニヤとした笑いでさつきを見なが
ら客席へと向かった。
 客席正面,天井近くの位置には,テレビモニターが設置してある。
 いつもならば,テレビ番組を流す画面……今,そこに映っているのは,店長から迫られるさつき
の姿だった。
 男たちは,ビールを片手に口元を弛め,ゆっくりと客席ソファに座った。


第2回


「ぁっ…!」
 胸元から弾け跳ぶ数個のボタン。
 カウンターの陰に追い詰められ,力任せにブラウスを左右に引き開かれたさつきは,一瞬にして
両肩をはだけさせられていた。
「はぁ…はぁ…さつきちゃん,その恰好,凄く興奮してしまうよ…今なら誰もいないし……今しか
ないんだ。いいだろう?」
 驚き身を竦め,思わず両腕で胸を隠して見上げるさつきの目に,自分の露わにされた素肌を見つ
める店長の興奮した様子が映る。
 その,肥大した劣情に駆られた目…
 はぁはぁと,熱く荒い息遣い…
……あたし…今から,こんな男に自由にされるの?……
 さつきの体に,ゾクッとした悪寒が奔る。
 頭では分かっていたことだし,一度は覚悟したことでありながら,女としての体がそれを全力で
拒否していた。
「店長…こんな,いきなり……待って…」
 さつきは,掠れた声で喘ぐ。
 しかし,自分のシチュエーションに酔う店長には,もはや否も応もあるわけもなかった。
「可愛い下着だよ…俺を誘うために,そんなお洒落してくれてたんだ……ふふふっ,可愛いさつき
ちゃん……さつきちゃんの胸,たくさん可愛がって上げるからね…」
「店長…っ……少し…待っ…あっ」
 店長の腕が,さつきの細くくびれた腰に回され,壁際で逃げ場のない体が引き寄せられる。
……くっ…こんな……スケベ店長なんかに…っ……
 引き寄せられた腰に店長の体が密着するのを,さつきは歯噛みする思いで耐えた。
 抵抗できれば,まだ気が紛れる。
 しかし,抵抗せずに,店長からされる行為の全てを受け容れなければならないことは,かえって
与えられるコトへの意識が集中してしまうような気がしていた。
「ん,んうぅっ…!」
 不意に,体に淫らな刺激が奔る。
 店長の興奮に歪んだ顔が,さつきの敏感な首筋に埋められていた。
 それとともに,ブラジャーに包まれた胸が,店長の両手にやわやわと揉み上げられる。
 時折,突き立った指先は,乳房の先端を丸く円を描いて悪戯をしてくる。
 それは,ゾワゾワとした,じっとしていられないような悪寒をさつきにもたらした。
「さつきちゃん…あぁ…この首筋,いい匂いがするね……」
「ぁっ…あ…やっ…うぅ…首は駄目…っ…」
 思わず,声が漏れる。
 抑えようとしても,店長の淫戯は,さつきの女としての弱点を集中的に刺激してくる。
「ふふふ,さつきちゃんの胸,大きくてハリがあって…ステキだよ。それに…とても敏感で,ほら
ココなんかもう…ふふふっ,そんなにココを触られるのが気持ちイイのかい?」
「ぁ…ぁぁ…んん…や…やだっ…そんな…処…」
 さつきは,懸命になって首を振り,性感を刺激される感覚を感じまいとした。
 しかし…何も感じないでいられるはずなどなかった。
 嫌いな相手であったとしても,いや,絶対に体を許したくない嫌いな相手だからこそ,1つ1つ
の行為に神経が過敏に反応してしまう,女としての肌。
 必要以上の反応を返して,こんな下衆な男を悦ばせてしまうのが情けない。
 さつきは,自分がそんな二律背反をもつ「女」であることが恨めしかった。
「いひひっ,可愛いなあ。女の子は,やっぱり首筋が性感帯なんだね…ここを舐められると,我慢
できずにどうしてもビクビクしちゃうんだよね? でも他にも…ほら…触って上げると,ブラジャー
の内側から,だんだん尖ってくるこの膨らみ……さつきちゃんは,こっちの方がもっと気持ちイイ
のかな?」
「っん……店長…っ…少し…待ってください……ん,んっ…あ……ぁっ」
「ふふふっ,こんなに気持ちよさそうなのに,どうして? 恥ずかしいの? それとも,声が我慢
できなくなってきたのかな? 綺麗な顔して,さつきちゃんもエッチな女の子なんだねぇ」
 店長は嬉しそうに,さつきの肌を,じわじわと楽しみ蹂躙してくる。
 ブラジャーの中心に浮き上がった,小さく敏感な丸い膨らみを転がしてくる執拗な指先。
 豊かな乳房を,まるで我が物だと言わんばかりに,好き勝手に揉みしだく大きな手。
 そして…
 そんなことをされているというのに,さつきの体の奥では,モゾモゾとした妙な疼きが,抱かれ
た腰に満ちてこようとしていた。
……こんなこと…許さない…絶対に許さないんだから……
 嫌なのに,男の欲望のままに体を探られ,思い通りに感じさせられていく悔しさ…
 さつきは,握った拳を震わせる。
 しかし,店長の行為は、当然それだけで終わるはずもない。
「じゃ,いよいよ……さつきちゃんの綺麗な体,見せてもらうよ」
「は…っ……」
 1つの行為は,次の要求へと繋がっていく。
 さつきの背中に回された店長の手が,ブラジャーの金具を摘んでいた。
「いいだろ? 俺たちは恋人同士なんだから。さつきちゃんだって,本当はエッチなことされるの
が好きなんだよね? さっきも,俺の指で感じてイッちゃったんだし。へへへっ,どうなんだい?
俺にどうして欲しいか,正直に言ってごらん」
「……っ…」
 思わず,頬が紅潮する。
 横っ面を張り倒してやりたい衝動が湧き起こってくるのを,さつきは必死に堪えた。
 許されるものなら,今すぐにその体を蹴り上げて,卑劣な行為に報いをくれてやりたい。
……でも…コイツらを満足させなきゃ…時間を稼がなくちゃならないんだ……
 そのためには,男たちが悦ぶような…大胆な恥ずかしいこともしなければならない。
 嫌々やっていては,駄目なのだ。
「でも,そうだな…まずは,俺たちが恋人だってこと,さつきちゃんの言葉で確認したいな。その
上で,恋人の俺にどうして欲しいのか,頼んでもらうことにしようかな」
 店長は,嬉々とした顔で要求を突きつけてくる。
……あぁ……真中……
 さつきは,大きな瞳を伏せた。
 ここまで来た以上,ただ,前に進むしかない。
 でも…
 さつきは,今から自分が声に出そうとしている言葉を胸に反芻する。
 恋人がいる身であるのに,他の男を積極的に求めようとする誘いの言葉…
……好きでもない男に…そんな痴女みたいなイヤらしいことを……うぅん,自分を痴女だと思えば
いいのかもしれないけれど……
 実のところ,さつきの心は,未だ迷いを完全には振り切れないでいた。
 自分が,今から言葉にしようとしていることは,真中に対する裏切りになるのだろうか。
 勿論,これが演技であることは言うまでもない。
 しかし…
 果たして,演技という言葉ですべて片付けてよいのだろうか。
 何か…何かが抜け落ちているような気がする。
……分からない……あたしにはこれ以上,もうどうしようもないんだ……
 さつきは,奥歯をギュッと噛み締めた。
 両手の拳に力を込める。
 そうして,精いっぱい感情を堪え,喉の奥から声を絞り出す。
「そう…です……私は…店長が好き……恋人同士だと…思ってます…」
 声が震える。
 涙が零れそうになるのを必死に堪える。
「だから……ブラを…脱がせて……店長の好きなように…してください……」
……もう,迷わない…迷ったって仕方ないんだ……だから……
 真中を心に思う「自分」を保ったままでは,到底これからのことは耐えられない。
 さつきは,最後の壁を乗り越えるため,自分を痴女だと思うことにした。
 何も考えず,快楽に没頭していく淫らな女…
 さつきは,最後の壁を乗り越えることを決めた。

「…っ…」
 ブラジャーの金具が外された瞬間,ふわっとした乳房の重みが胸に伝わってくる。
 ペパーミントグリーンの布地が,素肌からサラサラと離れていく感覚…
 解放された乳房が外気に触れる,心もとない不安な感覚…
「んん…っ…」
 素肌から,ゆっくりとブラジャーが抜き去られていく。
 ごくっと唾を呑み込み,唇を舐め回す店長の興奮した目つきが気持ち悪かった。
……あぁ…胸が…見られちゃう……
 顔から火が出るような恥ずかしさが,さつきを支配する。
 しかし,さつきは渾身の力を振り絞って,乳房を隠そうとする手を下に降ろした。
真中にだけしか見せないと決めてきた乳房が,ついにあます処なく店長の目に晒される。
「ああ…初めて見るさつきちゃんの胸……ツンとしてとても形がよくて…綺麗だよ。本当に好きな
ようにしていいんだね?」
 さつきは頷き,目を瞑った。
「分かっているよ。可愛い,さつきちゃん……」
 優しげに囁く声が近づき,さつきの唇が再び奪われる。
「んっ…ぅ……」
 あたかも真中に対してそうするように,さつきは心もち顎を上げ,店長の唇を迎えた。
 舌がスルリと滑り込んでこようとするのを,唇を軽く開いて受け容れる。
 その下で,ブラジャーを脱ぎ露わになった白い乳房が揉みしだかれ,既に十分に尖りきった乳首
が,太い指先に柔らかく摘まれるのを感じた。
「んぁ…ぁ……っ」
 指の動きに合わせて,乳首から疎ましくも甘美な快感が伝わってくる。
 さつきは,店長の肩に柔らかく腕を回した。
 店長が自分とのキスに夢中になってくるのが,肌を通して分かる。
……これでいい…これでいいのよ……今夜だけのことじゃない……
 一滴の涙が,さつきの頬を流れ落ちる。
 さつきは,男の肩を掻き抱く手に力を込めた。


 ふっくらとした果実のような乳房…
 その先端の,薄桃色に彩られた小さな膨らみ…
 演技ではない羞恥心に顔を上気させ,落ち着かないように体をもじもじとさせる仕草。
 恥ずかしさを堪えて体を任せようとするその様子は,まるで自分が,本当の恋人になったような
気分になる。
 それは,今まで店長が,どれだけ望んでも現実に見ることは叶わなかったさつきの姿だった。
「分かっているよ。可愛い,さつきちゃん…」
 唇を奪い,舌を滑り込ませると,おずおずと唇を開いて協力してくる。
 乳首を刺激する指の動きにも,切なそうな息を漏らしながら上体をくねらせ,更に愛撫をせがむ
ような素振りを見せてくる。
……あの,いつも強気なさつきちゃんが…俺にされて,こんなにエッチに感じている……
 そう思うだけで,欲情の熱がカァッと頭を灼いてくるようだった。
 演技だろうことは分かっている。
 しかしそれでも,抵抗されることなく,また嫌がられることなく,自分の行為の全てを受け容れ
ようとしてくれる女性との経験など,店長には全く初めてのことだった。
 店長の知る女性とは,抵抗を封じられても拒絶の意志をいっぱいに表してくる相手だった。
 そんな相手を,嫌がりながらも淫戯で感じさせ,ついにイカせるのは,確かに興奮ではあった。
 だが…
「はっ…あっ…んむ…っぅ…ん」
 緊張に息を弾ませる甘い唇は,乳首への愛撫に切なく吐息を漏らし,犯された唇の中では,侵入
してきた舌に自らの舌を積極的に絡み付かせてくる。
 その,何と甘美な魅力であることか…
 『真中』というカードを使ってではあったが,強引に犯すよりも,ずっと興奮するこのような楽
しみ方があったことに,店長はすっかり夢中だった。
「さつきちゃん…もっと,イヤらしい気分にさせて上げる…お互い,もっと求め合おうよ」
 店長は,唇を首から胸元に滑らせ,這わせる舌先を徐々に下に降ろしていく。
 そうしながら,片方の手で,さつきの手を自分の股間に誘導する。
「ほら,俺のがこんなになっているんだよ……分かるかい?」
「は…っ……あぁ…っ」
 ビクッとするさつきは,しかし,抵抗はしなかった。
 ただ,緊張を全身にみなぎらせていることは分かる。
……ひひひっ,さつきちゃんの手に触らせてやる…興奮した男のイヤらしいモノを,じっくり触ら
せられるのはどんな気分なのかなあ?……
 店長は,ほくそ笑む。
「ほら,ちゃんと握って…俺のも触って,気持ちよくするんだよ」
「はい……ぁ…はぁ…っ…」
 観念したように,勃起した硬い強張りに,さつきの指がおずおずと触れてくる。
 柔らかく,男根を包み込んでくる5本の指。
 それは,股間を痺れさせる,得も言われぬ快感だった。
「あぁ…凄い…さつきちゃんの指が,凄く気持ちイイよ…もっと触って…」
 店長は,恍惚の声を漏らす。
 さつきを,羞恥の極みに追い詰める興奮…
 そして,恥ずかしがるさつきを赦さず,男の欲望の象徴に触れさせる興奮…
 今まで,店内でさつきの横顔を見つめ,浮かべていた妄想が実現したことに,店長は込み上げて
くるものを感じていた。
……まだまだ,もっと恥ずかしいことをして上げるよ,さつきちゃん…でも,恥ずかしければ恥ず
かしいほど,さつきちゃんも興奮しちゃうんだよね? 分かっているんだよ……
 店長は,さつきの可憐な乳首を,欲情のこもる目で見つめた。
 綺麗な色をしたその小さな尖りは,指の淫らな嬲りに否応もなく,そして疑いようもなく快感を
感じている。
「さつきちゃんの乳首…凄く敏感そうだねぇ? ここを舐められたら,さつきちゃんはどんな風に
感じるのかなあ? へへへっ,こんなに期待して尖っちゃって……」
「ぁあっ,うぅ…うんっ…あ,ぁっ…」
 店長は,這い降ろしてきた舌先を,乳首に軽く触れさせた。
 しかし,それ以上は,舌を中心部に進めない。
 ビクッとするさつきの胸元で,硬く膨らんだ乳首の周囲をぐるぐるとなぞり続ける。
「んぅ…っ…ぁ…はあ…ぅ…うぅ…んっ……い,いや…ぁ…っ」
「こうされるのは,どう? 乳首の周辺って敏感だから,舐められると気持ちイイでしょ? あれ…
気持ちよさそうだけど,何だか辛そうだねぇ? どうしたのかな? そういう顔も色っぽいけどさ」
 硬く強張った男根を触ることを強要されながら,乳首を舐められる恥ずかしさと快感。
 しかし,焦げ付くような半端な快感しか与えられずに焦れていく体。
 絶え間なく続けられる言葉責め。
「あ…あっ…はっ…はぁ…ぁあ…んっ…」
 さつきは,真っ赤に上気させた顔を左右に振り,息も絶え絶えに喘いだ。
 その匂い立つ色気は,店長の欲情をこの上なく掻き立てる。
 店長は我慢できず,ついに小さく尖った先端に吸い付いた。
「へへへっ,美味しそうなさつきちゃんの乳首だ…たっぷり可愛がってあげるよ……ほら,さつき
ちゃんだって,こういう風に舐めて欲しかったんだよね?」
「はっ,あぁっ…ぅ…んっ…くうぅん…っや,やだ……恥ずかしい…」
 ビクンと反応し,上体を引いて逃れようとするのを許さず,唇で甘く挟みながら舌先で転がす。
 その度に,さつきは何かに耐えるように眉根を寄せ,男根を握る指に力をこめてくる。
「ふふふっ,そんなに強く握り締めて…俺のコイツが,よほど好きなんだね。そうか,それじゃあ,
俺のモノも中から出して,直接触ってもらおうかな……もっと,気持ちよくしてくれよ」
「うぅ…ぁぁ……はい…んぅっ…」
 さつきは,朦朧とした表情のまま頷き,従った。

 さつきの震える指がファスナーを降ろし…
 恐る恐るといった感じで,下着の中に手を侵入させてくる。
……さつきちゃんに,こんなことをさせているなんて……
 自分を汚すモノを,さつきに自ら求めさせているような錯覚。
 店長は,身震いするほどの悦びに包まれていた。
「はぁ…っ…」
 下着の中で直接,さつきの指が硬い強張りに触れ…
 直接,指を這わせたさつきの唇から,震えるような吐息が漏れた。
 そして,ゆっくりと…
 5本の指が,店長の男性自身を柔らかく包み込んでくる。
 そのしなやかな指の感触…
 疼く性欲が刺激され,満たされる悦び…
 素晴らしいほどの心地よさだった。
「あぁ…凄くいいよ……堪らない…さつきちゃんの指,凄く気持ちいい…」
 昂ぶりは最高潮に達する。
「さつきちゃん……一緒に,イこう」
 店長は,さつきの股間に手を伸ばした。

「ほら,もっと脚を開いて…じゃないと,さつきちゃんのアソコ,ちゃんと触れないよ」
「ぅぅ…んっ……はい…あぁ…っ…ん,んうぅっ…くぅ…っ…ぁぁ…」
 乳首を吸われながら,店長の男根に指を絡ませるさつきの股間に,店長の太い指が這う。
 パンティの上から秘裂の形を探っていた指は,散々,さつきのビクビクとした反応を引き出した
後,舌なめずりをするように内部に潜り込んできていた。
「はうぅ…っ…くっ…あぁ…んっ…んんうっ…っぁあっ…」
「ふふふ…お互い,アソコの弄りっこだね。どうだい? 俺の指は,気持ちイイかい?」
「んんぅ…あ…っ……んっ……きっ…気持ちいい…です…っ……はっ,あぁんっ…」
 パンティの内部で,5本の指が濡れた秘裂をえぐるようにくねり動く。
 クチュクチュと音を立てる秘裂は,すぐにでも店長の太い指を,その内部に迎え入れようと欲す
るまでに欲情していた。
……もう少しで…店長のもち時間が終わるから……それまでの辛抱だから……
 さつきは,快感を堪えようと歯を食い縛る。
 自分の胸の中を支配する,欲情と羞恥と快感と理性。
 それら混沌としたままの思いで,さつきは店長の男根に指を絡ませ愛撫を続ける。
 卑猥な生き物のように脈打つ,男のモノ…
 その太く膨らんだ先端の形…
 膣口を押し広げ,ぐりぐりと擦り上げ,奥まで届き貫いてくるような長さ,太さ…
……これが……あたしを犯そうとする男の……こんなに硬くなって……
 さつきは,ソレに指を這わせながら,熱く溜息を漏らした。
 そのどれもが,さつきを堪らなくさせる要素を備えていた。
 恋しい男に開発された体は,ソレを体内に入れられたときに,どれだけ自分が感じてしまうかを
想像してしまう。
 多分,激しく揺すられれば,感泣の声を上げるのを我慢することはできないだろう。
 嫌な男によっての行為でさえ,そのことは変わりそうにない。
 さつきは,それがまた別の意味で堪らなかった。

 パンティの中で,秘肉を掻き分ける店長の指が,ひときわ敏感な珠を捉える。
「っはぁあぁ…っ!……ん,ん,あぁっ!…うんんっ!」
 息が止まるかと思うほどの痺れが腰に奔り,さつきは自分の体が一気に絶頂に向かうのを感じた。
 ヌルヌルと濡れた敏感なソコが,指の腹で撫でられ,上下に擦り転がされる。
 舐められ続けた乳首が,軽く甘噛みされる。
 その鮮烈な刺激と快感は,さつきにとって,とても耐えられるものではなかった。
……こんなのっ…もう…もう駄目っ……
 さつきは大きく喘いだ。
「さつきちゃん,もうイキそうなんでしょ? いいよ,このまま指でイカせてあげるよ…イキそう
になったら,ちゃんと言うんだよ」
 店長の声に,ガクガクと何度も頷く。
 もう,これ以上は,もつわけがなかった。
「イ,イクっ……イキます…っ……も…もうダメぇ…っ…っぁあぁああっ」
 恥ずかしいと思う余裕もなく,さつきは甘美な声を上げた。
 目の前が白むほどの絶頂感…
「あ…ぁ…っ…もう……っううぅぅんっ!」
 さつきは,無意識に店長の男根を握り締める。
 そのとき,店長が何かを言った気がした。
 次の瞬間,手の中の男根がビクンビクンと大きく脈を打ち,温かな液体が勢いよく吐き出される。
 噴出したヌルヌルと粘りのある液体は,両手の指に降りかかり,体の至る処に降りそそいだ。
 腹部に…
 下着に…
 太腿に…
 制服に…
「あぁ……ん…っ」
 さつきは,自分が汚されたことを理解した。
 しかし…それは不思議と,嫌悪と汚辱感だけを呼ぶことはなく…
 静かな興奮と官能の炎を,さつきに自覚させるものだった。





続く

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