計算問題の中には、工夫をするかしないかで計算にかかる時間がガラッと変わるものがあります。
できるだけ時間を節約し、楽して計算をしたいなら、式の特徴をつかんだ工夫をすることが大事ですよ。
さて、今回の問題にはどのような工夫が有効でしょうか。
問題
次の計算を暗算でしなさい。
111÷5÷2
※制限時間は5秒です。
解答
正解は、「11.1」です。
小数点以下まで割り算しなければならない問題。5秒で暗算するのは難しいと思いましたか?
実はこの問題、次の「ポイント」で紹介する工夫を使えばすぐに答えが出てしまうのです。
ポイント
この問題のポイントは、「÷5と÷2を÷10として計算すること」です。
まず、111÷5÷2を、工夫なしで計算した場合を見てください。
<÷5してから÷2をする場合>
111÷5÷2
=22.2÷2
=11.1
最初の「111÷5」が曲者です。答えが整数にならないので、焦って計算しようとすると「割り切れない!」とパニックになってしまうかもしれません。
では、「111÷5÷2」を「111÷10」として計算した場合を見てみましょう。
<÷5÷2を÷10にする場合>
111÷10
=11.1
10で割る割り算は、割られる数の位を一つ下げるだけで終わります。
これは、割られる数の小数点を左に一桁分動かす、とも言えます。割られる数は「111=111.0」なので、小数点を左に一桁動かして、11.1が答えになります。
「÷5÷2」を「÷10」にすると、ほとんど計算らしい計算をせずに答えが出せるのです。これなら5秒以内の計算も難しくありませんね。
÷5÷2→÷10になる理由
「÷5÷2」を「÷10」に変換して計算してもよい理由が知りたい人は、次の計算過程を見てください。
これは、「÷5÷2」を「÷10」として計算する過程を丁寧に表したものです。
111÷5÷2
=111÷5/1÷2/1
=111×1/5×1/2
=111×(1×1)/(5×2)
=111×1/10
=111÷10/1
=111÷10
ポイントは、割り算を分数の掛け算として処理するところです。
分数の割り算では、割る数を逆数にして掛けました。この過程で、「÷5÷2」は×1/5×1/2→×(1×1)/(5×2)→×1/10となります。最後に「×1/10」を割り算「÷10」に直せば、「÷5÷2」が「÷10」に変換できる背景が分かるはずです。
「÷a÷b」の二つの割り算は「÷(a×b)」の一つの割り算に直せるということです。
まとめ
今回は、二つの割り算を一つの割り算にすることで計算を簡単にしました。
二つの割り算を順番にしていっても答えは出ますが、暗算しづらい割り算が登場するとき、できるだけ時短で答えを出したいときは、「÷a÷b」を「÷(a×b)」の形に直してみてください。今回のように、計算がシンプルになることがあります。
なお、この工夫は万能ではなく、式によっては割り算をまとめるとかえって計算がややこしくなるケースもあります。問題によって、臨機応変に工夫の仕方を変えることが大事ですよ。
※当メディアでご紹介する数学関連記事においては、複数の解法をもつものもございます。あくまでも一例のご紹介に留まることを、ご了承ください。
文(編集):VY
数学とIT技術学習が趣味のWebライター。実用数学技能検定2級と数学教員免許を取得後、家庭教師や学習支援スタッフとして数学指導を行ってきた。文系と理系の別、年齢にとらわれない、誰でも楽しめる数学解説作成を目指している。
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