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「 ――――― 夢の中にしか、現実は存在しない。」


背にかかるユウヒの重みを受けながら、
それを快感にすりえようと、俺は呟いてみる。




「誰だ?」
「ボードレール。」
「賛同はしかねる・・・・・ か。」
「そうでもない」


とられたぬかるみは、いつしか悪い夢となり。
グロテスクなリアリティから、俺は少しだけ脚を踏み外す。
薄い虚脱の中でなら、なだらかに息をつけるから。














『アントワーヌと別れろ。
 さもないとお前の秘密をばらす。
 お前はヴィスコンティの子供じゃない。
 お前の父親は・・     』




街が冬に色を変えた。
突然の、ブラックメイル。


ブルー・ブラッド。
それは天秤にかけるには重過ぎて。
俺の内にどれほどのアイディンティティを占めていたのか、
今となっては、もう思い出せはしない。
現実がどれほどに、重くそして脆いものか、
俺は欠片も分かっていなかった。





「もう、会えない。」


遠いどこかから響くような声。
名残の枯葉が、石畳に吹上げられる。
乾いた陽射しは、空気を切り裂き。
琥珀の瞳は、静かに伏せられた。




そしてブラック・アウト。














悪い夢のピリオドは、いつも人の肌。
それは女だったり男だったり。
人としてのありったけの弱さを、
曝け出していることにすら、もう麻痺してしまった。



馴染む前に、自ら心を引き剥がす。
重ねあう素肌が、温かさを伝えることは、
もう叶わない。






『  リカ・ヴィスコンティへの第二の通告。
  復讐の時は近づいた。
  人の憎しみは刃となって其の身を貫き、
  女の涙は大海となり其の身を溺れさせる。
  最後の通告を待て。』










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