2025/6/9
人が亡くなる場所は、都市のあり方を最も静かに、深く物語っているかもしれません。
いま、東京における“最期の場所”が揺らいでいます。火葬料金の高騰、キャパシティ不足、不透明な価格設定といった問題に、遺族の悲しみがさらに重なっていく。葬送という営みが安心して任せられない現実がいますでに始まっています。
特に都下(市部)では火葬場の数が明らかに足りず、隣接自治体まで“火葬の順番待ち”が発生する状況。そんな中で、最も弱い立場にある人たちが、「知らなかった」という理由だけで、不透明な葬儀業者に数十万円単位の“上乗せ請求”をされる。誰かの死を悲しむからこそ、値段に対して違和感を抱いたり価格の交渉をする間もなく、言い値で相場が決まってしまう。なぜこれが放置されたままなのでしょうか。
「死」と利権、そしてそこに入り込む外資。
火葬場の運営は、従来は儲けを前提としない公益事業でした。他の自治体では、公衆衛生の一環として対応している地域も多い。しかし最近では、火葬に付随する式場貸しや休憩所で高額な費用を請求することで大きな利益が生まれ、静かな利権ビジネスと化しています。こうした状況に、外資(特に中国資本)が目を向けていないわけがありません。
都市部の不動産価格が下がりにくい中で、安定的な需要が見込め、かつ規制が緩い。デジタル化によってオンライン葬儀・予約管理までカバーできるようになれば、「システムごと買われる」可能性すらある。サイバーセキュリティが脆弱な日本において、“尊厳”を守るインフラが利益と引き換えに手放されようとしている。これは火葬に限らず、保育・介護など他分野でも進行しかねない、現にそういうケースが出てきている大きな課題です。
見えにくい課題だからこそ、政治がしっかりと守らなければならない。
死者に対する扱いは、その社会の文化と人間観を映します。葬送の安心が失われているということは、社会の土台が崩れ始めているということです。
そしてもう一つ、これは単なる消費者保護の話ではありません。災害や感染症の拡大時、火葬・埋葬の“流れ”が追えないことは、公衆衛生上の重大なリスクです。コロナ禍で私たちは、「誰が」「どこに」「どのように」葬られたのかを把握できないという現実を突きつけられました。
「届け出制」の必要性が国会で議論されていますが、それ以上に、自治体が先手を打つ姿勢が問われています。
私が都政から提案したいことは以下です。
①価格の透明化
広告と実際の価格が大きく乖離するような“詐欺的葬儀”を規制。価格の「総額表示」を義務づけます。
②火葬場のキャパシティ拡充
都が主導して、特に市部で不足している火葬場を整備。地元住民のための公共インフラとして再定義。
③火葬場経営の監視強化
都内の火葬場運営における外資参入や利益構造を「見える化」し、不正や独占を防ぐガバナンスを強化。
④ “死のトレーサビリティ”の構築
亡くなった方が、いつ・どこで・どう葬られたのかを都単位で管理できる仕組みを。公衆衛生と災害対応のためにも不可欠です。
国家の品格は、最期の営みに宿ります。
無宗教とはいえ亡き人に手を合わせる社会である日本。最期の時を、営利ではなく尊厳で包めること。この当たり前を守ることが、政治の責務だと私は考えます。
火葬場はいつも静かですが、そこに集う人々の思いは決して無言ではありません。大切な誰かが亡くなってからではなく、今こそ、都政から声を上げるべき時です。最期を託されるまち・東京として、私たちは今、大きな選択を迫られています。
練馬区に新しい選択肢を。
国民民主党練馬区担当政策委員の、山口花です。
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ヤマグチ ハナ/28歳/女
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