超知能はいつ到来? 26賢人の見方を分析「人知超え」が現実に

人工知能(AI)はいつ人知と並ぶのか。幅広い領域で人間並みの知能を持つ「汎用人工知能(AGI)」の実現は――。業界を代表する有識者の見解は、事業家ほど楽観的で研究者ほど慎重論が根強い傾向がある。各氏の声をまとめた。

現在
2025

2025~26

イーロン・マスク

ロイター

イーロン・マスク

xAI創業者、テスラCEO

人類の誰よりも賢いAIの誕生時期は2025年末か26年。電力供給の課題はあるが、急速に発展する

2026~

ダリオ・アモデイ

ダリオ・アモデイ

アンソロピックCEO

ほとんどの分野でノーベル賞受賞者よりも賢い「強力なAI」は早ければ2026年に実現する

2026~

周鴻禕

ロイター

周鴻禕

中国セキュリティー大手の三六零安全科技CEO

AGIの実現は今後10〜20年の話ではなく、1〜2年のうちに実現する

2027

2027

レオポルド・アッシェンブレナー

本人のXアカウント

レオポルド・アッシェンブレナー

元オープンAI安全対策チーム社員

2027年までに、研究者やエンジニアの仕事をAIモデルがこなすようになる

2027

ダニエル・ココタイロ

ダニエル・ココタイロ

元オープンAI社員

人間はAIが仕事をし、AIがより高度なAIシステムを開発していく様子をただ傍観する

~2027

孫正義

孫正義

ソフトバンクグループ会長兼社長

「2~3年以内」よりさらに早まるだろう。個人ではなく大企業で導入が始まる。中核をなすのがソフトバンクグループのサービスとなる

2027~35

ヨシュア・ベンジオ

ヨシュア・ベンジオ

モントリオール大教授

AIの問題解決能力は7カ月ごとに倍増している。タイムラインは正確にはわかっていないが、進展が早かった場合に備えるべきだ

2027

金井良太

金井良太

アラヤCEO

AGIを達成するのは、「xAI・テスラ・X」のイーロン・マスク企業連合だ

2027~28

カール・フレイ

カール・フレイ

オックスフォード大学准教授

人間の知性の柔軟性までを持つAIの実現にはまだ数十年かかる。達成するのは、まだ無名の米国企業だろう

2028

~2028

曽根岡侑也

曽根岡侑也

ELYZA・CEO

AGIを「ほぼすべての業務で優秀な人間を上回る」と定義すれば3年以内に達成する可能性が高い。本命はオープンAIかグーグルだろう

2028~30

デミス・ハサビス

ロイター

デミス・ハサビス

グーグルディープマインド共同創業者兼CEO

実現にはおそらく3~5年はかかる。現時点の性能は、創造的・発明的な能力にはまだ遠い

2028~35

松尾豊

松尾豊

東京大学教授

AGIは早ければ3年、遅くても10年で到来する。達成主体の本命はビッグテックだが、対抗馬は中国だ

2029

~2029

レイ・カーツワイル

SimonSimard撮影

レイ・カーツワイル

発明家

誰が達成するかは予測していない

~2029

サム・アルトマン

サム・アルトマン

オープンAI・CEO

AGI達成の時期より、我々が考えるAGIをはるかに超えて進化が続くという認識を持つべきだ。どうすればいいか分かっているのは我々オープンAIだ

2030

~2030

李開復

李開復

「中国AIの父」と呼ばれる起業家

定義を「人間がやることの90%を、90%の人間より上手にこなせる」とするなら、5年以内には実現するだろう

2030~

ジェンスン・ファン

ジェンスン・ファン

エヌビディアCEO

AGIの定義次第だが、5年後にはビジネススクールの入学試験などの全ての難関試験に合格できるAIは実現できる

2030~45

ジェフリー・ヒントン

田中克佳撮影

ジェフリー・ヒントン

トロント大名誉教授

人間よりも賢くなり、我々を支配しようとするAIが20年以内に到来する確率は約50%だ。早ければ5年後かもしれない

2034~37

ヤン・ルカン

ヤン・ルカン

メタ・チーフAIサイエンティスト

3〜5年後には基盤技術の方向性が見える。すべてが順調ならその6〜7年後にたどり着くかもしれない。オープンソース陣営が開発競争に勝つ

2035

2035

甘利俊一

理化学研究所

甘利俊一

東京大学名誉教授

2035年にはAGIに近いものが実用化されているだろう。大手IT企業が主導するが、研究者個人の核心的な理論が大きな役割を果たす

ジェームズ・キャメロン

ロイター

ジェームズ・キャメロン

映画監督

AGIは巨額の研究開発費を拠出するテック大手から生まれる。実現すると、あなたは自分が投票すらしていない世界に暮らすことになる

北野宏明

北野宏明

ソニーグループ・チーフテクノロジーフェロー

AGIは能力の定義によるが3年から10年程度が必要。達成するのはAGI開発に特化した新興、または巨大テック企業

ユヴァル・ノア・ハラリ

ユヴァル・ノア・ハラリ

歴史学者

AGIの議論全体が誤解を招いている。世界に革命を起こすためにAGIは必要ない。今のAIは世界を完全に変革するのに十分なものだ

サティア・ナデラ

サティア・ナデラ

マイクロソフトCEO

AGIの過剰な期待が先走りすぎている。私にとってAIの(革新の)真の判断基準は世界が10%成長した時だ

トーマス・クリアン

トーマス・クリアン

グーグルクラウドCEO

革新的な研究は進むものの、期待過剰な面もある。「AGIは来年実現する」といった一部の主張は誤解や混乱を引き起こす

ニック・ボストロム

ニック・ボストロム

哲学者

実現時期は定義次第。今後数年で弱点を克服する可能性はかなり高い。人間とAIの協働によって達成される

アービンド・クリシュナ

アービンド・クリシュナ

IBM・CEO

時間軸の予測は難しい。我々は知識と現行のAIを組み合わせる方法をまだ見つけていないのだから

人類の向き合い方、
課題に

発明家のレイ・カーツワイルは2000年前後に、人間の知能をしのぐAGIが29年に登場し、AIが加速度的な進化を始める技術的特異点「シンギュラリティー」は45年に到来すると予測し議論を呼んだ。多くの賢人たちもAGIは20年代や30年代での到来を予見しており、「超知能」実現が目前に迫る。

現在のところ、AGIに明確な定義はない。その実現主体も様々な予測が語られる。しかし、超知能研究の先頭に立つ賢人の多くが、人知を超えるAIはもはや夢物語ではないと考えているのは確かだ。
人類は「超知能」とどう向き合うべきか――。それはもはや未来の論題ではなく、明日に差し迫った私たちの課題となる。(敬称略)

日本経済新聞の取材のほか、各氏の発言・発信内容を集計した