分析!投票先 SNSで決める!? 思わぬ注意点も 都議選 参院選は
XやYouTubeを使って広がるSNS選挙。
NHKは、候補者のSNSアカウントを分析して発信力を調べたほか、有権者へのSNS選挙の浸透度をアンケート調査を通して探りました。見えてきたのは、それぞれの“差”でした。
記事の後半には、SNS選挙の注意点や知っておきたい記事のリンクがあります。
サタデーウオッチ9
若者はSNS選挙をどう受け止める?
去年行われた東京都知事選挙や兵庫県知事選挙でSNSを駆使した候補者が躍進したことでSNS選挙に注目が集まっています。
東京・高田馬場で聞くと、SNSが投票行動に影響しているという声や、SNSの特性に注意しているという声が聞かれました。
女子学生
「テレビだと自分の興味のない情報のニュースも流れてきますが、YouTubeだと自分の好きな政治家の情報を得られるのでよく見ています。SNSで調べた情報は、自分の投票行動につながっていると思います」
男子学生
「新聞やテレビに比べたら、SNSは自分がいいねを押している部分がフィードバックするというのもあります。ただ、一概に若い人だけが、SNSを見て短絡的に投票行動をしているとは自分は思っていないです」
若い世代は新聞よりもSNSを参考に
SNS選挙の影響力を調べるため、NHKはネット情報の分析を行っている調査会社と共同でインターネット上のアンケート調査を行いました。
都内の有権者およそ4500人を対象に、6月14日から15日にかけて政治や社会のできごとを知るためのメディアを尋ねました。
「新聞を参考にしている」と答えた人の割合は20代で35%、30代では38%だった一方、「Xを参考にしている」と答えた人は20代では45%30代では39%とそれぞれ新聞を上回る結果となりました。
また、「YouTubeを参考にしている」と答えた人は20代で36%と新聞を上回り、30代でも34%に上りました。
一方、40代以降では「新聞を参考にしている」と答えた人が、XやYouTubeと答えた人の割合をそれぞれ上回っていて、年代によって参考にするメディアに大きな差が出ている実態が明らかになりました。
JX通信社 米重克洋 代表
「一定の有権者がネットを情報源として投票行動を決めているという実態は明確にあります。SNS選挙が広がっていくと、より政治家や地域の政治課題の情報に有権者が気軽に触れやすくなるというメリットもある一方で、自分の思考や意見に近い情報ばかりが出てきてしまう傾向があるということに注意しなければいけません」
多くの候補者がSNS開設 活用は?
SNS選挙への関心の高まりを背景に、6月22日に投票が行われる都議会議員選挙では候補者によるSNS発信が活発に行われました。
NHKが都議選の全立候補者295人について、選挙期間中にSNSアカウントを開設しているか調べたところ、Xでは9割以上の候補者のアカウントが確認されたほか、Facebook、YouTube、インスタグラムでもそれぞれおよそ7割の候補者のアカウントが確認されました。
発信内容をみてみると、日々の街頭演説の様子の動画、政党幹部が応援に駆けつける街頭演説の告知、ライブ配信で有権者との質疑応答など、さまざまな形での発信が行われていました。
一方で、SNSをうまく活用できている候補者と、そうでない候補者の格差も見えてきました。
候補者が開設したXアカウントのうちフォロワーが10万を超えていたのは2人でした。
1万を超えていたのは合わせて17人と全体の6%ほどで、全体の4分の1にあたる79人はフォロワーが1000未満でした(今月20日時点)。
また、YouTubeチャンネルを開設している人のうち、チャンネル登録者数が1万人を超えるのが6人だった一方で、およそ4割が100人未満となっていて、アカウントを開設したものの積極的に活用できている人は一部に限られていました。
コンサルタントの存在 SNS戦略は
公職選挙法では、一部の運動員を除き報酬を得て選挙運動そのものに関わることはできませんが、政治活動としてのSNS戦略を請け負っているコンサルタントの存在があります。
その1人、松田馨さんは、政治家や立候補を目指す人たちからの依頼を受け、その人にふさわしい動画の作成や、SNSの活用をアドバイスしています。
松田さんは、それぞれのSNSの特性を理解したうえで使い分ける重要性を指摘しています。
例えば、不特定多数が見るXはトレンドを意識してその日に起きていることと関連付けて投稿する。
実名での利用が多いFacebookはオンライン講演会のイメージでふだんの活動をきちんと伝える。
インスタグラムはフォロワーがある程度のファンだということを意識して政策よりも趣味などのプライベートな内容が受け入れられやすいといった具合です。
松田さんは、SNS選挙の存在感は増していて、今後も広がっていくと話しています。
選挙プランナー 松田馨さん
「スマートフォンでいかに見てもらうかという重要性が非常に大きくなっています。参議院選挙でみると6年前はほとんどSNSを活用していなかった人が、今回は活用しなければいけないと考えています。しかし、どうしていいかわからないし、スタッフもいないという人も散見されます。TikTok、YouTubeショート、インスタグラムのリールといった登録者の多いSNSでは同じようなフォーマットで動画が出せるようになっているので、縦型のショート動画の活用もますます広がっていくと思います」
そのうえで、選挙でのSNS活用が広がる中、公職選挙法の見直しも必要ではないかと指摘しています。
「選挙運動は無報酬が原則ですが、選挙管理委員会に届け出をすれば、ウグイス嬢や手話通訳などには報酬を支払うことができます。SNS選挙が広がる中、この制限内でSNSの選挙運動も認められてもいいのではないかと思います」
私たちはどうしたら?フィルターバブルとは
SNSには、利用者の情報に応じて興味を持ちそうな内容を次々と表示させるアルゴリズムの仕組みもあります。
これは、自分の興味・関心に合ったおすすめの動画や投稿が次々と表示される一方で、まるで泡の中にいるように同じような情報ばかりに囲まれる「フィルターバブル」と呼ばれる現象を引き起こします。
本当は自分にとって最適な候補者がいるにもかかわらず、その情報にたどり着けていない可能性があるのです。
SNSの問題に詳しい慶応大学の山本龍彦教授は、選挙ではみずからの政治的な立場と近い投稿が積極的にお勧めされてくるので、そこに閉じ込められてしまう可能性があるのだと指摘します。
こうした状況があることを知ったうえで、さまざまな媒体や、反対の意見も含めた幅広い情報に触れる重要性を強調しています。
慶応大学 山本龍彦教授
「情報は、AIやアルゴリズムによって選別されて送られてくることがあることをまず理解する必要がある。情報は食べ物と同じで、バランスのよい摂取が必要で、摂取する情報の安全性や信頼性を確認しなければならない。選挙期間はなおさら情報的な“健康”が重要になる」。
(機動展開プロジェクト・斉藤直哉、金澤志江)
SNS選挙の注意点や知っておきたい記事へのリンク
NHKは6月22日に投開票が行われる都議会議員選挙の参考となるニュースや、候補者に直接政策を尋ねたアンケート、政策テーマを選んで候補者との一致度を知ることができるボートマッチを提供しています。
選挙情報と向き合う5つのポイント
都議選 ボートマッチ
都議選 候補者アンケート
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