自己肯定感、低かったら「だめ」ですか 精神科医が勧める楽な生き方
「自己肯定感」という言葉を、よく耳にするようになりました。「自己肯定感が低い」と悩んでいる人は、傷つきやすかったり、他人に攻撃的になったり………。その生きづらさの根幹には何があるのでしょう。自己肯定感の研究を続けてきた小児精神科医で青山学院大学教授の古荘純一さんに聞きました。 【画像】「愛される価値ない」 京大合格したけど、自分を肯定できない女性 ――「自己肯定感」とは、そもそも何でしょうか。 自分を評価する際に、ありのままを「肯定的に」認める感情のことです。日本人は自分自身を肯定的にみる人が少ない傾向にあることは、研究が示しています。謙遜の文化や、本音を表に出さない国民性などが関係しているという指摘があります。 ――「自己肯定感が低く、生きづらい」と悩む人が少なくありません。 根本にあるのは、対人関係を築く困難さだと思います。その原因として一番多いのが、愛着対象者である親との関係がうまくいっていない「愛着障害」のパターンです。 親との関係が悪いと、安心できるはずの家で緊張状態が続き、感情のコントロールが難しくなる。愛着の形成がうまくいかないと、他人と円滑な関係を築けず、自分を客観的に見ることもできません。自己肯定感も低くなります。 ――親との関係がうまくいかないと、他人との関係性にも影響するのですね。 愛着がうまく形成されないと、他の人からのささいな言葉でも、すぐ傷ついてしまう。いじめなどの逆境を乗り越えられない。突然キレたり、他の人にとめどなく愛情を求めてしまったりもしがちです。幼いころに、信頼が置ける人との関係を構築することが必要です。場合によっては親でなくてもいいです。 ――生きづらいほどの自己肯定感の低さと、どう付き合えばいいのでしょう。 パートナーや友達など信頼できる人をつくることが大切です。ありのままの自分を認めてもらう。心理カウンセラーや公的な機関に相談することも有効です。 ――そもそも、自己肯定感が低いとだめなのでしょうか。 決してだめではありません。そもそも「低いことはよくない」という考え方自体が、否定的ですよね。「高めなきゃ」という考えにとらわれてしまうと、今度はそれ自体がストレスになります。 ただ、愛着障害があって生きづらい人は、まずは「自分は自己肯定感が低い」ことを自身で認識しましょう。その状態をゼロとしたら、そこから少しでもできたことがあれば、自分をほめてあげる。小さな成功体験を積み重ねていけば、少しずつ生きるのがラクになっていくのではないでしょうか。(聞き手・益田暢子、編集委員・岡崎明子) ◇ ふるしょう・じゅんいち 小児精神科医。医学博士。発達障害、虐待、自己肯定感などの研究を続けながら、講演などで啓発活動も行う。著書に「自己肯定感で子どもが伸びる 12歳までの心と脳の育て方」「日本の子どもの自尊感情はなぜ低いのか」など。
朝日新聞社