トランプ大統領は21日午後8時ごろ、日本時間の午前9時ごろ、SNSへの投稿でイランの核施設3か所に攻撃を行ったと発表しました。
トランプ大統領は投稿で「フォルドゥ、ナタンズ、イスファハンの3つの核施設への攻撃を成功のうちに完了した。すべての航空機はイランの領空外にいる」としています。
また、続けて別の投稿で「イランはこの戦争を終わらせることに合意しなくてはならない」としています。
トランプ大統領は日本時間午前11時から、国民に向けて演説するとしています。
ニューヨーク・タイムズは21日、国防総省の当局者の話として、アメリカ軍の複数のB2ステルス戦略爆撃機がフォルドゥの攻撃に使われたと伝えています。
B2ステルス戦略爆撃機は、イランの核関連施設を破壊するために使用を検討していると伝えられていた特殊な爆弾「バンカーバスター」を搭載することができます。
アメリカのFOXニュースは、フォルドゥの核施設への攻撃にバンカーバスターが6発使われたと伝えています。
また、ナタンズとイスファハンの核施設にはアメリカの潜水艦から「トマホーク」30発で攻撃したと伝えています。
一方、イランのタスニム通信は、イラン中部コム州の危機管理部門の報道官の話として「敵の空爆はフォルドゥの核施設周辺を標的にした」と伝えています。
また、イランの国営メディアは中部イスファハン州の幹部の話として、ナタンズの核施設付近で攻撃が確認されたと伝えました。
イスラエルとイランの攻撃の応酬が続く中、トランプ大統領はカナダでのG7サミット=主要7か国首脳会議を切り上げて、首都ワシントンに戻ったあと、連日、ホワイトハウスでイランへの対応を検討していました。
イラン側はアメリカが軍事介入した場合、中東に展開するアメリカ軍などに報復する可能性も警告していただけに、今回の攻撃に強く反発するのは確実な情勢です。
アメリカのトランプ大統領は日本時間の22日午前11時すぎからホワイトハウスで演説し、「アメリカ軍はイランの3つの主要な核施設を標的とした大規模な精密攻撃を行った。われわれの目的は、イランの核濃縮能力の破壊と、世界最大のテロ支援国家がもたらす核の脅威を阻止することだった。こんや、私は世界に対して、この攻撃が軍事的に見事な成功を収めたことを報告できる」と述べました。
“攻撃にはバンカーバスターが6発使われた” 米報道
FOXニュースは、フォルドゥの核施設への攻撃には特殊な爆弾、バンカーバスターが6発使われたと伝えています。
また、ナタンズとイスファハンの核施設にはアメリカの潜水艦から「トマホーク」30発で攻撃したと伝えています。
バンカーバスターとはどんな爆弾なのか
“米軍の追加行動は予定していない” CNN
CNNは情報筋の話として、「トランプ大統領は3か所の核施設への攻撃によって、イランが交渉に戻ることを期待している。現時点でアメリカ軍はイラン領内で追加の行動は予定していない」と伝えています。
“敵の空爆は核施設周辺を標的にした” イラン報道
イランのタスニム通信は、イラン中部コム州の報道官の話として「敵の空爆はフォルドゥの核施設周辺を標的にした」と伝えています。
また、ロイター通信は地元メディアを引用するかたちでイランの当局者がイスファハンとナタンズの核施設周辺で攻撃が目撃されたと伝えています。
”アメリカと全面的に連携“ イスラエルメディア
アメリカのトランプ大統領がイランの核施設を攻撃したと発表したことについて、イスラエルメディアはイスラエル政府の高官が「われわれはアメリカと全面的に連携していた」と述べたと報じています。
トランプ大統領 SNSの投稿文
トランプ大統領はSNSに「われわれはイランのフォルドゥ、ナタンズ、イスファハンを含む3つの核施設への攻撃を大きな成功のうちに完了した。すべての航空機は現在、イランの空域を出ている。主要な核施設のフォルドゥには大きな爆弾が投下された。すべての航空機は安全に戻っている途中だ。偉大なアメリカの戦士たちよ、おめでとう。世界中にこのようなことをできる軍隊はほかにない。今こそ平和の時だ」と投稿しました。
続いて、
「イランで大成功したわれわれの軍事作戦に関してホワイトハウスで午後10時に国民に向けて演説する。これはアメリカ、イスラエル、そして世界にとって歴史的な瞬間だ。イランは今こそ戦争の終結に合意しなければならない」と投稿しました。
攻撃にB2ステルス戦略爆撃機使用か 米有力紙
アメリカの有力紙ニューヨーク・タイムズは、国防総省の高官の話として、核施設の攻撃には特殊な爆弾「バンカーバスター」を搭載できる複数のB2ステルス戦略爆撃機が使われたと伝えています。
日本人の安否確認進める 外務省幹部
外務省幹部は、NHKの取材に対し「事実関係を確認中だ。現地にいる日本人の安否の確認を進めている。現地には、およそ200人の日本人がいるが、状況に応じて、さらなる退避の支援を行うなど日本人の保護をしっかりとやっていく」と述べました。
“このタイミングでの攻撃には驚いた” 外務省関係者
外務省関係者は、NHKの取材に対し「このタイミングでの攻撃には驚いた。まだ正確な状況が分かっていないので、大使館などを通じて情報を収集している」と述べました。
トランプ大統領 ホワイトハウスで演説へ
トランプ大統領はSNSに投稿し、イランの核施設を攻撃したことについて21日午後10時、日本時間の22日午前11時から国民向けにホワイトハウスから演説を行うとしています。
米軍が攻撃した3か所の核施設とは
【フォルドゥ】
イラン中部コム近郊のフォルドゥにある核施設は、中部ナタンズの施設に続いて建設された2つめのウランの濃縮施設です。
イランの核開発にとって中核となる重要な施設です。
2015年に成立した核合意ではウランの濃縮活動は15年間、ナタンズの核施設に限定され、フォルドゥでは濃縮ウランの製造を停止し、研究関連用に転換することが決まりました。
しかし、アメリカの第1次トランプ政権が一方的に核合意から離脱したことに対抗する形で、イランは2019年、この施設でウランの濃縮を再開します。
2023年1月には核兵器に転用可能とされる濃縮度90%以上に近い83.7%のウランが、IAEA=国際原子力機関が採取したサンプルから見つかり、国際社会に衝撃を与えました。
これについてイランは「意図しない濃縮が起きた可能性がある」と主張しています。
この施設はイスラエルからの空爆に備えて山岳地帯の地下80メートルほどのところにあるとされています。
アメリカのニュースサイト「アクシオス」はイスラエルがトランプ政権にイランへの攻撃に加わるよう要請しているとした上で、その背景には地下の軍事施設などを攻撃するために使用される特殊な爆弾「バンカーバスター」など施設の破壊に必要な兵器を十分に保有していないことがあると報じています。
【ナタンズ】
イラン中部イスファハン州にあるナタンズの核施設は、地上と地下に建設されたイラン最大のウラン濃縮施設です。
2002年8月、イランの反体制派によってその存在が暴露され、イランが秘密裏に行っていた核開発が発覚するきっかけとなりました。
2015年の核合意によってウラン濃縮はこのナタンズの施設に限定され、濃縮度の上限も3.67%に制限されましたが、2018年にアメリカのトランプ前政権が合意から一方的に離脱するとイラン側は反発し、2021年からは濃縮度60%のウランを製造・蓄積しています。
一方、高濃縮ウランの軍事転用を警戒するイスラエルは長年、この施設を最大の標的の1つとしてきたとされ、2008年ごろには、何者かによるコンピューターウイルスを使ったサイバー攻撃で、遠心分離機の一部が使用不能になった際、アメリカやイスラエルの攻撃によるものだと伝えられました。
また、2020年には遠心分離機を開発する建物で爆発や火災が起きたほか、2021年にも電気系統のトラブルがあり、イラン政府はいずれもイスラエルが関与した破壊工作だと主張しています。
こうした中、ナタンズでは地上にある研究用の濃縮施設から地下にあるより広い濃縮施設に高性能の遠心分離機が移設され、より安全な場所に移す狙いがあるとみられていました。
【イスファハン】
イラン中部のイスファハンの核施設には、ウラン濃縮に使う「6フッ化ウラン」を生産するための施設や、核燃料を製造・加工する施設が集まっています。
イラン政府は2009年にここに国内の重水炉で使う核燃料棒を製造する施設が完成したと発表しています。
さらに、イラン原子力庁は去年2月、この施設ではこれまでに実験用の原子炉が3基、稼働しているほか、4基目の実験炉を建設中であることを明らかにしています。
アメリカとイラン 対立の歴史
アメリカとイランの対立は1979年にイランで親米の王政がイスラム革命によって倒され、反米の現体制が樹立されたことから始まります。
同じ年にはイランの学生グループがアメリカ大使館を占拠し、400日以上にわたってアメリカの外交官らが人質となり、両国が国交を断絶するきっかけとなりました。
その後、1980年から始まったイラン・イラク戦争では、アメリカはイラクを軍事支援してイランと戦うなど、両国は鋭く対立してきました。
2009年にアメリカでオバマ政権が発足すると、アメリカは、イランと対話する方針に転換しました。
2013年にイランで穏健派の大統領が就任すると、核開発問題の交渉が進み、2015年にアメリカなどはイランとの間で核合意を結びました。
しかし、2017年に就任したトランプ大統領は前政権の方針を転換してイランへの強硬路線をとり、2018年には国際社会の反対を押し切ってイラン核合意から一方的に離脱した上、経済制裁を強めました。
これに対してイランは対抗措置として、平和利用を大幅に超える形での核開発を進めました。
2020年には、アメリカ軍がイラン国内で英雄視されていた革命防衛隊のソレイマニ司令官をイラクで殺害しました。
これに対しイランは報復として、イラクにあるアメリカの軍事拠点を弾道ミサイルで攻撃し、一時、全面的な軍事衝突の懸念が高まりました。
イランの核開発問題が国際社会の懸念として残る中、2期目の就任となったトランプ大統領は、核開発をめぐる協議をイランに呼びかけ、ことし4月には両国の直接協議が実現しました。
しかし、ウラン濃縮活動の制限をめぐり両国の隔たりは埋まらず、協議は難航しているという見方が出ていました。
米軍の中東での軍事行動
【アフガニスタン】
2001年に同時多発テロ事件が起きるとアメリカのブッシュ大統領は、「テロとの戦い」を掲げ、事件を主導したとされるオサマ・ビンラディン容疑者が率いるアルカイダと、それをかくまうアフガニスタンのタリバン政権に対して武力行使に踏み切り、アフガニスタン戦争が始まりました。アメリカ軍は、激しい空爆と地上部隊の投入で、1か月ほどで首都カブールを制圧し、タリバン政権の部隊は敗走しました。アフガニスタンでの軍事作戦によりアルカイダは弱体化し、テロとの戦いでは一定の成果を収めた一方で、アメリカは2021年、巨額の戦費を費やすのはもはや国益に見合わないと軍の撤退を決断しました。
【イラク】
また、イラクのフセイン政権が大量破壊兵器を隠し持っている疑いがあるとして、2003年、イラクへの攻撃を開始しました。アメリカ軍は、ペルシャ湾に展開するミサイル巡洋艦などから巡航ミサイル「トマホーク」を発射して先制攻撃を行い、制空権を支配した後に、大規模な地上部隊を投入し、およそ1か月でイラクのほぼ全土を制圧しました。大規模な戦闘が終了したあとは、アメリカ軍を標的にした報復テロが頻発したほか国内の宗教対立が深刻化し、イラクの統治は困難を極めました。さらに、国際社会の反対を押し切って攻撃を開始したにも関わらず大量破壊兵器は発見されず、アメリカは国際的な信用を大きく失いました。
【シリア】
2011年から中東に広がった「アラブの春」と呼ばれる民主化運動の末、シリアで本格的な内戦が起きる中、アメリカを中心とした有志連合が過激派組織IS=イスラミックステートの壊滅を目指し、2014年にシリアで空爆による軍事行動に踏み切りました。
【イエメン】
2024年にはイエメンの反政府勢力フーシ派が紅海を航行する船舶に対し弾道ミサイルなどで攻撃を繰り返していることへの直接の対応だとして、フーシ派の複数の拠点に攻撃を行いました。