『note黒炎法律帖41〜50話──顧問弁護士(たぶん)と見る法と皮肉の境界線』
黒炎法律帖 第41話
「開示されました♡」──“特定されたその後”に待っていた現実(顧問弁護士 監修〈たぶん〉)
ある日、プロバイダから一通の通知書が届く──
「あなたのアカウントに関し、発信者情報開示請求が行われました」
「これに異議がある場合、意見照会書を期日までにご返送ください」
…何のこと? 自分、そんな大したこと書いた覚えないけど?
──そう思っていた投稿、それが“決定的な証拠”になっていたとは。
■ 「開示された」=「詰んだ」ではない、が…
SNSで誰かを晒し、名指しし、人格攻撃を加えた結果──
それが名誉毀損・侮辱・信用毀損として訴えられると、
まず行われるのが「発信者情報開示請求」。
これは“あなたの正体”を法的に突き止める手続き。
※回避不能。プロバイダが協力義務を負う。
顧問のコメント:
「通知が来た時点で、逃げ道は減ります。素早く判断を」
■ 意見照会書の「YES or NO」は運命の分かれ道
意見照会書にはこう書いてある:
「この開示に同意しますか?」→ YES なら開示
「同意しませんか?」→ NO を選べば裁判突入
→ つまり、同意すれば“身バレ確定”
→ 同意しなくても、裁判で認められれば結局開示される
顧問の警告:
「“同意しない”=逃げられる、じゃないんです」
■ 裁判所はこう見る:「公益性があるか?」「表現として妥当か?」
“発信者の権利”ももちろん考慮される。
だが、それ以上に問われるのは:
書かれた内容が違法かどうか
社会的評価を下げるものであるか
誰がどう見ても名誉毀損・侮辱になる投稿であったか
→ この3点が揃うと、「開示せよ」と判断される。
■ そして、いよいよ「あなたの名前」が通知される
原告に対し、
IPアドレス
ログイン情報
契約者名
住所
が送付されると──
もう、“匿名”という壁は完全に崩れ落ちる。
顧問の総括:
「“開示されました♡”は、
これまでの“軽い気持ち”が重罪に変わる瞬間です」
◇次回予告◇
黒炎法律帖 第42話
「刑事です♡民事です♡」──ダブルで来た時どうする?(顧問弁護士 監修〈たぶん〉)
書類は2通届いた──一つは「刑事告訴状の写し」、もう一つは「内容証明郵便」。
さて、あなたはどちらから対応しますか?
次回、法的手続きが“現実に届く”日常をお送りします。
炎上後の世界──まだ、始まったばかり。
黒炎法律帖 第42話
「刑事です♡民事です♡」──ダブルで来た時どうする?(顧問弁護士 監修〈たぶん〉)
ポストに2通の封筒──
ひとつは警察署から、もうひとつは法律事務所から。
「被害届により、参考人としての出頭をお願いします」
「本件について損害賠償請求を行う旨、通告いたします」
──どっちから開ける? どっちを優先する?
いいえ、どっちも“現実”です。
■ 刑事と民事は別物、でも同時進行することがある
刑事:国(警察・検察)VS あなた(=犯罪行為が対象)
民事:相手個人 or 法人 VS あなた(=損害賠償が対象)
→ 両方同時に動くと、まるで“挟み撃ち”。
→ 書類も尋問も「同じ件」で二重に来ることがある。
顧問のコメント:
「警察が“聴取します”と言ってきた時点で、甘く見ない方がいい」
■ 刑事は“前科”に、民事は“お金”に直結する
刑事で有罪:前科がつく/罰金刑・略式命令/最悪、懲役
民事で敗訴:損害賠償・慰謝料・謝罪文・削除命令など
→ 両方同時に進むと精神的にも物理的にも“消耗戦”。
■ 刑事が“不起訴”でも、民事は止まらない
よくある誤解:
「警察が不起訴にしたからもう大丈夫」
──大丈夫じゃない。
民事は“別ルート”で進行します。
しかも、「不起訴になった理由」は公開されません。
相手が本気なら、民事で数十万〜百万円単位の請求が普通に来る。
■ “同時進行”で最も重要なのは「情報整理」
いつ・どこで・何を投稿したのか
それに対する反応は?
どこまでが自分の発信か?
→ 弁護士に依頼する場合も、まずはここを整理する必要あり。
→ 警察・弁護士・裁判所、それぞれ別の人が読むため“論点ズレ”が致命的になる。
顧問の助言:
「“覚えてません”は通じない。“記録してません”は敗北宣言です」
■ 結論:刑事と民事、両方来る時点で「かなり重い」
どちらか一方だけなら「たまたま過激だった」で済むかもしれない。
だが両方来る時点で──相手側は本気、法も動いてる。
それでもあなたは、
まだ“ノリ”のつもりで言い返しますか?
黒炎法律帖 第43話
「弁護士です♡」──“無料相談”と“正式依頼”の違い、知ってますか?(顧問弁護士 監修〈たぶん〉)
「とりあえず弁護士に聞いてみよう」
「知り合いに法律詳しい人いるんで」
「無料相談で何とかなるでしょ?」
──その軽さ、火事場に水鉄砲です。
■ “相談”と“依頼”は違う
無料相談で得られるのは「情報と方針」だけ。
手続きの代理
相手方との交渉
書類の作成・提出
→ これは“依頼契約”を結ばないと対応不可。
顧問の苦言:
「無料相談だけで勝てるなら、世の中に弁護士はいません」
■ そもそも“その案件”、無料相談の対象ですか?
弁護士会や自治体の無料法律相談は:
家事事件(離婚、相続など)
労働問題
借金・消費者被害
→ SNS誹謗中傷や名誉毀損は“対象外”のことも多い。
→ 企業顧問弁護士や専門事務所でなければ、そもそも扱っていない。
■ 無料相談では“証拠”を出せる準備をしておく
「何が起きたか、ぜんぶ話します!」──ダメです。
必要なのは:
時系列の整理
投稿内容(スクショなど)
相手の行為の概要
→ 弁護士が判断できるように、“素材”として提示することが前提。
■ “正式依頼”すべきときは、迷わずする
内容証明が来た
発信者情報が開示された
警察から連絡が来た
→ ここで無料相談にしがみつくのは“最悪のコスパ”
顧問の忠告:
「命綱は買いましょう。落ちてからでは遅い」
■ 結論:「無料で済ます」姿勢は法的に非常に危険
“わからないから相談したい”
──わかります。でも、相談で解決するほど甘くはない。
“相談”はスタート地点。
“依頼”こそが、実際に法があなたを守ってくれる唯一の契約です。
黒炎法律帖 第44話
「和解しました♡」──“穏便な解決”が地獄の入口になるとき(顧問弁護士 監修〈たぶん〉)
「まあまあ、和解で済ませましょう」
「一筆書いてくれたら、今回は…ね?」
「とにかく謝れば済むと思ってたんです」
──その“和解”、あなたにとって本当に有利ですか?
■ 和解は“合意”であり、法的拘束力を持つ
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