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　性売買問題を考えるシンポジウムが15日、都内で開かれた。性搾取などの被害に遭っている若年女性たちを支える一般社団法人Colaboが主催。約70人が参加し、どうして女性が性売買に誘導されるのか、そこに自己選択はあるのか、女性たちをどのように支援すればいいのかなどについて語り合った。

　韓国最大級の性売買集結地である釜山の玩月洞（ワノルドン）で活動する女性人権支援センター「サルリム」の初代所長を務めたチョン・キョンスクさんが、講師として招かれた。

　玩月洞は、日本の植民地時代につくられた日本式遊郭街だった歴史がある。

　チョンさんによると、韓国では2000年代の初めに玩月洞などにある性売買店で火事が相次ぎ、多数の女性が死亡。店には鉄格子などがあったほか、女性たちが残した日記から、借金を負わされ、性売買を強要されていることが明らかになった。

　それを受けて韓国社会では、性売買女性たちの人権を保護する法律が必要だ、との世論が盛り上がり、04年に「性売買防止法」が制定されたという。

　チョンさんはこうした経緯を説明した上で、性売買から脱した後にどのように生活していけばいいのか戸惑う女性たちの相談を受け、語り合い、新たな生活へ踏み出す手伝いをしてきたことや、性売買業者からの嫌がらせや妨害などと闘ってきたことを報告した。

　後半は、チョンさんらが支援した性売買経験当事者の4人が登壇し、体験を語った。

　当初は支援者に対して不信感をもっていたが、自分たちの話を評価せずにただ聞き、一緒に食事をしたり語り合ったりしてくれたことで、認識が徐々に変わっていったという。「店で働いているときは、自分が被害者だとは認識していなかった。しかし、性売買から抜け出して初めて、自分がとんでもない搾取をされていたことがわかった」と話すサバイバーもいた。

　日本では、22年に女性支援法ができ、売春防止法にあった売春女性への保護更生条項などが廃止された。登壇した角田由紀子弁護士は「日本ではその後も、売春防止法の改正や、性売買の関係で風営法をどうするかも全く議論されていない」と問題提起。その上で、「性産業は日本のどこにでもあるが、真剣に関心が寄せられていない不思議な存在だ」と苦言を呈した。