16-9 最後に残る課題
各魔法少女のステータスをまとめておきます。
●皐月 (サツキ)
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“●レベル:70”
“ステータス詳細
●力:27 守:34 速:34
●魔:92/200
●運:7”
“スキル詳細
●レベル1スキル『個人ステータス表示』
●魔法使い固有スキル『魔・良成長』
●魔法使い固有スキル『三節呪文』
●魔法使い固有スキル『魔・回復速度上昇』
●魔法使い固有スキル『四節呪文』
●実績達成ボーナススキル『火魔法趣向』
●実績達成ボーナススキル『ファイターズ・ハイ』
●実績達成ボーナススキル『不運なる宿命』(非表示)(無効化)”
“職業詳細
●魔法使い(Aランク)”
“装備アイテム詳細
●火妖精の袴(火魔法威力三割増)”
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●浅子 (アジサイ)
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“●レベル:72”
“ステータス詳細
●力:26 守:35 速:55
●魔:181/181
●運:1”
“スキル詳細
●レベル1スキル『個人ステータス表示』
●魔法使い固有スキル『魔・良成長』
●魔法使い固有スキル『三節呪文』
●魔法使い固有スキル『魔・回復速度上昇』
●魔法使い固有スキル『四節呪文』
●実績達成ボーナススキル『耐幻術』
●実績達成ボーナススキル『氷魔法研鑽』
●実績達成ボーナススキル『インファイト・マジシャン』
●実績達成ボーナススキル『姉の愛』
●実績達成ボーナススキル『不運なる宿命』(非表示)(無効化)”
“職業詳細
●魔法使い(Aランク)”
“装備アイテム詳細
●雪女の和服(氷魔法威力二割増)”
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●来夏 (落花生)
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“●レベル:72”
“ステータス詳細
●力:30 守:40 速:65
●魔:176/176
●運:マイナス10”
“スキル詳細
●レベル1スキル『個人ステータス表示』
●魔法使い固有スキル『魔・良成長』
●魔法使い固有スキル『三節呪文』
●魔法使い固有スキル『魔・回復速度上昇』
●魔法使い固有スキル『四節呪文』
●実績達成ボーナススキル『インファイト・マジシャン』
●実績達成ボーナススキル『雷魔法手練』
●実績達成ボーナススキル『不運なる宿命』(非表示)(一部無効化)”
“職業詳細
●魔法使い(Aランク)”
“装備アイテム詳細
●雷神のリボン(雷魔法速度五割増)”
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●ラベンダー
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“●レベル:42”
“ステータス詳細
●力:13 守:26 速:22
●魔:126/126
●運:1”
“スキル詳細
●レベル1スキル『個人ステータス表示』
●魔法使い固有スキル『魔・良成長』
●魔法使い固有スキル『三節呪文』
●魔法使い固有スキル『魔・回復速度上昇』
●魔法使い固有スキル『四節呪文』
●実績達成ボーナススキル『エンカウント率低下』
●実績達成ボーナススキル『土魔法皆伝』
●実績達成ボーナススキル『呪文一節省略』
●実績達成ボーナススキル『土属性モンスター生成』
●実績達成ボーナススキル『野宿』
●実績達成ボーナススキル『不運なる宿命』(非表示)(中断)”
“職業詳細
●魔法使い(Aランク)”
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●桂 (ゲッケイ)
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“●レベル:92”
“ステータス詳細
●力:25 守:41 速:45
●魔:270/320
●運:1”
“スキル詳細
●レベル1スキル『個人ステータス表示』
●魔法使い固有スキル『魔・良成長』
●魔法使い固有スキル『三節呪文』
●魔法使い固有スキル『魔・回復速度上昇』
●魔法使い固有スキル『四節呪文』
●魔法使い固有スキル『五節呪文』
●実績達成ボーナススキル『死者の手の乗る天秤(強制)』
●実績達成ボーナススキル『不老(強制)』
●実績達成ボーナススキル『幻惑魔法皆伝』
●実績達成ボーナススキル『不運なる宿命』(非表示)”
“職業詳細
●魔法使い(Sランク)”
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まとめて気付いたのですが、
……来夏は作中でまだ出てなかったんですね。
傍迷惑な勇者パーティーが去っていった。戦場の人口密度はやや薄れる。
始まりは勇者共との遭遇だった。だから、彼等の退散で物事は収束する……そんなはずはない。
天竜川元来の敵である、化物共が残ったままだ。
「さてのう。こうして会話をする機会が訪れるとは思わなんだが、どうする。贄である人間族よ」
酷い猫背のモンスターの老人が、俺と魔法少女達に問い掛ける。
老人の背後からは再び半透明の巨体が沸き上がり、視覚器官もないのに俺達を睥睨して威圧している。液体モンスターの挙動に不審な点は見受けられない。
四節魔法の直撃で倒せないレベルの化物を、老人は従えているという事実が俺達を襲う。
「おっと、この老体とした事が名乗り忘れておったか。主様からはオーリンと呼ばれておる。贄等もそう呼べば良い」
「以前に見かけたゴブリンに似ているな」
「オールド・ゴブリンだからのう。主様の加護の賜物で、何百年生きているか覚えてはおらぬ」
スキュラは別枠だが、オークとゴブリンはファンタジーの中では雑魚として有名だ。そんな低級モンスターばかりを幹部として取り立てている主様の趣味を疑う。
そういう法則なら、見上げる程に大きな液体モンスターの正体も明白だ。
「後ろの大きいのは……スライムか」
「ご明察じゃ。スライムがクラスチェンジしたジ・ジオグラフィカル・スライム。主様よりはジライムという愛称で可愛がられるペットじゃ」
かなりの高レベルのモンスターらしいが、知性は持ち合わせていない。顔を見分ける程度の認識力はあり、命令には従順。聞いてもいないのにオーリンは語っていく。
対抗手段を講じるのに必要な情報も多分に含まれていたが、オーリンは気付いているのに気にした様子はない。
「……無駄話が長くなったのう。これからどうするか、そろそろ決めんとな。戦うのであれば、この老体とジライムは応じる。ゲッケイは……まぁ、本人の意思を尊重しよう。無理強いは趣味ではないからのう」
連戦上等と隣にいる皐月は息巻いているが、皐月の前に手をかざして猪突を押さえ込む。
「……退いてくれと頼めば、見逃してくれるのか?」
「もちろんじゃ。ここで贄等を狩るのは容易いが、この老体はいつでも狩れる贄に興味はない。アサシン殿を放置するのはちと厄介かもしれぬが、ゲッケイの裏切りを誘発する程の難事ではないのう」
オーリンの細い片目は勇者パーティーが去っていった市外に向けられている。老いたゴブリンの興味は、逃走した勇者に向けられているらしい。
桂のお陰で命拾いしたとはいえ、消耗している事に代わりはない。敵の厚意は素直に受け取っておく。
「オーリン、決着は次回に持ち越したい」
「賢明じゃな。賢い獲物が狩れる次の機会を楽しみにしておこう」
さらばじゃ、とオーリンはジライムを連れて土手から天竜川へと歩いていく。
老人らしく遅い足取りであったが、ジライムが伸ばした体に乗ってからの移動は速かった。川の流れに逆らって、二体の化物は上流へと消えていく。
「……はぁぁぁ。どうにか、切り抜けた」
危険生物の退散に合わせて、俺は思わず溜息を吐いてしまった。
作戦なき戦闘はかなり苦手だというのが、今回の事で確認できた。勇者なんていう想定外、情報を集めてからではないと勝ちようがない。オーリンとジライムについても同様だ。
体の緊張を解いて、マスクの位置がズレていないかを暢気に確かめている俺。
周囲にいる俺以外の四人が未だに張り詰めたままであり、一触即発の雰囲気が漂っているのに気付けたのは、皐月が右手を握り締めてきた後であった。
「――御影、この女の所為で、これまで多くの魔法使いが主様とやらに殺されていたのよね。私の師匠と、アジサイのお姉さんも含めて」
皐月が鋭い目線の先では、薄黄色のドレスを着る楠桂が平然と目線を受け止めている。
「――私は覚えている。三年前、姉さんを探している私の前に現れた女。あの時は分からなかったけど、きっと忘却の魔法を掛けられた。姉さんの事を思い出せなくして、探させないために」
皐月の追及に続いて、浅子が冷たい視線を桂に送る。
「低レベルの魔法使いが、たった一週間で五節の魔法を自力で解除したのには驚かされましたわ」
「姉妹の絆を舐め過ぎ」
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“『耐幻術』、魔法にさえ負けない強い精神の証明スキル。
精神に影響のある能力を魔法、スキルの区別なしに無効化できる”
“実績達成条件。
本来解けないはずの幻惑魔法を精神力のみで解除する”
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浅子が『耐幻術』スキルの実績達成をしていた原因は桂だった。
いくら大学入学に合わせているとはいえ、すべての魔法少女の家族が消息を確認しないはずがない。浅子が経験したように、幾人もの人間が桂の魔法で家族の安否を思い出せなくなっているのだろう。
「……私は最近会ったばかりです。この魔法使いは、主様に仕える敵で間違いないです」
来夏の言葉が駄目押しとなり、三人の魔法少女は桂を完全に敵だと判断した。
各々呪文詠唱に入るが、俺が間に割り込んで三人を止める。
「皆、待ってくれ!」
「御影? どうして私を止めようとするのかな。その女を殺せないんだけど」
「皐月の恨みは否定しない。でも、今は待って欲しい」
「……ハ? 待つ必要がどこにある訳?」
皐月の眉毛の鋭角が極まっていく。
出逢った当初は随分と疑いに満ちた表情を見せてくれたものだが、皐月が今のように敵意のこもった顔を見せてくるのは初めてだ。
「御影様が盾になる必要はありませんわ。わたくしの問題は、わたくしが処理致します」
「…………御影、様?? 随分と、親しい関係のようだけど、説明してくれない?」
勇者という新たな勢力が登場して、対処のためにより一層の団結が求められる現状。
だが、俺の思いに反して、俺と魔法少女達の間に大きな溝が生まれようとしている。
「……もしかしてだけど、私達、最初から御影にはめられていた? これまで助けてくれていた影で、敵の女と繋がっていた?」
まさか、皐月が俺に殺気を向けられるとは想像さえしていなかった。
酷い誤解であるが、俺には皐月の疑念を掃うものがない。