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いまさらVALORANT(VALORANTの誕生 - 歴史と裏話)

VALORANTの黎明、進化、そして二つの世界が織りなす物語

ライアットゲームズが世に送り出したタクティカルシューター『VALORANT』は、単なる対戦ゲームの枠を超え、緻密に構築された世界観と、その中で生きる個性豊かなエージェントたちの物語を背景に持っています。
その開発の裏側には、幾多の試行錯誤と、プレイヤーに最高の体験を提供しようとする開発チームの情熱。

本稿では、VALORANTの誕生から現在に至るまでの歴史、開発秘話、ゲームを彩る奥深いストーリー、そして不正行為に断固として立ち向かうアンチチートシステム「Riot Vanguard」について、詳細に解説していきます。

VALORANTの誕生 - 歴史と裏話

『VALORANT』の開発は、ライアットゲームズの研究開発部門において、2014年にひそかに発足されました。当時、『League of Legends』で確固たる地位を築いていたライアットゲームズは、新たなジャンルへの挑戦として、競技性の高いFPSの開発に着手します。

その存在が初めて公の目に触れたのは、2019年10月16日に配信された『League of Legends』10周年記念イベント「Riot Pls」においてでした。「Project A」というコードネームで発表された新作FPSは、キャラクターベースのタクティカルシューターであること、そしてeスポーツシーンを強く意識して開発されていることが明かされました。

翌2020年3月2日、プロジェクトは正式に『VALORANT』として発表され、世界中のゲーマーの注目を集めます。開発チームは、オンラインでプレイするためのゲームサーバーの高チックレート化や、旧世代のコンピューターでも快適に動作するフレームレートの実現に注力し、競技性を高めるための技術的な基盤を固めました。

2020年4月8日(現地時間7日)には、アメリカやヨーロッパなどの国・地域を対象としたクローズドベータテスト(CBT)が開始されました。本作への期待は非常に高く、ライブストリーミング配信プラットフォームTwitchでは、本作をプレイする配信の同時視聴者数がピーク時に170万人を超えるという驚異的な記録を樹立しました。その後、5月5日には韓国やメキシコ、ブラジルでもCBTが開始されましたが、日本においてはローカルサーバーの準備の遅れから、CBTの開始が遅れることとなりました。

そして、2020年5月28日、日本での正式なCBTがないまま、全プレイヤーを対象としたCBTは終了しました。同年6月2日、ベトナム、インド、中東など一部の国や地域を除き、ついに『VALORANT』は世界各国で正式にサービスを開始しました。基本プレイ無料ということもあり、多くのプレイヤーがこの新たなタクティカルシューターの世界に飛び込みました。

その後も『VALORANT』は進化を続け、新たなエージェント、マップ、ゲームモードが続々と追加されていきました。そして、PC版での成功を受けて、2024年6月15日からはPlayStation 5とXbox Series X/Sに向けたコンソール版のリミテッドベータテストが開始され、2025年2月14日には正式リリースを迎えるに至りました。ただし、PC版とコンソール版の間でのクロスマッチングは、ゲームの公平性を保つために実装されていません。

このゲームの開発を率いたのは、ゲームディレクターのジョー・ジーグラーです。彼は、ライアットゲームズが新たなゲームを企画する初期段階で、『VALORANT』の最初のアイデアを生み出した人物として知られています。クリエイティブディレクターにはDavid Nottingham、ゲームデザイナーには『League of Legends』の元デザイナーであるトレバ―・ロメルスキーと、『カウンターストライク グローバル・オフェンシブ』の元プロプレイヤーでありマップデザイナーのサルバトーレ・ガロッツォ、アートディレクターには『ハーフライフ2』や『Team Fortress 2』で活躍したモビー・フランケといった、業界のベテランたちが集結しました。ゲームエンジンには、Unreal Engineが採用され、その高いポテンシャルが本作の基盤を支えています。

開発秘話 - エージェントに命を吹き込むまで

『VALORANT』の魅力の一つである個性豊かなエージェントたち。その開発の裏側には、数多くの試行錯誤と、開発チームの熱意が あります。 特に初期から存在するエージェントの一人であるフェニックスの開発には、多くのドラマがありました。

2017年頃、まだゲームにおける「ロール(役割)」という概念が明確でなかった時期、フェニックスは最初期のエージェントとして考案されました。当初のフェニックスは、現在のような明確なデュエリストとしての役割はなく、前方へのダッシュ能力と、一定時間無敵になれる自己蘇生能力を持っていました。彼のアルティメットアビリティの初期案では、キルされた場合に復活するものの、HPは1まで減少し、アルティメットを発動した場所に戻らないというものでした。これは、「どんな困難にも立ち向かい、絶体絶命の状況でも最後の一人になるまで戦い続ける」というコンセプトを体現しようとしたものでした。

しかし、初期のプレイテストを通じて、フェニックスは開発チームの意図とは異なり、角で敵を避けながら陣地を確保し続けるという、やや奇妙なプレイスタイルを生み出してしまうことが判明しました。そこで、彼のアルティメットアビリティは、より攻撃的な役割を果たすように再設計されました。具体的には、サイトに突入する前にアルティメットを発動し、キルされたとしても元の位置に蘇生して再度攻撃に参加するという、現在の「ラン・イット・バック」に近い形へと進化しました。

フェニックスのアビリティに関しても、開発過程で様々な試行錯誤がありました。「ブレイズ」(炎の壁)と「ホットハンド」(モロトフ)は比較的初期にアイデアが固まったものの、タクティカルシューターにおいて重要な要素であるフラッシュバン(現在の「カーブボール」)の実装方法については、チーム内で議論が重ねられました。当初は、プレイヤーがグレネードとして購入・装備する形式も検討されましたが、最終的には特定のエージェントの固有アビリティとする方針が決定されました。また、機動力を高めるためのチャージダッシュも試されましたが、ゲームデザイナーの意図とは異なるプレイスタイルが生まれる懸念から、最終的には採用されませんでした。

フェニックスのキャラクターテーマである「炎」に関しても、単なる「放火魔」のようなイメージではなく、「太陽」のような、熱く輝きながらも制御された炎の表現を目指しました。これは、彼の自信過剰でせっかちながらも、チームのために戦うという性格を反映したものです。ビジュアルデザインにおいても、初期は近未来的な宇宙飛行士のような外見でしたが、コンセプトリードの提案により、よりスタイリッシュで格闘ゲームのキャラクターのようなイメージへと変化しました。2019年には、初期に制作されたエージェントのデザインが大幅に見直され、多様性を重視する新たなアートディレクションが採用されました。

さらに、フェニックスの開発においては、担当声優であるAfolabi Alliの存在も大きな影響を与えました。VOディレクターのDavid Lyerlyとチームは、声優の性格や来歴を考慮したオーディションを行い、Alliの声を聞いた瞬間にフェニックスのイメージが確立されたといいます。その後、事前に用意されたバックストーリーに合わせて声優をキャスティングするのではなく、声優の来歴に合わせてバックストーリーを構築するという、異例のアプローチが取られました。

VALORANTの深遠な物語

『VALORANT』は、単なるゲームプレイだけでなく、その背景に広がる奥深い物語もプレイヤーを魅了する要素の一つです。物語を理解するための重要なキーワードとして、「エリアナイト」「レディアント」「キングダム」「VALORANTプロトコル」の4つが存在します。

物語の舞台となるのは、近未来の地球で起こった「ファーストライト」と呼ばれる謎の出来事後の世界です。このファーストライトによって生まれたのが、「エリアナイト」と呼ばれる強力なハイパーエネルギー物質です。エリアナイトは、様々なマップで採掘、加工されており、ゲーム内のテクノロジーや、後述するレディアントの能力の源となっています。アセントのマップが空中に浮遊しているのも、エリアナイトが発火したことが原因であるとされています。また、プレイヤーが武器スキンをアップグレードする際に使用する「ラディアナイトポイント」も、このエリアナイトが元になっています。

エリアナイトは、人体にも影響を及ぼし、特殊な能力を持つ人類を生み出しました。これらの能力を覚醒させた人々は「レディアント」と呼ばれ、フェニックスやセージなどがその代表です。ゲーム内のランク最上位である「レディアント」は、この能力者に由来しています。

一方で、この危険なエリアナイトを独占し、強大な権力を握っているのが「キングダム」と呼ばれる巨大な組織です。マップに存在するエリアナイトの採掘施設や加工施設は、多くがキングダムの所有物であり、スプリットのマップにはキングダムの高層ビルがそびえ立っています。

このキングダムに対抗するために設立されたのが、「VALORANTプロトコル」です。世界中のレディアントや、エリアナイトの技術を応用した武器を使う者たちの集団で構成されています。組織が立ち上がったきっかけは、後述する「イグニッション試験」と呼ばれる出来事です。サイファーやバイパーといったエージェントは、エリアナイトの力を使った秘密道具を使用しています。

物語は、ゲームのシーズン更新に合わせて公開される予告ムービーを通じて断片的に語られています。最初のオフィシャルトレーラー「DUELISTS」では、エリアナイトを巡ってフェニックスがレディアントであるジェットを追いかけるシーンから始まり、最終的にエリアナイトが発火し、アセントの街が空中に浮上する様子が描かれました。これは、エリアナイトの持つ強大な力と、それが世界に及ぼす影響を示唆しています。

次のトレーラー「RETAKE」では、アイスボックスのマップに設置されたスパイクを、VALORANTプロトコルが解除するというミッションが描かれています。これは、プレイヤーが普段ゲーム内で体験する、スパイクの設置と解除という行為が、エリアナイトによる暴走を阻止するという物語に基づいていることを示唆しています。スパイクを設置する場所に必ず存在する緑色の箱は、「レディアナイトクレート」と呼ばれ、文字通りエリアナイトが詰まった塊であり、破壊されるとアセントのような大災害を引き起こす可能性があると考えられています。

2021年5月31日に公開された「DUALITY」では、世界中でイグニッション試験の報道がされ、エリアナイトを独占するキングダムへの批判の声が高まる様子が描かれます。そして、このトレーラーでは重大な2つの出来事が起こります。一つは、フェニックスがスパイク解除を邪魔する敵と対峙した際に、自分と全く同じ姿をした存在に遭遇するという、ドッペルゲンガーの出現です。もう一つは、トレーラーの最後に、スパイクを設置した側の顔をしたフェニックスが、ジェットと口論しているシーンに続き、バイパーやサイファーら、そして鏡のように映るもう一つの地球が出現するという衝撃的な展開です。このトレーラーは、ゲーム内で同じキャラクター同士が戦う状況を、物語上の「もう一つの地球」に存在するエージェントとの対立として正当化する試みであると解釈できます。

2022年1月11日に公開された4つ目のトレーラー「WARM UP」では、これまでの緊迫した雰囲気とは異なり、VALORANT本部で休憩するエージェントたちの日常が描かれています。射撃訓練場でスコアを競うフェニックスとKAY/O、強化型ロボットを撮影するレイズとキルジョイ、クールなサイファーなど、エージェントたちの関係性や性格が垣間見える内容となっています。特にKAY/Oに関しては、彼がレディアントの制圧を目的として作られた戦闘兵器であり、キングダムの影響下にある可能性が示唆されています。

不正との戦い - アンチチートシステム「Riot Vanguard」

『VALORANT』が競技性の高いタクティカルシューターとして成功を収めている背景には、不正行為(チート)に対する厳格な対策があります。その中核を担うのが、ライアットゲームズ独自のアンチチートソフトウェア「Riot Vanguard」です。

Vanguardは、ゲームプレイ中にチートを検出した場合、マッチングしている試合を強制的に終了させ、チート使用者に対しては永久BANという厳しい処分を下すプログラムです。その特徴の一つが、コンピューターのシステム深くまでアクセスすることを可能にする「カーネルドライバ」として動作することです。

このカーネルドライバの採用は、チート対策としての有効性が期待される一方で、プライバシーやセキュリティに関する懸念の声も多く上がりました。オペレーティングシステムや関連技術のニュースを扱うOSNewsは、ライアットゲームズとその親会社であるテンセントがユーザーのデータを密かに探り出すのではないか、またカーネルドライバが第三者によって悪用される可能性があるといった懸念を示しました。

これらの批判に対し、ライアットゲームズは、Vanguardのドライバは「コンピューターに関する情報を収集および送信することはない」と明確に否定しました。さらに、Vanguardの脆弱性を発見した者に対して高額の報奨金を支払う新たな報奨金プログラムを立ち上げ、セキュリティ対策への取り組みをアピールしました。

Vanguardは、ゲームの公平性を維持し、プレイヤーが安心して競技を楽しめる環境を提供するための重要なシステムであり、ライアットゲームズは、その開発と改善に継続的に取り組んでいます。

おわりに

『VALORANT』は、単なる撃ち合いを楽しむゲームではなく、奥深い世界観、魅力的なキャラクター、開発秘話によって、プレイヤーを魅了し続けています。初期のアイデアから数々の試行錯誤を経て現在の形に進化したゲームシステム、そして二つの地球を舞台に展開される壮大な物語は、プレイするほどにその深みを増していきます。また、不正行為に対して断固たる姿勢で臨むアンチチートシステム「Riot Vanguard」の存在は、競技シーンの健全性を支える上で不可欠です。

これからも『VALORANT』は、新たなコンテンツの追加や物語の展開を通じて、更なる進化を遂げていくことでしょう。プレイヤーたちは、エージェントたちの活躍を見守りながら、二つの世界が織りなす物語の行く末に注目し続けることでしょう。


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「最適化、それは愛。」 探究心○ それ以外は✖︎ PUBG Valorant Apex タルコフゲームは色々するおじさん。 PCゲームな話題に深く切り込んでます。適当な殴り書きも。 「Amazonのアソシエイトとして、[最適化おじさん(K)]は適格販売により収入を得ています。」
いまさらVALORANT(VALORANTの誕生 - 歴史と裏話)|最適化おじさん(K)PCゲームのあれこれ
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