中国ネットウオッチ

「中国ではどんな大事故も犠牲者数は35人を超えない」上海転倒事故当局発表に向けられる「疑念」

年の瀬に中国上海市で36人が死亡した転倒事故は、いまだに原因が明らかにされず、責任者の処分も発表されていない。中国のネット上では警備当局の無能を糾弾する声とともに、「民度が低い」と中国人の無秩序ぶりを自省する意見も相次いだ。また当局が発表した犠牲者数には疑念の眼が注がれている。(西見由章)

「永遠の35」

事故当時、新年のカウントダウンイベントを見ようと上海随一の観光名所、外灘(バンド)には30万人以上がつめかけていたという。「エアアジア機の事故が2014年最後の大事故だと思っていた。あと30分で15年を迎えるときに、上海であんな事故が起きるとは」。ネット上では死者に哀悼をささげる声が相次いだ。

事故の発生直後、国営新華社通信が運営するニュースサイトなどは「現場付近のバーが米ドル紙幣に似た割引券をばらまき、拾おうとした人が殺到して転倒事故を誘発した」との証言を掲載。ネット上では「金券まいたやつを徹底的に調べろ!」「十数回殺したって足りない」などと割引券をまいた人物を非難する声が相次いだ。

何より注目を集めたのが、当初発表された「35人」という犠牲者の数だった。

ネットユーザーの間では、中国で大規模な事故や天災が発生した際、当局に責任が及ばないよう犠牲者の数を抑制し、35人を大きく超えて発表することはないとの認識が広がっているためだ。

「35、35、永遠の35」

「本当の数字が知りたい」

「あんなに人が多い現場で、ちょうど35人だって?」

「35人を超えてはならない、これは決まりなんだ」

その後、警察が犠牲者の数を1人増やすと、「ついに36になった!」と反応するユーザーが相次いだ。

「実際の犠牲者は70人余りだが、上海市のトップが恐れをなして35人にした」。こうした真偽不明の書き込みまで出現。1993年から2011年まで、中国で発生した大事故や人災約40件の犠牲者が33~35人と発表されていることを示すリストまで出回った。

こうしたネット上の声を意識したのか、上海の警察当局は犠牲者36人の氏名を公表。大半は10代から20代の若者で、最年少は12歳の少年だった。

結局、事故原因は?

上海警察は事故後、現場で割引券がまかれていたのが事故原因との見方を明確に否定した。監視カメラを確認したところ、事故の十数分後、現場から約60メートル離れた場所で、数十枚の現金に似た紙がばらまかれ、多くの人が拾い集めている様子が写っていたという。ただこの情報も、一部ネットユーザーの不信を加速させた。

「事故があった直後に金券をまくなんて、火に油を注ぐようなものじゃないか」

「金券をまいたバーは誰が開いてるんだ」と高官とのつながりを疑う声も。

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