孤独な街頭活動、動画投稿で変わった フォロワー爆増、連帯も衝突も
動画が次々生まれ、世界にあふれていく。水のように湧き出て、奔流となり、波をつくり、海のように広がる――。候補者、政党、動画制作者、そして有権者の私たち。政治動画の海を漂う人々はどこに向かうのか。
取材班は、政治的な動画が生活の中心にあるような人たち、いわば「動画に生きる」人々の間を歩き、話に耳を傾けた(その3)。
<「動画に生きる」人々>
その1 「政治結社」代表男性 46歳
その2 介護施設パート職女性 70歳
その3 氷河期世代 ひとり街宣男性 49歳
× × ×
動画がもたらした人のつながりを日々、かみ締めている人に出会った。
5月下旬、JR新宿駅前。東京都内に住む古澤裕介さん(49)は行き交う人々に語りかけていた。頭上に掲げた手製のプラカードには、黒地に白抜き文字で<STOP GAZA GENOCIDE>(ガザの虐殺をやめろ)とある。
「私たちは戦争犯罪に対して声を上げることなく、表現の自由が保障された国に住みながら黙り続けてきたわけです」「皆さんはただ単に関心がないだけ、あるいは自分には関係がないから興味がないと思っていたのでは」――。宵の口の雑踏に、古澤さんのガラガラ声が溶けていった。
一人で街頭活動を始めたのは、2023年10月のこと。新型コロナウイルスに感染した後、仕事に復帰したものの体調が芳しくない日が3カ月ほど続いていた。
スマホで交流サイト(SNS)を見れば、イスラエル軍の攻撃を受けたパレスチナ自治区ガザ地区の惨状を伝える映像がどんどん流れてくる。いてもたってもいられなかった。
それから雨の日も風の日も、毎日欠かさず新宿や渋谷駅前などの街頭に立っている。
日雇いでテレビ番組用の大道具の仕事をしており、平日は仕事帰り、休日は都合のつくタイミングで、1時間ほどを活動に充てる。「声は潰れました。大道具なんで仕事には支障ないですけどね」
孤独な闘いの潮目を変えたのは、動画だった。
活動中にイスラエ…
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