もはや「郵便」はオワコン? 日本郵便「赤字383億円」の現実――デンマークはもうすぐ事業撤退、今後どうなる?

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デンマークが国内郵便事業から撤退を決めた背景には、手紙数の激減と料金高騰がある。日本でも郵便物は2001年の262億通から半減し、赤字が続く。労働集約型の郵便事業の維持は困難を極め、10年後の郵便廃止を見据えた抜本的な議論が求められている。

政府撤退と市場開放の岐路

郵便イメージ(画像:写真AC)
郵便イメージ(画像:写真AC)

 2025年12月末、デンマークのポストノルドは国内郵便の取り扱いを廃止する。これにより、デンマーク国内の郵便事業は終了する予定だ。ポストノルドはデンマークとスウェーデン両政府が出資する政府系郵便事業体である。今後は小包の配達に注力する方針だ。ただし、デンマークでは手紙や小包の配送は自由市場であり、民間企業も参入している。ポストノルドが郵便事業から撤退しても、手紙が送れなくなるわけではない。

 背景にはデンマーク政府の高度なデジタル化推進がある。手紙の数が大幅に減少したのだ。2000年、ポストノルドは約14億通の手紙を取り扱っていた。しかし2024年には約1.1億通まで減った。取扱数量の減少は手紙1通あたりのコスト増加を招いた。ポストノルドが撤退したのは当然の流れともいえる。

 さらに2024年には郵便分野が民間に市場開放された。競争が激化し、料金も上昇した。最も安い料金で29デンマーククローネ(約630円)に達した。料金の高騰は需要減少の一因にもなっている。手紙の取扱数量が減少するなか、市場開放によってサービスが持続できるのかが注目される。

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