コメ価格高騰、売ってくれる業者ゼロも…長野県の病院が調達に悲鳴 量減らしてしのぐ施設も

飯田市立病院

 ■治療に欠かせないのに…

 価格高騰を伴う主食用米の不足を受け、病院食を入院患者に自前で提供している県内の総合病院がコメの調達に苦しんでいる。治療に欠かせない病院食の中で、コメはおかゆにすれば患者が飲み込みやすく、塩分を含むパンやパスタには代えられない主食だ。米穀卸業者からの供給が細くなった各病院は、職員が小売店へ買いに走ったり、提供するご飯の量を見直したりして急場をしのいでいる。(奈良つとむ)

 ■入札参加ゼロ

 飯田市立病院(飯田市八幡町)は、毎年3、9月に半年分に当たるコメ約6トンの納入業者を指名競争入札で決めていた。毎回3~4社が応札していたが、今年3月の入札は初めて参加がゼロ。業者側が全国的な品薄の中で大量に確保できないと判断したとみられる。

 ■職員が仕入れ

 このため、同病院は4月から週2日、事前に了解が取れた市内の小売店へ職員が乗用車で行ってコメを仕入れるようにした。1回の購入で、市販の5キロ入り25袋を手分けして運ぶ。担当職員は「購入価格は昨年同時期の2倍を超えている」とし、手間に加えてコスト高も重荷になっていると打ち明ける。

 市内の卸売業者と随意契約し、7月ごろにコメを納入してもらう見通しはついた。ただ、その契約も2カ月間のみの予定。9月以降は確保のめどが立っていない。新米が出回り始める見込みもあるが、作柄の行方で楽観はできない。

 1日3食の病院食は、毎日750食ほどに上る。同病院栄養課は「どんな形であっても数量を確保するため必死に仕入れているが、いつまで確保できるかものすごく不安。本当に早く供給が安定してほしい」と願っている。

 ■ご飯の量200グラム→150グラムに

 「備蓄米が入り、供給が安定すると思っていたが、そうはなっていないですね」。5月下旬、飯田市鼎中平の健和会病院。調理室で同病院栄養科の石川雅亮科長(35)は、そう言ってため息をついた。

 系列の高齢者施設などへの配食を含め1日約600食を作る同病院は、コメ不足を受けて4月からご飯の提供量を医師の指導の下で少なくした。もともと多めに出していたご飯の食べ残しが目立っていたため見直した面もあり、必要な栄養を損なわない範囲で原則1食200グラムだった量を150グラムに変えた。

 長野市内の総合病院は、月平均で約2トンのコメを2業者から交互に購入している。品質の高い県産コシヒカリにこだわってきたが、備蓄米をブレンドしていいかと1業者から提案を受けたという。

 備蓄米を混ぜても支障は少ないと考えるものの、種類が変わると洗米の仕方や炊く際の水量などで機械の再調整が必要になる。病院の担当者は「安定して納品してもらえるだけありがたいが、そこまでしなければいけない状況になっているのか」と嘆く。

 一方、調理や食材の仕入れを業者に委託している総合病院は、現時点で問題はないようだ。松本市立病院(松本市波田)の担当者は「委託先がコメを仕入れており、病院として特別な対応はしていない」とする。

 ■超過分は持ち出し、経営圧迫

 米価の高騰は、病院経営を圧迫する。厚生労働省は病院食に関わる「入院時食事療養費」を1食690円と定めている。このうち510円を患者が払い、180円は被保険者らが負担する。ただ、この中には病院側の人件費や光熱費が含まれ、超過分は施設の持ち出しとなる。

 コメを含む食材の値上がりを受け、厚労省が今年4月に食事療養費を20円引き上げたばかりだが、各病院は今も悲鳴を上げる。「人件費や光熱費も上がり、690円では栄養価の整った食事を出すのは難しい。さらにコメが値上がりし、どの医療機関も経営面で苦しい」。ある病院の担当者は、そう漏らした。

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