遺体の保管期間 ー 名古屋市の事例から
遺体は火葬されるまでどのぐらいの期間保管されているのか。名古屋市の事例から検証する。
前提として、ここで取り挙げるのは身寄りがないまま亡くなった人の遺体となる。墓地埋葬法では、相続人など埋葬または火葬を行う人がいない、あるいは判明しないときは、死亡地の市町村長が行うとしている。
引き取り手のない遺体をめぐっては、火葬はいつ行うべきかなど国による統一的なルールはない。
2022年2月、名古屋市の監査委員が報告書を公表した。それによると、身寄りがないまま死亡し、3か月以上火葬されなかった事案が19件確認された。このうち9件については1年以上であり、最長で3年4か月の間、葬儀業者の保冷施設に保管されていたという。
さらに2023年12月には、2遺体が2年以上保管されていたことが新たに判明している。
名古屋市はこの勧告を受けて、死亡の連絡から原則1か月以内に火葬を終えるよう手引きを改正した。それにより、改正前は平均5.3か月ほどかかっていたものが、2023年には平均2.8か月まで短縮した。
遺体を保管する保冷施設
名古屋の葬儀業者の遺体を保管する現場の様子が『NHK WEB特集「誰が火葬のOK出したんや」兄はどこへ消えたのか?』で紹介されている。
その葬儀業者では年間300件以上の葬儀を取り扱っており、最大13人の遺体を安置できるという。
2024/4/5 - NHK WEB特集「誰が火葬のOK出したんや」兄はどこへ消えたのか?
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240404/k10014411941000.html
「私のところで預かって1日、2日で出て行かれることはまずないですね。だいたい1週間から1か月ぐらい。長い人では3か月、3か月半ぐらいかかります。病院で亡くなったご遺体でも3か月ぐらい経つとやっぱり傷んできますから、3か月が限度でしょうね」
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240404/k10014411941000.html
遺体の保管は冷蔵庫で行われ、冷凍はされていない。痛むので「3か月が限度」という。
「2年くらい遺体を預かることは、普通です」。名古屋市内のある葬儀社の関係者はそう明かす。区役所からの依頼で、引き取り手が見つからない遺体を保管するが、この業者でも3年近く保管していた事例があったという。
https://www.asahi.com/articles/ASQ483QY1Q44OIPE01H.html
一方で、2年程度の保管は普通だという。但し、2022年4月時点の記事なので、監査委員の勧告以前の状況についての言及と思われる。
報道
2022年の名古屋市での遺体放置問題に関する報道。
2022年2月
身寄りがない市民13人(40~90歳代男女)と、身寄りの有無が未確認の市民6人(60、70歳代男女)の遺体を最長で3年4か月間、葬儀会社の保冷施設に保管したまま火葬していなかった
市によると、死亡から火葬までの期間に決まりはないが、通常は半年程度かかるという。今回、処分の対象としたのは、1年以上経過した計9件だった。
2022年3月
「名古屋市の場合、まず亡くなられた方のご両親の戸籍を調査し、そこから相続人を割り出して連絡します。葬儀を行うようお願いし、もし断られたら次の相続人に連絡するといった手続きを踏んでいくのです」
2022年4月
「2年くらい遺体を預かることは、普通です」。名古屋市内のある葬儀社の関係者はそう明かす。区役所からの依頼で、引き取り手が見つからない遺体を保管するが、この業者でも3年近く保管していた事例があったという。
2022年8月
市民の死亡連絡があった後、原則1カ月以内に火葬を終えられるよう事務手続きのルールを変更したと明らかにした。
名古屋市は、7月、身寄りがない遺体の取り扱いについての手引きを改正し、8月には各区の担当者に向けた研修会を開いた。手続き上、大きく変更されることになった点は2つだ。
2023年12月
2遺体が2年以上にわたって放置されていたことが新たに判明したと発表した。
2024年6月
引き取り手のない市民2人の遺体を、必要な手続きをせずに2年以上、火葬しないまま葬儀会社に預けていたとして、この業務を担当していた40代の男性主事を減給の懲戒処分にしました。
資料
新聞報道からみる都市の火葬待機問題
名古屋学院大学 准教授 玉川貴子 2023/5/31
https://www.ceremony-ri.jp/pdf/2022/2.1.5.pdf
放置された“さまよえる遺体”問題 引き取り手が見つかるまで行政が業者に保管依頼 コストは業者持ち
CBCweb 2023/11/25
「誰が火葬のOK出したんや」兄はどこへ消えたのか?
NHK WEB特集 2024/4/5
火葬待つ安置施設“遺体ホテル”まで登場…増え続ける『身寄りのない遺体や遺骨』高齢化社会から多死社会へ
東海テレビ 2024/7/31



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