「TOKIO」の国分太一さんについて、日本テレビが「ザ!鉄腕!DASH!!」から降板させると発表した。
過去にコンプライアンス上の問題行為が複数あったと確認されたとして、第三者弁護士による調査結果などを踏まえて決定したとしている。これを受けて、国分さんは無期限の活動停止を発表した。
降板にあわせて、日テレの福田博之社長が会見を開いた。しかし、具体的な内容について、福田氏は「何も申し上げられない」を連発。視聴者からは「何のための会見だったのか」と疑問の声が上がっている。
会見で何が「申し上げられ」なかったのかを振り返りつつ、視聴者が抱いた“モヤモヤ”の正体を探ってみよう。
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「コンプライアンス上の問題行為」の詳細には触れず
日本テレビは2025年6月20日、「ザ!鉄腕!DASH!!」から国分太一さんが降板すると発表した。同日の日本テレビホールディングス(HD)と、日本テレビ放送網の臨時取締役会で降板の承認を得たという。
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番組そのものは継続し、国分さんは降板を了承したとする一方、「国分氏のコンプライアンス上の問題行為の詳細については、プライバシー等の観点から配慮すべき点が多く、説明を控えさせていただきます」とした。
HDと放送網、両方の社長である福田氏は同日、記者会見を開いた。事案を5月27日に知り、第三者弁護士による調査と、国分さん自身へのヒアリングを通して、6月18日に本人へ降板を伝達したとした。
しかし、会見でも発表文を踏襲する形で、「コンプライアンス上の問題行為」の詳細には触れられなかった。
取材陣の質問に対しても、「申し上げられない」の連発で、SNS上では「何ひとつ明かせないなら、やる意味がない」「なにか重大なことを隠しているのではないか」といった批判や疑念がうずまいている。
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「被害者がいるのか」「発生時期」についても明かされず
「申し上げられない」だらけで、視聴者には後味の悪さを残した。筆者も約1時間20分にわたる会見を眺めていたが、この内容であれば「悪印象を残すだけで、日テレにとって、何の得にもならない会見だ」と感じた。では、具体的に「何に触れず、何に触れたか」を振り返ろう。
まずは「事案の具体的内容に触れなかった」ことだ。セクシャルハラスメントやパワーハラスメントなのかなど、その分類すら明かされなかったため、何を根拠に降板に至ったのかがわからない点が、視聴者の混乱を招いた。また、「被害者がいるかどうか」や「発生時期」についても明かされなかった。
これらは「コンプラ違反」を判断する上で、根幹をなす部分だ。だからこそ視聴者は興味を持ち、会見場では一部の記者から、何度も同じ質問が投げられたが、いずれも福田氏は明言できないと繰り返した。この問答から「日テレには誠実さがない」と感じさせる要因となっているようだ。
ただし、こうした放送局側の対応には、前例がある。1月にTBSラジオが、フリーアナウンサー・生島ヒロシさんの番組降板を決めた際に、同局は「重大なコンプライアンス違反」を理由にしつつ、詳細については「関係者のプライバシー保護の観点から、説明を控え」るとした。
なお、その日のうちに、当時の生島さんの所属事務所は、具体的な事案の説明とともに、パワハラとセクハラの認識が欠落していたと謝罪している。どちらも書面による発表で、会見は開かれなかった点が、今回のケースとは異なる。
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コーポレートガバナンスの面では、「臨時取締役会を通した明確な理由」が明かされなかったことが気になった。番組出演者の降板について、いちいち取締役会での承認を得るのは異例だ。
福田社長は、今年30周年を迎える「ザ!鉄腕!DASH!!」が「長く続いている、愛されている番組」であることから、「ガバナンスを効かせた判断をする必要がある」と説明した。しかし、それだけガバナンスに疑義が起こるような事案なのであれば、なおのこと説明が必要だと感じさせる。
反対に、会見で明かされた新情報も、少ないながら存在する。大きく分けて「刑事告訴は考えていない」ことと、「社員の関与はなく、社員処分はない」ことだ。
もし犯罪事案ではなく、社員も無関係なのであれば、「日テレは堂々と話せばいい」と感じる人は多いだろう。しかしそこで、具体的な言及を避けるのであれば、「何か隠しているのでは」との認識を与えるのは致し方ないだろう。
実際、SNS上では「絶対なにか隠しているだろ」「局ぐるみの悪事があるのでは?」「よほど酷いことをしたのか?」と言った声が散見される状況だ。
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株式会社TOKIOは、城島さんの名義で謝罪
このように“お粗末”でしかない会見だったが、日テレを擁護する部分があるとすれば、国分さん側から今後、具体的に公表される予定がある可能性だ。「コンプライアンス違反」と認定された本人に先立ち、あくまで“取引先”でしかないテレビ局が言及できることは限られている。
国分さんは、城島茂さんが社長を務める「株式会社TOKIO」に所属し、松岡昌宏さんとともに副社長を務めている。同社は、旧ジャニーズ事務所の流れをくむSTARTO ENTERTAINMENTとのエージェント契約を結んでいる。
株式会社TOKIOは6月20日、城島さんの名義で「コンプライアンス違反が判明いたしましたため、本人とも協議の上で猛省を促すべく、6月20日付にて無期限で全ての活動を休止することといたしました」と謝罪。
今後については一切未定として、問い合わせ窓口はSTARTO社に一任する旨を伝えた。
発表には、国分さん本人の謝罪コメントも添えられているが、「長年の活動において自分自身が置かれている立場への自覚不足、考えの甘さや慢心、行動の至らなさが全ての原因」とする一方で、事案に対する具体的な説明や、その機会を設けるか否かには触れられていない。
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すでにボールは、国分さん本人、およびTOKIOやSTARTOに投げられている。とはいえ、初手から「申し上げられない」を連発した日テレのスタンスは、あまり良くなかった。福田社長の受け答えを見る限り、それなりに想定問答を用意していたと思われるが、であれば冒頭から触れるべきだっただろう。
ただでさえ日テレに対しては、「誠実に向き合っていない」といった認識が広がっている。フジ問題に隠れているが、日テレは1年前にドラマ「セクシー田中さん」の件が問題視されていた。
マンガ原作のドラマを、いかに原作者の意向をくみつつ形づくるか。「コンテンツ制作における人権」について問われる事案だったため、競合他社以上に慎重である必要がある。
フジ問題の発覚後にも、「月曜から夜ふかし」の街頭インタビューが問題視された。中国出身者のコメントとして「中国ではカラスを食べる」といった発言を伝えたが、これは意図的に編集されたものだった。この件について、福田氏は定例会見で謝罪したが、昨今の風潮からすれば、単体で記者会見を開くレベルに感じられる。
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「不都合なことは隠そうとする」疑いの目は絶えない
こうした流れもあって、「不都合なことは隠そうとする」との疑いの目は絶えない。会見はYouTubeチャンネル「日テレNEWS」で配信されたものの、地上波では、放送中の「ヒルナンデス!」を中断することなく、その次に放送される「情報ライブ ミヤネ屋」(日テレ系列の読売テレビが制作)にて約1時間遅れで流された。
事前に局内では会見概要を共有していて、「この内容であれば、編成を変えてまで、特別番組にする必要はない」との判断だったのかもしれないが、であればなおさら、「そんな会見を開く必要があったのか」となる。
結果として、福田氏の会見は、視聴者にモヤモヤを残し、「何か隠しているのでは」との疑念を強めるだけになっている。
今回の件は、幹部の関与が疑われていたフジの事案とは異なり、日テレは巻き込まれた側の可能性がある。にもかかわらず、このような「ゼロ回答の会見」を行ってしまえば、仮に被害者であってもマイナスイメージを負うのは間違いないだろう。
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