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収益物件を探していると、マイソクに「水道は井戸水です」と書いてある物件に出くわすことがある。戸建てのみならず、一棟マンションやアパートでも、こうした「井戸付き物件」は少なからず存在する。

では、こうした井戸付きの物件は購入してもよいのだろうか。取材してみると、実際に井戸付きの物件を保有・運営した経験を持つ投資家は、「井戸物件に大家のメリットはほとんどない」と口をそろえた。

その理由はいったい何なのだろうか。

「面倒ばかり」の井戸付き物件

不動産投資家の森崎達夫さん(仮名)は、すでに売却済みであるものの、過去に井戸付きの物件を保有していた経験がある。その経験を踏まえて、森崎さんは「面倒ばかりで、井戸付き物件にメリットはない」と言い切る。

森崎さんが所有していたのは、千葉市にあるS造の一棟マンション。敷地内に井戸があり、各室の生活用水として井水が使われていた。5200万円で購入し、満室時には月約62万円の家賃収入を得ていたという。

近隣にも井戸付きの物件は多く、購入時に懸念を抱くことはなかったという森崎さん。だが実際購入してみると、「井戸付き物件には3つの課題があることが判明した」と話す。

1つ目の課題は、メンテナンス費用が定期的に必要になることだった。森崎さんの物件では、井水はポンプでくみ上げられ、屋上の貯水タンクに貯められた後、各室に行き渡る仕組みだった。

この貯水タンクは定期清掃が必要であり、さらに井水の水質検査に年に1度、6万円かかっていた。ポンプには井水を殺菌・消毒するための装置がついており、この装置に入れる薬剤を年2回ほど補充する必要もあった。これには約1万円かかったという。

2つ目の課題は、ポンプやタンクが壊れた際に修繕費がかかること。森崎さんも購入直後に貯水タンクが壊れ、50万円の修理費用を払う必要があったと話す。数年後にはポンプも故障。この時は30万円かけて交換した。

井戸のポンプ ※画像はイメージ(PHOTO: SoutaBank/PIXTA)

3つ目の課題として挙げるのは、井水を原因とした食中毒や感染症などのリスクがあることだ。

確かに、殺菌のための装置もついており、毎年水質検査を行ってはいるものの、「保健所からのお墨付きをもらっているわけでもありません。本当にこれで十分なのか? 万が一、これで入居者が感染症などにかかってしまったら? という恐怖心がずっとありました。物件を所有している間、ずっとヒヤヒヤしていました」と当時の心境を明かす。

井水が飲料用水や生活用水として使われている場合、水道料金が無料となるため、客付けの際にアピールポイントになるとうたわれる場合もある。ただ、森崎さんは「私の経験上、それがメリットに働いたことはないです」と語った。

「家賃収入2カ月分の費用」かかったケースも

井戸付きの物件を多数所有する投資家の芳賀亮太さん(仮名)は、不動産投資歴8年で、3度、水をくみ上げるポンプが壊れたと話す。

最初に起きたのは、茨城県古河市にある戸建てを購入した直後のことだった。この物件の井戸のポンプが壊れ、9万9000円ほどの修理費用がかかったのだという。

この戸建ての家賃は5万円弱。10万円近い修理費は家賃2カ月分に相当し、「2カ月分の家賃収入が吹っ飛ぶ修理は、インパクトが大きかったです」と振り返る。

過去には火災保険で修理費用を賄えたケースもあるが、それは幸運だったためであり、「本来ならポンプ故障に対応するのは、電気的機械的事故特約が必要になる可能性が高い。ですが、築古の戸建てでは、ほぼこの特約をつけられません。私もつけられていないです」と述べる。

こうした経験から、芳賀さんは井戸付きの物件について「大家にとってのメリットは考えにくい」という。

とはいえ、収益の良い物件はすぐになくなってしまうことに加え、芳賀さんの投資する郊外エリアでは井戸付きの物件も多い。

「こうした物件を避けるのは難しく、井戸付きで妥協している」状態だという。

井戸付きの物件を好んで買うわけではなく、「妥協」で買う人も読者の中にはいるかもしれない。そうした中、井戸付きの物件でどのようなトラブルやリスクが想定されるのかは、念頭に置いておくべきだろう。

このほかにも、物件購入後に井戸水を飲料用水として使用できないことが判明し、上水道に切り替えるはめになったという投資家のケースもあった。

いったい何が起きたのだろうか。上水道に切り替えると、いったいどのくらいの費用がかかるのだろうか?

(楽待新聞編集部)