半生チャーシュー、レアから揚げ、生つくね…“食中毒”発生すれば「店側が責任を負う」が、鶏肉の“生食”に「法規制」ないワケ
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6月上旬、兵庫県神戸市のラーメン店で半生の鶏チャーシューを食べた人がその後、体調を崩したとの投稿がXで拡散され、「カンピロバクター」(加熱不十分な鶏肉を食べることで感染し食中毒を引き起こすリスクがある細菌)もトレンド入りするなど話題となった。 【閲覧注意】カンピロバクター 神戸市は7日、当該店舗における食中毒の発生を断定したと公表。20~40代の男女8人が下痢、発熱、頭痛、関節痛などを発症したが、全員がおおむね快方に向かっていること、同店に対して3日間の営業停止を命じたことなどを報告した。 当該店舗も8日にSNSを更新し、おわびとともに、経緯や現状の説明、来店後に体調不良となった場合の問い合わせ先の案内などをしている。 加熱不十分な鶏肉をめぐっては、チャーシューだけでなく、から揚げなど他の鶏料理でも「レア状態だった」との報告がSNSなどでたびたび話題となる。メニューとしてあえて「生」で提供している店が炎上することも少なくなく、2022年には「生つくね」が名物だった東京の老舗焼き鳥店がSNSでの批判を受けて閉店した。 食品安全委員会によれば、カンピロバクターに感染した場合、発熱、倦怠(けんたい)感、頭痛、吐き気、腹痛、下痢、血便などの症状だけでなく、神経疾患であるギラン・バレー症候群を発症する可能性もあるという。 上記のリスクから、食品安全委員会だけでなく厚生労働省、各地方自治体など多くの行政機関が「鶏肉はよく加熱して食べるように」との注意喚起を行っているが、実は鶏肉を生で食べること自体に法規制は設けられていない。
鶏肉の生食「法規制がない」ワケ
飲食業法務の専門家である石﨑冬貴弁護士は「食べ物に関しては、地域ごとの食文化や気候などさまざまな事情があり、一律で禁止することが難しい部分があります」とした上で、鶏肉の生食に法規制がない理由について、次のように説明する。 「牛レバーや豚肉など、どの条件で食べてもリスクが高いものに関しては、過去の大きな食中毒事件や、統計上の食中毒事件の増加などを契機として規制されてきました。 鶏肉に関しては、加熱調理が推奨されているものの、死亡事故など大きな事故が起きていないこともあり、生食に関する客観的な基準が存在しません」 ただし鶏肉も「今後の事件事故の発生状況によっては規制される可能性もある」と石﨑弁護士は付言する。 2011年4月、焼き肉チェーン店でユッケを食べた客が腸管出血性大腸菌O111およびO157による大規模な食中毒を発症し、5人が死亡する深刻な事件が発生。この事件をきっかけに、牛肉の生食に関する規制が強化され、2012年7月には牛レバーが、内部まで腸管出血性大腸菌などの危険な細菌に汚染されている可能性があるとして生食禁止となった。 さらに、牛レバーの生食禁止を受けて豚肉や豚レバーの生食が一部で広がったことなどから、2015年6月には豚肉・豚内臓の生食も、E型肝炎ウイルスや食中毒菌などによる重篤な食中毒の危険性が高いとして禁止された。 こうした状況の中、「鶏刺し」「鶏のたたき」など鶏の生食文化が根付く鹿児島県、宮崎県では、独自に定めた加工基準によって、安全性の確保と食文化の存続に取り組んでいる。