Vol.539「フェミサイドが男系カルトの未来か?」
(2025.6.4)
【今週のお知らせ】
※「ゴーマニズム宣言」…男系固執派がどれだけ悪あがきしようと、皇統の安定のためには愛子さまが次の天皇になるしかないし、男系固執の根本である男尊女卑は崩壊するしかないし、日本の女性の地位は向上させていくしかない。だがそうなった時、男系固執派は一体どうするのだろうか?日本で男尊女卑・男系固執派が敗北した後の姿は、メキシコの現状を見ると予想できるところがある。だが、それは決して実現してほしくはない未来予想図である。
※泉美木蘭の「トンデモ見聞録」…5月28日、朝日新聞が社説で「皇室制度のあり方 女性・女系 将来の道閉ざさずに」という見出しを掲げ、「将来の女性・女系天皇をことさらに排除しない方向で議論をまとめるのが望ましい」と主張した。読売新聞の提言が影響を広げる中、我こそは男尊女卑界の守護者たらんといった様子で、ひたすら奇声を発しているのが産経新聞社である。紙面記事とネット配信の両面で、「アンチ読売活動」を続けているのだが、5月30日の朝刊紙面「正論」では、とうとう《キンタマの小さい男はリベラルになりやすい》という常軌を逸したトンデモ論で一部に知られる、動物行動学研究家の竹内久美子を召喚!どこまで行くのか!?
※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」…芸能人などが年老いて病気を患っても活動を止めないことをどう見ている?池田信夫氏の皇統問題に対する主張をどう思う?祝日を煩わしく感じたことはある?愛子天皇実現のためには、山尾さんに賭けるべき?それとも立憲民主党の双系派に賭けるべき?米問題で小泉進次郎の人気が上昇、このまま自民党は支持率を取り戻す?ウクライナ戦争の真っ只中であっても、ロシアのバレエ団の来日公演が絶えないことをどう思う?安倍昭恵氏が、ロシアを電撃訪問してプーチン大統領と面会したことをどう見ている?…等々、よしりんの回答や如何に!?
1. ゴーマニズム宣言・第568回「フェミサイドが男系カルトの未来か?」
男系固執派がどれだけ悪あがきしようと、皇統の安定のためには愛子さまが次の天皇になるしかないし、男系固執の根本である男尊女卑は崩壊するしかないし、日本の女性の地位は向上させていくしかない。
だがそうなった時、男系固執派は一体どうするのだろうか?
日本で男尊女卑・男系固執派が敗北した後の姿は、メキシコの現状を見ると予想できるところがある。
だが、それは決して実現してほしくはない未来予想図である。
メキシコ第2の都市グアタハラ近郊で5月13日、美容系インフルエンサーの女性、バレリア・マルケスさんが美容サロンで行っていたTikTokのライブ配信の最中に、侵入してきた男性に銃で射たれ殺害された。
その一部始終はそのまま配信され、サロンを訪れた男が「こんにちは、バレリアさんですか」と尋ねたのに対して「はい」と応じるといきなり銃撃され、椅子にぐったりともたれかかるバレリアさんと、手前の机に血だまりが出来ていく様子が映っていたという。
このショッキングな事件を、捜査当局は「フェミサイド」と見て調べているということである。
「フェミサイド」という言葉、聞き慣れない人も多いだろう。わしもこの件で初めて知った。
「フェミサイド」とは「女性(femi-)」と「殺害(-cide)」を組み合わせた造語で、女性が女性であることを理由に殺害される事件をいう。
この用語はアメリカで活動した南アフリカ出身のフェミニスト、ダイアナ・ラッセルが1976年に使用してから広まり出したのだそうで、フェミニズム界隈ではもう50年近く流通していたらしい。
その定義はあまり厳密ではなく、人によってばらつきがあるが、より広範な被害を明確化するために、あえて定義を曖昧にしておいた方がいいという考え方もあるようだ。
最も多いフェミサイドは、DVやストーカー殺人など、パートナーや元パートナーによる殺害。次にレイプ殺人など、見ず知らずか関係性の薄い者による犯行である。
一方、現代日本では見られないものもある。姦通や結婚以外の妊娠、レイプ被害を受けたなどの女性を「家族の名誉を汚した」として殺害してしまう、中東や南アジアなど一部地域に残る「名誉殺人」の風習や、結婚時に新婦側が贈る持参金が少ないといったトラブルから新婦が殺害される、インド周辺地域で起こるという「持参金殺人」のケースなどだ。
その他、オカルトの「魔術」に関連した殺害、武力紛争や「民族浄化」に関連する殺害など、様々な女性の殺害が「フェミサイド」に分類されている。
このように幅広いケースを含む「フェミサイド」だが、わしが特に注目するのは「男尊女卑」の解消に向かう動きに対する反動による犯行である。そして先述のメキシコの事件はその典型ではないかと見られるのだ。
メキシコは、非常に男尊女卑の傾向が強い国だ。
本来、15~16世紀のアステカ王国時代の女性の地位は決して低くはなく、女性も自ら商売をするなど、様々な活動をしていた。
ところがそこへスペインが侵略してきた。この時代に中南米に渡ってきたスペイン人は、そのほとんどが男性であり、イギリスから北米に向かったピューリタン(清教徒)が家族ごとの移住だったのとは全く対照的だった。
スペインの男たちは殺戮と略奪の限りを尽くし、女性をレイプしまくり、膨大な数の混血児(メスティーゾ)を生み出した。そしてメスティーゾの多くは「スペイン人の父を誇り、先住民の母を軽蔑する」という心理状態になったという。
スペインの男たちは暴力的な植民地支配を行い、女性たちはそれまで担っていた社会的地位を奪われ、不当に支配される存在となってしまった。
さらには、当時のヨーロッパでは常識だったカトリック的な男尊女卑の価値観が持ち込まれ、男性は独立した主体として考え行動するために生まれるものだが、女性は男性に従属し、家庭に入るものだという考えがメキシコでも一般的になった。
初期のメキシコの法律の多くはフランスの民法典に影響を受けており、女性は法律から財政に至るまで、生活のあらゆる面で男性に扶養されるものとされていた。
そして、そんな植民地支配が300年続き、これによって中南米一帯では男尊女卑が強固に定着してしまったのである。
この「男性優位主義」のことを「マチスモ(machismo)」という。
スペイン語でオス・男性を意味する「マッチョ(macho)」から派生した言葉で、英語でいえば「マッチョイズム(machoism)」である。
その一方、メキシコの女性には「マリアニスモ(marianismo)」が定着していった。聖母マリアに由来する言葉で、子供に対して献身的に尽くす自己犠牲的な母親像で、日本でいえば「良妻賢母思想」だろう。美談として語られることが多いが、実際のところはひたすら男性にとって都合のいい「理想像」である。これは、女性は自分自身の希望を諦め、ひたすら子供のために尽くすべきものであるという考え方となり、女性が自分自身の価値を低いものと評価するようになっていった。
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小林よしのりライジング
『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。 毎週、気に…


購入者のコメント
72「国家観に関わる問題よりも他人の家庭の問題に激怒する人達」
↑であげられた人たちのイメージと漠然とですが合致しますね。
大須賀さんの「国民民主党は女性にもてない」https://www.gosen-dojo.com/blog/55119/
と、御田寺圭氏こと白饅頭氏の「国民民主党はなぜ男性政党なのか」https://note.com/terrakei07/n/n7242871ad561?sub_rt=share_b
と、叢叡世さんの国民民主党についてのコメントを読んで、「どうして国民民主党は女性支持層の掘り起こしをしないんだろう、山尾さんを庇えば女性支持層が増えたかもしれないのに」と疑問を覚えました。
自分のnoteで書いてみたいのですが、叢叡世さんが許可していただければ、コメントを引用させていただきたいのですがいかがでしょうか?
もう次の号が出ていますが、感想を記します。それにしても、山尾志桜里さんのこと、いったい何だったんだ、という気分です。国民民主党には、「千万人といえども吾往かん」といったような気概はないのでしょうか?それで票が取れぬようなら、はじめからそういう政党で、トップだったんじゃないかって、思います。
むしろ、「嚢中(のうちゅう)の錐(きり)」とも呼べるのは、山尾志桜里さんではないか、と。何とかこんなことに負けずに、再度国政にのぞんでほしいと願います。
「フェミサイド」の話を聞いて、たとえは違うのかもですが、江戸川乱歩先生の「妖虫」という作品を思い出しました。詳しい話は省きますが、ある意味、「女性差別」がテーマの話で、だからといって、正当化される話ではないのですが。
アニメの話になりますが、ボルテスファイヴのハイネルの心境も、よく似ているように感じます。
哀れだとは思います。でも…人のいないところで、誰にも危害を加えずにやって欲しいです。それだけです。
もくれんさんの方ですが…。
この人たちは、まだ、人に迷惑はかけていない、自分たちだけで、同好会のような活動をしている。問題は、それを世間にひろめようとしていることなのでしょう。
私はどうしても「染色体」というと、「学研のひみつシリーズ」といったイメージになってしまうのですが…。
八木の系図で気になったのは、「皇別摂家」の文字が見えることなのですが…皇室を中心に見ると「天皇家の血をひく藤原氏」とな、本来は皇族となるのでしょうが、女系から見ると、「天皇に嫁いだ藤原氏の女性からうまれた、高貴な血筋の人」で、女系の藤原氏と理解すべきではないか、と思うのです。その視点だって、「血統主義」なのですが。
子供がいないならともなく、女性でも直系のかたが存在するのなら、その人が跡継ぎでいいのではないのでしょうか?かのハプスブルク家でさえ、カール6世の時に男子ができなかったので、マリア・テレジアと、その子孫に継承させたわけですから。国外の例は適用されませんか?
いい加減に、それで納得して欲しいと願います。いつまで男系派はいいがかりをつけているのか。以上です。暑い…です。、