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Conversation

天安門事件のとき、中国に帰国できない日本在住の中国人留学生の支援を少しだけしたことがある。新宿のある喫茶店で留学生たちの要望を聞き、彼らから当時は高価だったパソコンの提供などを求められた。私は知り合いの経済人に相談して、それなりの対応をしたが、それは戦前の玄洋社と孫文の関係が念頭にあったからだ。 だが、現実は厳しかった。彼らは民主化を叫びながらも、チベットなどは引き続き支配下に置き、台湾の「独立」を認めるつもりなどなかったのだ。それどころか、日本は奈良時代から中華文明の恩恵にあずかっているので、日本が中国の民主化を支援するのは当然だ、という態度だったのだ。 一方、この天安門事件のあと、天皇陛下の訪中があり、それにあわせて中国を訪問。北京大学では、日本語ができる中国人学生たちと話をした。その際、彼らは雑誌『エコノミスト』を始めとする英語の経済、金融、政治についての論考を懸命に読み、中国の経済的発展を自らで担おうとしていた。そのために、日本の戦後の経済発展についても謙虚に学ぼうとしていたのが本当に印象的だった。 私が話した中国人のエリートたちは自国の国益と自己の栄達を中心に考えていて、「世界平和」とか「日中友好」などは二の次だということを、いまさらながらに思い知った。 私が知っている中国人たちはごく僅かであり、一般論にしてはいけないと思うが、中国「民主化」運動に過大な期待を抱いてはいけないと、この日を迎えるたびに自戒している。