「大川原化工機」えん罪 警視庁と地検の幹部 社長などに謝罪

横浜市の「大川原化工機」の社長など3人が逮捕され、その後無実が明らかになったえん罪事件について、捜査の違法性を認めた判決が確定したことを受け、警視庁と東京地方検察庁の幹部が20日、会社を訪れ、大川原正明社長などに謝罪しました。5年前の逮捕以降、幹部による直接の謝罪は初めてです。

軍事転用が可能な機械を不正に輸出した疑いで逮捕、起訴され、後に無実が判明した横浜市の化学機械メーカー「大川原化工機」の社長などが都と国を訴えた裁判で、東京高等裁判所は5月、警視庁公安部と東京地検の捜査の違法性を認めて都と国にあわせて1億6600万円余りの賠償を命じ、6月に確定しました。

これを受けて20日、警視庁の鎌田徹郎 副総監と、東京地検の森博英 公安部長が横浜市の会社を訪れ、大川原正明社長や元取締役の島田順司さん、それに社員に対し、捜査で心労や負担をかけたことについて「深くおわび申し上げます。誠に申し訳ありませんでした」などとそれぞれ述べ、謝罪しました。

また、検証して再発防止に努めると説明しました。

大川原社長は「二度とこういうことを起こさず、いい警察、いい検察になってほしい」と話し、島田さんは「再発できないような法的な方法をとらないと、本質的な対策にならない」と話しました。

5年前の逮捕以降、警察と検察の幹部による直接の謝罪は初めてです。

今後、警視庁と検察がそれぞれ行う検証で、えん罪を生んだ経緯がどこまで明らかになり、再発防止につなげられるかが焦点となります。

相嶋静夫さんの遺族「謝罪を受けることはできない」

逮捕された3人のうちの1人で、勾留中にがんが見つかり、起訴が取り消される前に72歳で亡くなった相嶋静夫さんの遺族は20日の謝罪の場には出席せず、「何が真実だったかの説明すらなされないまま、謝罪を受けることはできない」と、代理人を通じて今の思いを明らかにしました。

相嶋さんの遺族は20日、代理人を通じて警察と検察に要望書を提出しました。

要望書では「謝罪すべきタイミングは2021年7月に起訴を取り消したときだったはずで、なぜこれまでの4年間謝罪がなかったのか。裁判では取り調べを担当した捜査員や起訴をした検事が『謝罪はない』と話した。警視庁は2審で、私たちの主張を『一部の捜査員らの臆測や思い込みによる筋書きを借用したにすぎない』と表現した。こうしてあなた方は、この4年間繰り返し、亡き人の尊厳を踏みにじってきた」と批判しました。

そのうえで、「5年前に警視庁公安部の5人の捜査員が自宅に踏み込み、連行していった光景がトラウマとして残っていて、現在も全く癒えずにいる。このような状況で何が真実だったかの説明すらなされないまま、謝罪を受けることはできない」としました。

そして、利害関係の無い第三者を検証チームに入れることや、相嶋さんが輸出規制の対象ではないと指摘したにもかかわらず、再実験を行わなかった経緯などについて検証し、報告すること、検証で捜査員の違法行為が確認されたら刑事処分を行うことなどを求めています。

警視庁 鎌田副総監「お気持ちや考え方を承った」

会社側への謝罪のあと、警視庁の鎌田徹郎 副総監は、非公開で行われた面談の内容について「相手のある話なのでつまびらかにすることは差し控えたいが、大川原社長をはじめ、皆さまのお気持ちや考え方を承った」と述べました。

また、今回のような事態に至った原因について、改めて報道陣から問われると「現時点では捜査指揮が必ずしも十分でなかった、緻密な捜査が徹底されていなかった部分があったと考えている。まさに今検証している最中なので、丁寧に、予断を持たず進めたい」と話していました。

東京地検 森公安部長「ご意見を伺い 説明させていただいた」

謝罪のあと、会社側と非公開の面談を終えた東京地検の森博英 公安部長は、報道陣の質問に対し「いろいろなご意見を伺い、こちらからもご説明をさせていただいた。相嶋さんのご遺族からの要望書については検察に持ち帰り、しかるべき担当者に引き継いでしっかり検討してもらえるようにしたい。ご遺族への謝罪についてはご意向を踏まえて適切に対応していく」などと答えました。

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