北米

2025.06.19 12:30

トランプ政権、LGBTQ+の「自殺防止ホットライン」を来月で打ち切りへ

全米自殺予防ホットラインの電話番号「988」(Photo by Smith Collection/Gado/Getty Images)

全米自殺予防ホットラインの電話番号「988」(Photo by Smith Collection/Gado/Getty Images)

米トランプ政権は6月18日、性的マイノリティ(LGBTQ+)の自殺防止のためのホットラインへの支援を、来月で打ち切ることを確認した。このカウンセリングサービスは、トランプ大統領の1期目の任期中に法制化されたものだった。

ホットライン支援打ち切りをめぐる動き

LGBTQ+に向けたホットラインを米国薬物乱用精神保健管理局(SAMHSA)との提携で運営していた非営利団体(NPO)のトレバー・プロジェクトは18日、トランプ政権が7月17日までにこのサービスを終了するよう命じたと発表した。

SAMHSAはこの命令が事実であることを認め、今後はサービスの縦割りをなくし、「すべての支援希望者に対応することに重点を置く」とする声明を発表した。

全米自殺予防ホットラインの電話番号は、トランプが2020年に署名した法案によって、それまでの11桁のものから「988」に変更された。この制度には、LGBTQ+の人々に対して「特別な訓練を受けたスタッフや提携団体による支援」を提供することが盛り込まれていた。

米保健福祉省(HHS)の広報担当者はニューヨーク・タイムズ(NYT)紙に対し、LGBTQ+向けサービスに対する議会からの直接的な資金提供が枯渇したと説明した。HHSは、2026年度の予算案に「988」向けの5億2000万ドル(約754億円。1ドル=145円換算)の支援を盛り込んだ一方で、LGBTQ+向けカウンセリングへの資金提供を打ち切っていた。

トレバー・プロジェクトによると、LGBTQ+向けのホットラインサービスは以前、連邦政府から5000万ドル(約72億5000万円)の資金を受け取っていた。

次ページ > トランプ政権への批判

編集=上田裕資

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北米

2025.04.28 12:30

米企業の5分の2が「LGBTQへの支援」を縮小、トランプ政権からの圧力で

Shutterstock.com

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米国では、6月はLGBTQなどの性的マイノリティの権利を祝う「プライド月間」と位置づけられており、毎年多くの企業が連帯の意思を示す広告を展開する。しかし、調査企業Gravity Researchによると、2025年は約5分の2の企業がプライド月間に向けた支援を縮小する予定だという。また、全米にある複数の性的マイノリティ団体が、企業のスポンサーシップが減少していると報告している。

調査対象となったフォーチュン1000企業のうちの49人の幹部が、トランプ政権からのプレッシャーを理由にプライド支援を縮小すると回答した。トランプ大統領は、連邦政府のDEI(多様性、公正性、包括性)プログラムを終了させ、トランスジェンダーコミュニティを標的にする大統領令に署名している。

Gravity Researchのルーク・ハーティグ社長はフォーブスに対して、この調査結果が「米国の文化的、政治的な潮流がいかに劇的に変わったか」を明らかにするもので、「企業の約5分の2がプライド月間への関与を縮小するという事態は、5年前には考えられなかったことだ」と語った。その一方で、彼はまた「多くの企業が社内の支援を維持しており、イベントや職場での取り組みを通じて性的マイノリティの社員や支援者をサポートし続けている」とも述べている。

Gravity Researchはまた、プライド月間に関する反発に直面するリスクは、法人向けのビジネスを行う企業(BtoB企業)よりも、一般消費者向けのビジネスを行う企業(BtoC企業)の間でより高まっていると述べている。

米国最大級のプライド団体のいくつかは、今年に入り企業スポンサーからの財政支援が減少したと述べている。アルコール飲料大手のアンハイザー・ブッシュは、トランスジェンダーであるインフルエンサーとのパートナーシップをめぐって2023年に保守派の反発を受けたが、性的マイノリティ団体「セントルイスプライド」によると、同社は30年以上続いてきたスポンサー支援の打ち切りを通達してきたという。

また、「サンフランシスコプライド」の主催者によると、アンハイザー・ブッシュをはじめ以前、スポンサーだったコムキャストやアルコール飲料メーカーのディアジオなどが今年の同団体への支援を辞退したという。同団体は、これにより約20万ドル(約2870万円)のスポンサー収入を失ったと述べている。

米国ではここ数年、LGBTQを支援する企業に対する保守派からの反発が相次いでいる。特に注目を集めたのは、アンハイザー・ブッシュの看板商品「バドライト」で、同ブランドは、トランスジェンダーのインフルエンサー、ディラン・マルバニーとの提携をきっかけに保守派によるボイコットに直面し、米国でナンバーワンのビールブランドの座を失った。

ナイキも反発に直面

ほかにも、2023年にマルバニーと提携したナイキや、トランス女性向けの水着を販売していたことで非難を浴びた量販店のターゲットなどが、オンラインでの攻撃やボイコットの対象となった。

ターゲットは、反発を受けて一部のプライド関連の商品を店頭から撤去した。しかし、同社はその後、DEI基準を後退させたことで、左派からのボイコットの標的となった。調査企業Retail Brewによると、ターゲットの店舗来客数は、DEI基準を後退させた翌週から11週連続で前年割れとなっている。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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北米

2025.04.24 12:30

メタの監督委員会が同社の「ヘイト発言の制限緩和」を非難、見直しを要求

メタのマーク・ザッカーバーグCEO(Saul Loeb-Pool/Getty Images)

メタのマーク・ザッカーバーグCEO(Saul Loeb-Pool/Getty Images)

米メタの投稿管理を検証する「監督委員会」は4月23日、同社が1月に更新したヘイト行為に関するポリシーを非難した。同委員会によるとメタの最新のポリシーには、フェイスブックやインスタグラムのユーザーが投稿で、LGBTQの人々を「精神的に病んでいる」と表現することを許容する条項が含まれているという。

監督委員会はメタに対し、同社のポリシーが性的少数者や移民などの人々の「人権に与える影響」を再評価するよう求めている。メタの「最高裁判所」とも呼ばれる同委員会は、同社のヘイト行為に関するポリシーの変更が「通常のプロセスを逸脱して拙速に行われた」と批判した。さらに、同社が事前に人権に関するデューデリジェンスを実施したかどうかについての情報が一切開示されていないと監督委員会は述べている。

同委員会は、メタに対し、新たなポリシーが人権を脅かす可能性があるかどうかを評価するよう求め、さらにその結果を公に報告するよう要求した。さらに、メタが外部機関によるファクトチェックを廃止して導入した「コミュニティノート」制度の有効性についても評価するよう促した。

メタの広報担当者はフォーブスに対して、「委員会のすべての勧告に対し60日以内に回答する」と述べた。

メタは1月7日に、「ヘイト行為のポリシー」および「コンテンツの監視基準」に関する大規模な変更を発表した。これは、同社のプラットフォームにおける言論の自由を改善し、検閲を減らす試みとして説明されていた。変更には、「ヘイトスピーチ」という呼称を「ヘイト行為」に改めることが含まれており、メタのウェブサイト上に掲載された変更履歴によれば、従来例示されていたヘイト行為の多くが削除され、代わりに新たな物議を醸す可能性のある例が追加された。

物議を醸す「変更」

それらの変更の一つでメタは、「私たちは、トランスジェンダーや同性愛に関する政治的・宗教的な議論が存在することや、『変わっている』といった言葉が深刻でない文脈で一般的に使われていることを踏まえて、性別や性的指向に基づく精神疾患や異常性を主張することを許容する」と述べている。

次ページ > マーク・ザッカーバーグの主張

編集=上田裕資

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北米

2025.02.27 12:00

LGBTを自認する米国民が過去5年間で倍増、トランプ大統領は弾圧を強化

Shutterstock.com

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米調査会社ギャラップは、米国の成人の約10人に1人が自らをLGBTなど性的少数者だと認識しているとの調査結果を公表した。同社がこの統計を開始してから約15年間で、性的少数者を自認する人がほぼ3倍になったことが明らかになった。

ギャラップが2024年に1万4000人以上の米国人を対象に行ったLGBTに関する最新の世論調査によると、回答者の9.3%が自らを厳密には異性愛者ではないと報告し、20年時点の倍近くに上った。同社がこの調査を開始した12年時点では、わずか3.5%だった。

最新の調査では、回答者の85.7%が異性愛者だと答えたのに対し、5.2%がバイセクシュアル、2.0%がゲイ、1.4%がレズビアン、1.3%がトランスジェンダーだと答え、1%弱がパンセクシュアルやアセクシュアルなど、その他の項目を選択。5%は回答を拒否した。自身が性的少数者であると認めた900人以上の回答者に限ると、半数以上に当たる56%がバイセクシュアルだと答え、続いてゲイ(21%)、レズビアン(15%)、トランスジェンダー(14%)、その他(6%)と回答した人が続いた。調査では複数回答が認められた。

若い世代は年配の世代に比べて異性愛者ではないと自認する割合がはるかに大きく、1997~2006年の間に生まれたZ世代では20%が自身を性的少数者だと認識していた。また、回答者のうち、女性、民主党支持層、都市部の住民は、男性、共和党支持層、農村部の住民より、自身が性的少数者であると申告する傾向が高いことも判明した。

米国の生物学者アルフレッド・キンゼイは1948年、研究対象とした男性の10%が同性愛者だったと報告したことで知られている。だが、キンゼイの報告はサンプル数が少なく、方法論にも問題があるとして批判を招き、男性の10人に1人が同性愛者であるという考えは直ちに否定された。ところが今回の世論調査によって、現代の米国ではキンゼイが数十年前に報告した数字に近づいていることが示された。

社会でLGBTの認知度が急激に高まり始めた1980年代以降、米国では性的少数者であることを公言する人の数が着実に増加している。性的少数者が差別の撤廃を求めて街頭を練り歩く「プライドパレード」が最初に開催されたのは1970年だが、特に80年代後半~90年代前半にかけて社会的認知度が高まり、参加者が大幅に増加した。米国では1999年に当時のビル・クリントン大統領が6月を「同性愛者のプライド月間」と正式に宣言して以降、雇用市場や賃貸住宅市場での性的指向による差別を禁止する法律が次々と成立。2015年には同性婚が合法化された。

性的少数者の権利が確立されるにつれ、社会での認知度や受容度も高まっていった。現代では一般のメディアでも性的少数者の問題が広く取り上げられるようになり、大手ブランドは広告に同性カップルを起用するようになった。

このように、米国は性的少数者の権利向上に向け大きく前進してきたが、いまだに特定の層の自由を制限しようとする動きもある。ドナルド・トランプ大統領は1月に就任して以降、心と体の性が一致しないトランスジェンダーや、自らを男性でも女性でもないと認識しているノンバイナリーの国民を標的とした複数の大統領令に署名している。1つは、19歳未満の性別適合手術を制限するもので、もう1つは、出生時の性は男性だが自らを女性だと認識するトランスジェンダーの選手がスポーツ大会に女子として出場することを禁止するもの。同大統領はさらに、トランスジェンダーの軍への入隊を禁止するという、第1次政権時の政策を復活させたほか、生物学的な性別は男性と女性の2つしかないことを宣言する大統領令にも署名した。

forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

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