もぬけの殻となった高橋デンタルオフィス＝昨年8月8日、千葉市中央区中央

　自身が院長を務めていた歯科医院で患者の女性から「講演会の協力金」などと称して現金200万円をだまし取ったとして、千葉県警は19日、詐欺の疑いで、歯科医院「高橋デンタルオフィス」（千葉市中央区、閉業）元院長、高橋仁一容疑者（58）を逮捕した。捜査関係者への取材で分かった。県警には同院の患者から相談が相次いでいて、県警は慎重に捜査を進めていた。被害総額は1億を超えているという。 　捜査関係者によると、逮捕容疑は2021年3月30日ごろ、患者の50代女性＝県内＝に対し、「講演会の協力金」などと称して、治療費と同額をインプラントメーカーに支払えば後日、メーカーから返還されるなどとうそを言い、同月31日、女性から現金200万円をだまし取った疑い。

千葉中央署に入る高橋仁一容疑者（中央）＝19日正午過ぎ、千葉市中央区

　高橋容疑者は「講演会に症例として（治療）資料を提供してほしい」「支払い済みの（200万円の）治療費と同額の現金を、インプラントメーカーに提供すれば後日、メーカーから支払い済みの治療費相当額と合わせ、返還が受けられる」などとうそを言ったという。 　これまでに十数人の患者から被害の申告があり、相談も含めると被害総額は1億円を超えるという。インプラント治療や金銭貸借に関するトラブルも70件ほどある。

高橋デンタルオフィスの文字は残っているが、新たなテナント募集が始まっていた＝昨年8月8日、千葉市中央区中央

　千葉日報の取材に応じた患者の1人は「治療は全然進めてくれないし、協力金は何度言っても返してくれなかった」と明かす。 　帝国データバンクによると、この歯科医院は昨年7月、約19億円の負債を抱え破産した。