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冷え切っているのは身体だけじゃない。






火傷しそうに熱い水飛沫を浴びながら、あたしたちはお互いの舌を確かめあう。
広いバスタブで包むようにKAORUを抱きしめて、あたしの鼓動を肩甲骨に送り込む。
柔らかな胸を自分のもののように抱きしめて、KAORUの鼓動を掌で感じる。
仰け反る口唇で交わす口付けは、噛み付くように貪るように。


掌を掌で包む。
細い首筋、頚動脈にそれを重ねる。







「どこに触れて欲しい?」


「全部。」







重なったままの掌で、ゆっくりと身体の線をなぞってゆく。
膨らみの奥、心臓の鼓動が伝わる。
薄い鳩尾、少し震えてる。
小さな膝頭で遊び、バスジェルの泡に指を沈める。


絡めた指が徐々に強張る。
あたしの指を止めるように、促すように。
固くなった背が怯えたように押しつけられて。
泣き出しそうに噛み締める口唇、合わせようともがく脚。










「やめる?」


「いや。」








強張る心も、張り詰めた瞳も、
全てが匂い立つほどに、魅力的よ。


だから、あたしは惹き寄せられてみよう、
この上もなく、正直に。


羊水に包まれるようにして、あたしたちは剥き出しの本能だけの存在に戻ってゆく。






「リビングで寝るのは、おしまい、・・・・・ ね。」














白いリネンの波で、彼女を抱きしめる。
確実な意思をもって、彼女が腕を返す。





覆う水滴を、一つ一つ舌で追ってゆく。
誰もが羨むその肢体が、あたしの下で撓りはじめる。
理性でも戯れでもない純粋な交わりの中に、あたしは初めて投げ込まれる。





昇ってゆく体温、鎖骨の窪みにうっすらと汗が溜まり、
野生の素肌の香りだけが、あたしたちを包み込む。
荒い吐息にあたしは弄られて、
KAORUの身体に埋もれこむ。



上下する胸の膨らみに、削いだような腰の線に、
形のよい小さな膝頭に、吸いつくような柔らかな肌に、
あたしはその痕跡を刻み続け、
KAORUを薄紅に染めあげる。



紅く潤った口唇が緩む、誘うように形のよい歯が覗く。
舌を絡ませながら、柔らかく彼女の深みにあたしは指を滑らせる。
息衝いているのは、口唇だけじゃない。
蠕動の奥までも、確かめるように埋め込んでゆく。


煙るように睫が揺れる、辛そうに上瞼が開く。
張り付いた前髪の隙間から、零れそうな瞳が戸惑ったように震える。





「 KAORU ? 」





空気を求めるように、喘ぐ紅い口元から、
切れ切れに言葉が漏れる。
粘ついた指先は、滑らかに昂まりに連動し、
彼女の体温が、痛いほどにあたしを締め付ける。








「  愛 して   る。 」





つたない言葉はそれだけでは、足りない。
それよりももっと強い何かが、あたしたちを追い立てる。



飢え渇えながら、無様な姿を晒しながら、
それでも求める何かが、あたしたちを突き動かす。




やっと見つけた命の泉を、飲み干すように、
競い合うように、あたしたちは求め合って。









肩にKAORUの脚が絡まる。
息が止まりそうなほどに、強く絡みつく息吹は熱く。
身体の芯から突き上げる、痛みにも似た快感。







「 愛してる。 」












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