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【 10 】











仄暗い部屋に、あの方の肌が白く浮きあがる。





ランプの光は、まろやかに、
空気を緩ませるように揺らめいて。
沈むような壮麗な部屋の中で、
ソファに横たわるりかさま。
わたしは傅いて、奉仕する。




 
肌蹴たレースの合間から、零れるような柔らかな稜線。
わたしは跪き、唇でそれを追ってゆく。
細い指で、薔薇を玩び。
薄く開いた唇で、紅い舌が蠢く。
瞳にゆらりと笑みを湛え、
長く、甘く、吐息が洩れる。




白磁の肌に、うっすらと隈が浮いていらっしゃる。
また一回りお痩せになってしまったみたい。
細い鎖骨に、恭しく顔を埋める。




「かおる 。」


「はい、 りか様。」



わたしの名前がこの方の唇からこぼれ出る。
薔薇が、顎に触れる。
わたしは顔を上げる。
「あなたの瞳は、強い色ね。」
薔薇を顔に這わせるようにしながら。
「細い鼻、意志の強そうな唇。」
微笑む紅い舌が垣間見える。
ベルベットのような花弁の感触と、りか様の瞳。
わたしは視界が霞むような感覚に襲われる。



ドレスの釦を一つ一つ外される。
わたしたちはコルセットなど、つけることはない。
りか様の前では、そんな無粋な物、許されない。



ああ、だから、わたしの胸は剥きだされ、
この方の視線を焦がれる。




ミルクを流したような若々しい肌。
両の膨らみ、跪き、わたくしに顔を上げるかおる。
わたくしは、薔薇の花弁を千切り、かおるに落とす。
あなたのまろやかな谷間に、
それはぽつりと血の一滴のように。
そして又千切り、薔薇を散らすわたくし。
人形のようにわたくしに傅いて。



最後の一片は、わたくしの口付けを、
そしてそっとかおるの唇にのせる。


目が少し見開かれ、
わたくしに全てを委ねるという、蕩けたような光を宿す。
ゆっくりと花弁を唇に重ねる。


わたくしの好きな薔薇は、とても薄い絹のようなそれ。
花弁を通して、かおるの唇が伝わってくる。
その熱さが、痛いほどに。
じらすような、口付けを楽しみながら、
あなたの身体を解いてゆく。



「ああ・・・りか様。」


苦しそうとすら言える息の下で、あの子が呟く。


「なあに、かおる。」


「ああ・・・。」




求める手を取って、わたくしの胸に滑り込ませ、
もがくようなもどかしさで、唇は重ねたままで。
あなたの愛撫に、任せてみる。


触れそうで触れてあげない、
あなたを昂めるだけ昂めるまで。




















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