『 クラップ・ゲイム 7 』
屍肉に群がる蝿のように、
この街の蟲どもが集う、聖なる場所。
死んだような眸で、それでも夢見る、
天国行きの船。
冴え冴えと突き刺さる、一対の眸。
あどけない眼差しは、俺を船から引きずり落とし。
慈愛溢れる抱擁で、俺は流れに身を任す。
吐き捨てられる懺悔の言葉、奴にとって最上のジョーク。
舌なめずりするように、このうえもなく楽しそうに。
座れ船が揺れる
ダイス片手に、叫ぶのは引き裂かれそうな魂。
ボトル片手に、血を吐く偽りの懺悔。
首筋を掴むのは、悪魔
善良な仔羊ども、悔い改めるハイエナの群れ。
救いを求めて魂が、そこここを浮遊する
天国行きの船で俺は行く
彼方の岸辺に霞む諸々は、
蠢き這いずり回り、それでも生きてゆく。
船は天国行き
本当は誰も知らない。
何処へと向かのか。
何処へと行き着くのか。
俺はへべれけになるまで酔いつぶれ、
彼方のお前を思うのだろう。
吐き捨てられた、汚物より、
はるかに醜悪で、純粋な瞳。
座れ船が揺れる
懺悔の言葉は呪詛のように、
渦を巻き、絡みつき、縛り付ける。
背を這いずるような、突き通す眼差し。
殉教を演じる俺の、背に刻まれるイクティウス。
どす黒く滲む血までもが、求めるのはお前。
魂の奥底に、押し殺した思い。
しかし決して風化することは無い。
捕まるぞ悪魔に あの世でも浮かばれない
回りつづける懺悔の響き。
うねりながら、惑いながら。
俺の首筋に、悪魔の爪が立つ。
その眸は楽しげに、酷薄に、
そして底なしの悲哀を秘め。
引き裂かれた頚動脈から、鮮やかに迸る。
それは全てかおるに染まり。
固く立てられた奴の爪から、血を流し。
血塗れの、俺とお前。
それでも未だ、求め合うのか。
俺は抜け殻となり、そして懺悔を唱え続ける。
座れ船が揺れる
なにもかもが抜け落ちた、其の時が、
救いの時なのか。
俺はそれを待ちわびているのか、
それとも、畏れているのか。
船は限界まで傾ぎ。
俺はよろけるように振り向いて。
「今夜、街を出る。」
薄い肩に手をかける。
あの瞳が見開かれる。
その口から洩れる声に、
俺が引き裂かれるその前に。
喉元は爪を突きたてられたままに。
扉から身体をもぎ取るように、
未明の空へ向かい。
明けるはずもない彼方へと向かう。
| SEO |